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営業マンと“そこそこ”うまくやっていくための3ステップ経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」(8)(2/2 ページ)

「営業は知識が足りない」「技術に理解がない」――それでも営業マンがビジネスに欠かせないのならば、彼らとうまくつきあう方法を考えようではないか。

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 同じBクラスでも、会社の業務のプロセスや組織によく適合していて「余人を持って代えがたい人材(B+)」なのか、「社内あるいは社外に代わりはいくらでもいるはずだと思える人材(B-)」なのか、どちらに評価されているのかが重要な問題だ。前者は地位が安定し報酬も伸びていく可能性が大きいが、後者は、報酬が改善しにくいし、雇用自体が潜在的に不安定だ。

 「Cクラス」に関しては詳述しないが、このレベルの評価だと、会社に残り続けるには相当の努力が必要になる。

 外資系金融機関のようなビジネス原理が直接的に表れる職場では、アナリストのような専門家は、上記のような眼で評価される。金融業界以外にお勤めのエンジニア諸氏も、職場で自分がどのような評価を受けているのかは知っておく方がいい。特に「B+」なのか「B-」なのかは、処世上重大な意味を持つ。

営業マンと関わる3ステップ

 エンジニアは営業マンとどのような関係を結べばよいのだろうか。

 第一のステップとして、自分を「営業マンに対するサービス業者」なのだと位置付けるといい。会社は顧客から収益を得ている。そして顧客との窓口にいるのは営業マンだ。ならばエンジニアは、営業マンに対する良きサービス業者であるべきだ。営業マンに役に立つと認められ、営業マンの問題解決を手伝うことを心掛けよう。

 ときにプライドが許さないこともあるかもしれない。顧客が大切なのは分かるが、チームの一員である営業マンには相応の理解と努力を求めたい、と思うかもしれない。しかし、営業マンを評価、叱咤するよりも、「自分は営業マンの後押しをするのだ」と割り切って立ち回る方が、営業マンはよく働いてくれるはずだ。また、顧客が何を求めているのかに関する情報を、営業マンを通じて得られるようになる。営業マンのサポートに力を入れることは、会社の業績だけでなく、技術そのものに関するヒントを得る上でも役に立つはずだ。

 第二段階は、「営業マンへの営業」だ。特に前記の「Bレベル」のエンジニアの場合、組織の中で代わりがききにくい「B+」のポジションを確保するためには、「自分が有益な技術を持っていること」と「営業マンに協力する意思があること」を営業マンにアピールする必要がある。自分の持っている技術やノウハウおよびやる気を、社内の営業マンに対して売り込む「努力」に価値がある。いわば、営業マンに対して自らを営業するような形になるが、ビジネスパーソンとして、価値のある行動だ。

 第三段階は、「自分自身で営業もする」ことだ。エンジニアが自分の価値を大きく高めるためには、顧客と直接的な関係を持つようにするのが近道だ。

 顧客のニーズを把握する上では、営業マンを介する間接的な情報よりも、顧客から直接得る情報の方が、正確で価値が高い。また顧客にとっても、問題解決のための情報を得る相手は、自社を担当する営業マンよりも、技術知識を持っているエンジニアである方が満足度が高い。

 エンジニアは、営業マンとの関係を悪化させないような形で、できれば営業マンのビジネス拡大をサポートするような形で、重要な顧客と直接やりとりできる関係を持ちたい。

 エンジニアが顧客と親しい関係を築けると、顧客により良いサービスを提供できるし、自分のビジネス上の価値を高めかつ持ち運べるようになる。

 そうなると、会社からの評価を得やすいし、独立も視野に入るようになるかもしれない。金融であっても、ITであっても、あるいはメーカーであっても、技術なしにビジネスが成立する場合はあるが、営業なしに成立することはまずないのだから。

「経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」」バックナンバー

筆者プロフィール

山崎 元

山崎 元

経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。

2014年4月より、株式会社VSNのエンジニア採用Webサイトで『経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」』を連載中。


※この連載はWebサイト『経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」』を、筆者、およびサイト運営会社の許可の下、転載するものです。



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