チャンスに飛び込む、後は思い切りやるだけ転機をチャンスに変えた瞬間(5)〜プロ野球選手 松井稼

ロッキーズで成功を収めた松井さんは、新たなる道を求めてアストロズへ。チャレンジし続ける彼が考えるチャンスとの向き合い方とは

» 2013年11月29日 00時00分 公開
転機をチャンスに変えた瞬間〜プロ野球選手 松井稼央の場合

 ロッキーズワールドシリーズ出場の原動力となった松井稼頭央さん。だが2007年オフ、新たな道を選択し、2008年からの3年契約でヒューストン・アストロズへとFA移籍した。3年で推定1650万ドルという大型契約は、米国で実績を残してきた彼への期待の表れでもある。堂々たるメジャー屈指の二塁手となった「永遠の野球小僧」は、さらなる高みを見つめている──。

松井稼頭央(まつい かずお) 元メジャーリーガー

松井稼頭央

1975年大阪府生まれ。
1994年、ドラフト3位で西武ライオンズに入団。
2004年、メジャーリーグのニューヨーク・メッツにFA移籍し、初の日本人内野手メジャーリーガーとなる。メジャー史上初となる開幕戦新人初打席初球本塁打を記録。その後はけがもあり、2006年シーズン中にコロラド・ロッキーズへトレード移籍。
2007年オフ、ヒューストン・アストロズと3年1650万ドル(推定)で契約して移籍。


選択した時点で悔いがない以上
結果がどうあれ、その選択は成功だと思いたい

丸山 ロッキーズでの大活躍後、残留を望むロッキーズをはじめ、多数のチームからオファーが来ました。そこで松井さんは、環境を変えて、アストロズへと「転職」する道を選択しました。あえて新天地を選んだ心境を聞かせていただけますか。

松井 ワールドシリーズまで行ったことはうれしかったのですが、満足し切ったわけではありませんでした。心機一転、もう一度勝負がしてみたかった。他のチームで、どこまで自分がやっていけるのか知りたいという思いもありましたし、監督が熱心に本気で誘ってくださったということもありました。

 1つのチームでずっと活躍することがベストなのかもしれませんが、メッツでそれができなかった以上、もう僕には怖いものなど何もなくなりました。移籍すれば、環境だけではなく気持ちも変えられます。新たな仲間と、新たな気持ちで、また挑戦する。

 移籍しない方がいいとかいろいろ助言してくれる人もいましたが、人が何を言おうと、結果的に移籍しない方がよかったとしても、僕は僕自身の選択に悔いはありません。選択した時点で悔いがない以上、その選択は結果がどうあれ成功だと思いたい。後はもう、思い切りやるだけです。

丸山 松井さんのお話を伺っていると、野球少年のような純真さを感じます。

松井 僕は9歳で野球を始めて、今年で24年目になります。人間はどこで大人に成長するのか、その基準が僕には分かりません。野球をしている限り、少年のままでいいかなと。野球が好きで、うまくなりたくて、試合を楽しんで……。その気持ちさえあれば、どんな苦労も苦労ではなくなりますから。

丸山 最後に、転職を考えている30代、40代に、力強いメッセージをお願いします。

ツーショット

松井 僕はメジャーに来るとき、成功できるかどうかなんて、まったく考えませんでした。何がメリットで、何がデメリットかも、まったく考えませんでしたが、間違いなく苦労することになるだろうとは思っていました。

 上の世界に飛び込むということは、すぐに成功を望めるほど甘いものではありませんよね。でも野球選手は現役でいられるのが長くても20年くらい。その短い中で、メジャーから声を掛けてもらえるチャンスなんて多くない。そう思って、そのチャンスに飛び込んでみたのです。

 仕事が好きで、もっと自分を高めるチャンスに恵まれたなら、思いきって挑戦してもいいのではないでしょうか。

構成/平山譲


聞き手 丸山貴宏

丸山貴宏

クライス&カンパニー 代表取締役社長

リクルートで人事採用担当を約7年経験後、現社を設立。転職希望者面談数は1万人を超え、その経験と実績に基づいたカウンセリングは業界でも注目されている。「人の根っこのエネルギーを発掘する作業が、われわれの使命」がモットー。著書「キャリアコンサルティング」(翔泳社)



「転機をチャンスに変えた瞬間」バックナンバー

※この連載はWebサイト「転機をチャンスに変えた瞬間」を、サイト運営会社の許可の下、一部修正して転載するものです。データなどは取材時のものです。

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