先ほど紹介した図では、仕事で関係する「主体」を洗い出すのが目的でした。全体像を把握できたら今度は、情報の流れとお金の流れに注目して、図に書き出してみましょう。
特に、社内では情報がどのように流れているのか、自分のチームから線が出ていない部分にも注目して描いてみましょう。上司だけではなく、他部署の同期や知り合いなどに持ち掛けてチェックしてもらっても良いでしょう。重要な情報のルートから、自分たちの部門または自分のチームが外れていることに気付くかもしれません。
社外の流れは、特にお金の流れに注目して描いてみましょう。inとoutを特に意識し、どこから入ってきたお金がどこに分配されるのか、その配分はざっくりどうなっているのか、自分の部署でoutする分は足が出ていないか、などが書き込むポイントです。
お金の流れをコントロールするのは無理かもしれませんが、情報として知った上で行動する方が、はるかに自分のチームに有利になるし、自分たちの仕事を内外にアピールできるはずです。
リーダーがチームの立ち位置をしっかり把握できたら、今度はそれを徐々にチームのメンバーへ広げていきましょう。最初はサブリーダーに同じ図を描いてもらうとよいでしょう。チームの外の状況に敏感になるのはリーダーの仕事ですが、リーダー一人が孤軍奮闘してチーム内外の調整を図ろうとしても、ほころびが出てしまいます。メンバーにも外に関心を向けてもらい、チームの外にも人間関係や損得のサイクルが広がっていることを知ってもらうと、メンバーも自分の責務を自覚できるようになるはずです。
「会社員であれば給料をもらうのは当然だ」と信じて疑わない若手のメンバーもいますが、それがどこからどのように捻出されたものなのか、ときには意識してみるのも悪くありません。「給料は仕事の対価である」という理屈を、言葉ではなく、自分で自覚してもらうきっかけになります。
上村有子
エディフィストラーニング インストラクター。外資SIer、証券会社を経て2000年に野村総合研究所入社。現在、情報化戦略、コンプライアンス、ビジネスコミュニケーション領域のコース開発、講師。専門分野はBA(ビジネスアナリシス)、コミュニケーション。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.