正式にリリースしたWebサイトが正常に稼働しているかを常時監視するなら、SaaS型の監視サービスが便利だ。お勧めの2大サービスの機能概要を解説する。
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アプリケーション(以下、アプリ)を作って、テストも問題ないことを確認して、リリースする。しかし、それで終わりではない。サイトが正常に稼働しているか、性能に問題はないか、意図していない例外が発生していないかという情報を継続的に監視する必要がある。
以前は組織内に専用のサーバーを構築する必要があったが、現在はSaaSサービスで提供されているものもある。本連載では代表的な監視サービスについて解説を行う。
アプリはリリースして終了ではない。最近DevOpsという運用と開発を一体化させ、問題を早期発見、早期解消させるというムーブメントが起こっている。運用側は問題を早期に検出し、すぐに対処したい。開発側はトラブルが起きたときはすぐに情報を取得したい、といった思いがある。
何が問題なのか、改善のための作業や効果測定の情報を開発・運用の両者が把握できるように常時視覚化されていると、問題の対処までの時間が短縮され、サービス向上につながる。
運用監視を行うソフトウェアは従来オンプレミスで提供されているものがほとんどだったが、サービスのクラウド化とともに運用監視もクラウドサービスとして提供されるものが使われるようになりつつある。本連載ではそのようなSaaSで提供されている運用監視サービスについて解説を行う。
なお、記事の内容は2014年9月時点のものであり、その後の更新によって機能追加や価格が変更されることがあるので気を付けてほしい。
冒頭にも書いた通り、従来はオンプレミスの運用監視製品を購入し、組織内にサーバーを用意し、運用監視を行っていた。そこで、オンプレミスの製品とクラウドサービスとして提供されている製品の双方のメリットとデメリットを比較してみよう。
クラウド | オンプレミス | |
---|---|---|
価格 | 月額制 | 買い切り |
運用 | サービスそのものの運用は考えなくてよい | 全て含めた運用設計 |
進化 | 早い(数カ月単位) | 長い(年単位) |
性能 | 提供者が最適な設定を行う | 運用監視サーバー自身の性能設計が必要 |
オンプレミスな監視サービスとクラウドベースの監視サービスの比較 |
運用監視サーバー用の性能分析はどんなサーバーを使えばいいのか分かりづらい。SaaSであれば、提供者がサイジングを行ってくれるため、自サービスの運用に集中できる。必要以上のコストも掛からないため、SaaSとして提供されている監視サービスを使うのは、スモールスタートで始めるにはうってつけだ。
クラウドサービスとして提供されている運用監視サービスはいくつかあるが、本稿では「New Relic」と「Application Insights」を紹介する。
New Relicは、クラウドサービスでの運用監視では先駆け的なサービスであり、多くのクラウドサービス事業者で使用されている。多くのプラットフォームをサポートしている。無料で使用することも可能だ。
New RelicのWebサイトにアクセスすると次のようなページが表示される。使用を開始するには、[Sign Up Now]ボタンをクリックして、アカウントを作成する必要がある(Webブラウザーのウィンドウサイズによっては「Sign Up for New Relic」と表示される場合もある)。
[Sign Up Now]ボタン(または[Sign Up for New Relic]ボタン)をクリックすると、次のような画面が表示される(長いので分割して表示)。この画面で必要事項を記入していく。
基本的な事項に続けて、自分の会社/組織の詳細、監視対象のアプリのサーバー/言語/環境などについて指定する。最後にサービス条項に同意して[Sign Up for New Relic]ボタンをクリックすれば、アカウントが作成される。
次のページでは、続いてApplication Insightsの利用方法を説明した後、New RelicとApplication Insightsの詳しい機能内容を見ていく。
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