Intelの第6世代CPU、Skylakeを搭載したPCにWindows 7を新規インストールしようとしても、USBドライバが不足していて失敗することがある。その解決方法を解説。
対象OS:Windows 7 SP1
現在販売されているPCには、Intelが2015年に発表した第6世代CPU(開発コード名Skylake)が搭載されているものが多くある。OSとしては、Windows 8.1やWindows 10が搭載されているであろう。
だが古いPCのリプレースなどで新しくPCを購入した場合、以前から使っているWindows 7をインストールして、以前の環境のまま使いたいことも少なくない。
しかしSkylake CPU(もしくは今後リリースされる新CPU)を使ったシステムにWindows 7をインストールしようとしても、途中でエラーになって、インストール作業を進められないことがある。
具体的には、USB接続したキーボードやマウスが使えなくなったり、USBメモリでインストールしている場合は、USBメモリのドライブが急に見えなくなって、先へ進めなくなったりする。
このような症状が発生するのは、Skylake CPU搭載PCのハードウェア構成に原因がある。
Skylake対応システムでは、Intelの100シリーズのチップセットが使われている。このチップセットではUSB 2.0の機能を提供する「EHCI(Enhanced Host Controller Interface)」機能がなく、USB 3.0に対応した「xHCI(Extensible Host Controller Interface)」しか含まれていない。
一方、Windows 7 SP1のインストールメディアには、EHCIのドライバは含まれているものの、xHCIのドライバは含まれていない(USB 3.0が一般的になったのは、Windows 7のリリース後)。
そのため、これらの新しいPCにWindows 7をインストールしようとしても、インストールの途中でUSBデバイス(USBキーボードやUSBマウス、USBメモリ、USB接続のDVDドライブなど)が見つからなくなり、インストールの途中で止まってしまって、先へ進めなくなるのである。
対象となるCPUやチップセットとしては以下のものがある。
項目 | 内容 |
---|---|
CPU | ■Intelの第6世代CPU(Skylake) ・Core i7-6xxx/i5-6xxx/i3-6xxx ・Pentium 44xx/45xx ・Core m3-6Yxx/m5-6Yxx/m7-6Yxx ・Celeron N3xxx/Pentium N3xxx(Braswell。チップセット統合型CPU) ・Xeon E3-1200v5ファミリー |
チップセット | H170/H110/Z170/Q170/Q150/B150/QM170/CM2xx/C2xx |
OS | Windows 7(全エディション。32bit版と64bit版の両方) |
Skylake世代のCPU/チップセット これらのCPUやチップセットを使ったシステムでは、Windows 7のインストールで問題が出る可能性がある(これらを使った全てのシステムで問題が出るわけではないし、これら以外のCPUやチップセットでも該当することがある)。詳細なリストはIntelの「製品 (開発コード名 Skylake)の一覧」サイトや「Windows 7 USB3.0 Creator ユーティリティ」」(インテル)に付属のドキュメントなどを参照のこと。 |
本TIPSでは、これらのCPUやチップセットを採用したPCに対して、Windows 7 SP1をインストールする方法を紹介する(SP1未適用のWindows 7は既にサポート対象外)。
Skylake CPUに対するWindows 7の延長サポート終了時期は2018年7月である(Skylakeより前世代のCPUに対しては2020年1月まで)。Skylakeおよび後継のCPUだとサポート期間が短くなっているので、その後は速やかにWindows 10かWindows 8.1へ移行することが求められている。詳細については「最新CPUはWindows 10でのみサポート、Windows 7/8.1のサポートは早期打ち切りに」を参照していただきたい。
Windows 7 SP1のインストールメディアにはUSB 3.0のドライバが含まれていないため、Windows 7をインストールしようとすると問題になることが非常に多い。
そのため、PCやマザーボードの各ベンダーは、そのようなシステムに対してWindows 7をインストールするための方法をサポートWebサイトやPC/マザーボードに付属のマニュアルなどで解説している。以下はその例である。まずはそれらの情報をよく確認していただきたい。
Skylake搭載PCでWindows 7 SP1をインストールするには、主に次の2つの方法がある。
対象のシステムやその接続機器に応じて、どちらかの方法を選ぶ必要がある。以下、それぞれの方法について解説しておく。
Windows 7 SP1のインストールメディア(DVD)にはxHCIのドライバが含まれていない。だが、これを使わないインストール方法なら何の問題もなくインストールができる。
そこで、SATA接続の内蔵DVDドライブを使ってシステムをブートし(USBで接続する外部ドライブは不可)、インストールを行うのだ。
またキーボードやマウスもUSB接続タイプではなく、PS/2接続のものを使えばよい。ただし本体にPS/2ポートがないシステムではこの方法は使えない。もしPS/2ポートが1つだけしかないなら(キーボードとマウスの共用になっているシステムの場合)、PS/2キーボードだけつないでインストールすればよいだろう。マウスが使えなくても、キーボードさえあればインストールはできる(項目間は[Tab]キーで移動して、[Enter]キーで確定すること)。システムによっては、Windows 7のインストール時だけ、USB接続のキーボードやマウスを有効にする機能を持つものがあるので、システムやマザーボードに付属のドキュメントを参照していただきたい。
Windows 7 SP1のインストールDVDがない場合は、以下のサイトからISOイメージをダウンロードしてDVD-Rに書き込めばよい。正規のプロダクトキーを入力すると、該当するWindows 7のISOイメージをダウンロードできる。
なおこのDVDメディアを使ったインストール方法では、UEFIブートしてインストーラを起動すれば、2TB超のハードディスクでもシステムディスクとして利用できる(64bit版Windows 7を使うこと。「2TB超ディスクをシステム用ディスクとして利用する」参照)。
Windows 7のインストール方法についてはここでは省略するが、[新規インストール(カスタム)]選択後、最初にディスクの選択画面が表示された時点で、既にディスク上に何らかのパーティションが存在するなら既存の内容をいったん全部消去してからインストールを開始するとよい。システムをBIOSブートするならMBR形式が、UEFIブートするならGPT形式のディスクがそれぞれ必要になるが、ディスク形式が異なっているとインストールができない。
ディスクの内容を初期化するには[ドライブ オプション (詳細)]ボタンを押して全てのパーティションを[削除]するか、インストール中に[Shift]+[F10]キーを押してコマンドプロンプトを開き、diskpartコマンドを起動してcleanを実行する(TIPS「Windowsで、diskpartのcleanコマンドを使ってディスクの内容を消去する」を参照)。
後はインストールウィザードの指示に従ってインストール作業を進める。ユーザーが指示するべきことは、PC名やユーザーアカウントの入力ぐらいしかない。
Windows 7がインストールできたら、システムに付属のDVDなどを使って不足しているドライバを追加でインストールする。インストールの順番は、最初にチップセットのドライバ、続いてUSBのドライバ、後はネットワークやサウンド、ビデオなど、適宜インストールすればよい。
内蔵DVDドライブやPS/2キーボードなどを用意できないなら、USBメモリを使ってインストールすればよい。
基本的には、Windows 7 SP1のインストールDVDの内容を8GB以上のUSBメモリにコピーし、さらに追加の(xHCI用の)デバイスドライバとドライバロード用の情報ファイルなどを作成しておく。
具体的には、USBメモリのルートに「AutoUnattend.xml」というファイルを用意しておき、この中にインストール中にロードするべきファイルなどを指定しておく。
このUSBメモリを使ってシステムをブートすると、インストーラが自動的にUSBメモリから追加のドライバもロードして、インストール中にUSBデバイスが使えるようになる、というわけだ。
とはいえ、「AutoUnattend.xml」を手動で0から作成するのは簡単ではない。通常は、各PC/マザーボードベンダーがインストール用のUSBメモリを自動的に作成するツールを用意しているので、それを利用すれば簡単である(上述の各ベンダーのリンク参照)。
例えばASUSのマザーボードの場合は次のようにするだけで、簡単にインストール用のUSBメモリ(もしくはDVD-R書き込み用のISOイメージ)を作成できる。
以上の操作で、Windows 7 SP1のインストール用USBメモリが自動的に作成される。後はこれをシステムにセットして起動すればよい。USB 3.0のxHCIドライバは自動的にロードされるので、ユーザーは特に何も操作することなく、USBメモリやUSBキーボード、USBマウスなどを使ってインストール作業を進めることができる。
Windows 7のインストール後、USBメモリにコピーしておいた、チップセットやネットワーク、サウンド、ビデオなどのドライバ、および追加ソフトウェアなどをいったんハードディスクにコピーし、そこから順次インストールする(USBメモリ上のsetupプログラムなどを直接起動しないこと。インストール途中でUSB接続がいったん切れたり、再接続されたりすることがあるため)。
なお2TB以上のディスクにWindows 7をインストールしたければ、インストーラをUEFIモードで起動する必要がある(64bit版Windows 7を使うこと)。だが上記の操作で作成したUSBメモリではUEFIブート用のファイルが1つ不足しているので、次のTIPSを参考にして、ファイルを手動でコピーしておく。
こうやって作成したUSBメモリをシステムに挿入し、UEFIモードで起動してインストールする(UEFIモードでの起動方法についても、このTIPSを参照のこと)。UEFIが利用可能なシステムでは、ブート時のメニューが次のように表示されるので、「UEFI 〜」の方を選んで起動する。
Windows 7のインストールが終わったら、Windows Updateで最新のパッチを適用しておく。だがWindows 7 SP1以降にリリースされているパッチは200個以上あり、それらを順に適用していたのでは非常に時間がかかる。以下のTIPSで紹介している方法を使って、適用時間を短縮するとよい。
その他のWindows 7 TIPSについては、次の記事一覧ページを参照していただきたい。
■更新履歴
【2016/05/30】PS/2ポートやDVDドライブ、UEFIブートの画面写真などを追加しました。
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