2016年も、開発者、プログラマー向けの話題がたくさんありました。本稿では、今年の大きなトピックを振り返りつつ、参考にしていただきたい記事をピックアップします。それらの記事を大きく3つのトピックでまとめますので、これを読んで2016年を俯瞰してはいかかでしょうか。
早いもので2016年ももう終わりですね。今年もいろいろなことがありましたが、@IT読者の皆さんにとってどのような1年だったでしょうか。
2016年のITに関する大きな動きといえば、5月19日に日本政府が発表した新しい成長戦略の素案に集約されると思います。小学校でのプログラミング教育必修化や、3年以内のドローン配送実現、2020年の高速道路での自動走行実現、人工知能(AI)研究の推進などが主なトピックです(参考)。これと「デジタルトランスフォーメーション」という大きな流れが相まって、開発者、プログラマーに求められるスキルやマインドにも、これまでになく大きな変革が促された年といえるでしょう。
本稿では、2016年に公開した開発者、プログラマー向けコーナーの記事の中で、Facebookのシェア・コメント数上位20をピックアップします。それらの記事を大きく3つのトピックでまとめますので、これを読んで2016年を俯瞰してはいかかでしょうか(Facebookの数値は2016年12月21日時点のもの)。
ここから大きく3つのトピックでまとめます。
人工知能(機械学習、Deep Learning、チャットボット)に関する記事は1位、6位、9位、15位、20位にランクインしました。2015年から引き続き話題になることが多かった人工知能関連。特に2016年は、春頃にはLINEやMicrosoft、Facebookなどがチャットボットを簡単に作れるプラットフォームを提供し始めて、開発者、プログラマーの間で面白いチャットボットを作ることがブームになりました。
人工知能とは何かが解説された記事が1位となっているように、まだまだ概念や技術を理解するための記事の需要があるようですが、チャットボットのように実際に使えるものを作って、ビジネスにどう役立てるかという話題も増えてきました。@ITでは、下記のように特集を組んでいるので、ぜひまとめてご覧ください。
競争が激しい現在、ビジネス展開の「スピード」が差別化の一大要件となっている。「膨大なデータから、顕在・潜在ニーズをスピーディに読み解く」「プラント設備の稼働データから、故障を予測・検知して自動的に対策を打つ」「コールセンターの顧客対応を自動化する」など、あらゆるフィールドで「アクションのスピードと品質」が競争力の源泉になりつつある。こうした中で注目を集めている「人工知能」――人には実現できないスピードで膨大なデータを読み解き、「ビジネスの差別化/社会インフラの改善」を支援するものとして、今さまざまな分野で活用の検討が進んでいる。こうした動きは、ビジネス、社会をどのように変え、エンジニアには何を求めてくるのだろうか? 人工知能のインパクトを、さまざまな角度からレポートする。
FinTechに関する記事は2位、10位、12位、17位にランクインしました。FinTechの中でも大きな話題となるのは、API公開、ブロックチェーン、スマホ決済の3つですが、2016年は、それぞれ大きな進展がありました。
API公開については、12位の記事にあるように三菱東京UFJ銀行がコンテスト用に試験的に開放したり、2016年10月17日には、「API連携サービス」を提供開始したりするなど、大手銀行の動きが活発になっています。ブロックチェーンに関しては、業界団体が発足し、銀行や金融以外での検証が進むなど、今後活用されるかどうかが注目です。また2016年10月25日には、スマホ決済の本命といえるApple Payが日本でも開始されました。さらに、12月13日にはAndroid Payが開始されたばかりです。
これらの仕組みが整うことで開発者やプログラマーが開発できるものがどう広がっていくのか、日本のFinTechがどうなっていくか2017年も注目です。@ITでは、下記のように特集を組んでいるので、ぜひまとめてご覧ください。
「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を足した造語である「FinTech」。その旗印の下、IT技術によって金融に関わるさまざまな業務や処理を利便化し、ビジネスの拡大を図る動きが国内金融業界から大きな注目を浴びている。大手銀行からスタートアップまで「FinTech」という言葉を用い、新しいビジネスを展開するニュースが相次いでいる。言葉が氾濫する一方で、必要な技術について理解し、どのように生かすべきか戦略を立てられている企業は、まだ多くないのではないだろうか。本特集では金融業界がFinTechでビジネスを拡大するために必要な技術要件を浮き彫りにし、一つ一つ解説していく。
プログラミング教育に関する記事は3位、5位、8位、14位、16位、18位にランクインしました。
プログラミング教育については、2016年3月にNHK教育テレビで『Why!? プログラミング』というScratchを使った番組が放送されたことが話題になりました。さらに話題になったのが、2016年6月に文部科学省から「プログラミングを2020年度から小学生にも必修化する」方針が打ち出されたことです。これまでも低年齢の子どもがプログラミングを教わる環境はありましたが、学ぶかどうかは“選択”できるものであり、小学生に“必修化”するというのは大きなインパクトがありました。
これに伴い、これまでプログラミングを取り上げることなどなかったビジネス系の雑誌やWebサイト、さらには子育て系、教職者向け、小学生向けのものまでがプログラミングについて特集を組むようになりました。新聞やテレビでも取り上げられるようになり、これまでプログラミングに縁遠かった人たちにも「プログラミング」という言葉の認知が広まった1年になりました。@ITでも、下記のように特集を組んでいるので、ぜひまとめてご覧ください。
政府の成長戦略の中で小学校の「プログラミング教育」を必修化し2020年度に開始することが発表され、さまざまな議論を生んでいる。そもそも「プログラミング」とは何か、小学生に「プログラミング教育」を必修化する意味はあるのか、「プログラミング的思考」とは何なのか、親はどのように準備しておけばいいのか、小学生の教員は各教科にどのように取り入れればいいのか――本特集では、有識者へのインタビューなどで、これらの疑問を解きほぐしていく。
2020年に向けて、日本で「プログラミング」を取り巻く環境がどのように変化していくのか、2017年以降も注目していきたいと思います。それでは、良いお年を。
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