あなたがデザイナーかアントレプレナーなら、ぜひとも愛媛に移住して、プレイヤーのための受け皿を作ってもらいたい。
どのようなビジネスプランが考えられるか、一県民として幾つかのヒントを挙げてみる。まずは、地理的条件を逆手にとった開発と、既存産業のIT化だ。
買い物弱者も、商品を眺め、自分の意思で選択したいもの。その主体的な行動は、脳を活性化させ、認知症予防にも役立つはずだ。免許自主返納による買い物難民の増加も予想される中、客の自宅に売り場が広がる「VRショッピングシステム」を構築できれば、他の市町村にも提案できるビジネスになる。
地元に墓参り帰省できない都会人は少なくないだろう。そこで、バーチャル故人を召喚する「MR墓参り」である。生前のデータを年余にわたり蓄積していく作業も含む受注となる。慶事に関しても同様で、披露宴には、SR(Substitution Reality)利用による追想システムが考えられる。
自宅にいながらにして道後温泉を体験できる、バーチャル温泉体験システムを開発できれば、観光への呼び水になる可能性がある。色や音の喚起だけでなく、湯船での皮膚感覚のセンシングと再現といった高度な技術が求められる、挑戦しがいのあるテーマだ。
愛媛には、究極のおいしいみかんを決定するシステムが必要だ。美味の条件は糖度だけではない。試食した顧客の「表情」を読み取って、「顧客ごとに最適なみかんを提案するシステム」を作ってみるのはどうだろうか。他の果樹を育てる市町村にも、求められる技術となるだろう。
農業のIT化は待ったなしだ。気象情報やセンサーデータに基づく「疾病予防」、AIを利用した「外来生物の特定」、出没場所や行動データを収集しての「害獣駆除支援」、ビッグデータ活用の「生産予測、販売予測」、人力作業の「ロボット化」――移住先のためにエンジニアができることは山ほどある。
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