「Azure Stack HCI」は、Azureのサービスとして提供される、仮想化およびコンテナに特化したオンプレミス向けのハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)です。CPUの使用コア数に対する月額固定料金で利用できることや、「Windows Admin Center(WAC)」を使用して簡単にセットアップおよび管理できること、Azureの各種サービスとの連携が簡単なことなどが特徴ですが、お伝えしておかなければならない大事なことが幾つかあります。
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「Azure Stack HCI」は、検証済みハードウェアにプリインストールされた形でMicrosoftパートナー企業のソリューションとして導入するか、「Azure Stack HCIカタログ」に掲載されているハードウェアを購入して、Azure Stack HCIをインストールする方法で導入できます。
どちらの場合も、Windows Admin Centerを使用して「Azure Stack HCIクラスター」を構築し(画面1)、Microsoft Azureに登録することで(画面2)、サービス(Azure Stack HCIのクラスター環境)をサーバのCPUの物理コア数に基づいた月額固定料金で制限なく利用できるようになります(60日間の無料評価期間あり)。Azureの各種サービス(Azure Site Recovery、Azure Backup、Azure Update Management、Azure Monitor、Azure Arcなど)との連携も容易ですが、それには各サービスの利用料金が発生する場合があります。
以下の記事でAzure Stack HCIの無料評価版を紹介しましたが、幾つか大事なことについて触れるのを忘れていました。
1つ目は、「月額料金にはハードウェアの料金が含まれていない」ということです。Microsoftパートナー企業のソリューションを利用する場合でも、独自にハードウェアを準備して構築する場合でも、当然のことながらハードウェアの購入料金が発生します。
2つ目は、Azure Stack HCIの月額料金はAzure Stack HCIクラスターの物理コア数に対する課金であって、仮想マシンやコンテナの数は関係なく、「ゲストOSやコンテナのライセンスも含まれない」ということです。Azure Stack HCIクラスターには、WindowsやLinux仮想マシン、WindowsやLinuxコンテナをデプロイして実行できますが、Windowsや有料版のLinuxの仮想マシンを実行する場合や、Windowsコンテナを実行するためには、ライセンスが別途必要になります。
Azure Stack HCIの価格のページには、そのことが明記されています。ただし、日本語訳が誤解を与えてしまうかもしれません。
Windowsおよび有料版Linuxでは、ゲストには別途ライセンスが付与されます。
(原文:For Windows and paid version of Linux, guests are licensed separately.)
以下のドキュメントの最新の英語ページには、もう少し詳しい説明が追記されました。最近、日本語ページにもようやく反映されました。
Azure Stack HCIでは、従来のオンプレミスソフトウェアライセンスは必要ありません。ただし、ゲスト仮想マシン(VM)には個々のオペレーティングシステムのライセンスが必要になる場合があります。
Azure Stack HCIではWindows Server仮想マシンのゲストOSのライセンスが不要という誤った記事を見たので、まとめてみました。なお、Azure Stack HCIの前身は、「Windows Server 2016」や「Windows Server 2019 Datacenter」をベースにしたMicrosoftパートナーのHCIソリューションでした。その場合、Windows Server Datacenterのライセンスで無制限にWindows Server仮想マシンを実行できたので、問題の記事はその当時の情報を引きずっていたのかもしれません。
Azure Stack HCIには、Azure Stack HCI用に使えるゲストOSのライセンスというものは用意されていません。オンプレミスに通常のWindows Serverを導入する場合と同じ考え方でライセンスを用意する必要があります。
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