前回は、筆者の古い古いテスト/評価用サーバ(Hyper-V用)の電源回りがとうとう、いかれてしまったという話をしました。そして、新しいサーバにリプレースするための準備まで行いました。新しいサーバが到着したので、早速セットアップし、ディスクやデータを移行しました。
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新たに調達したサーバは、某メーカーのスリムタワー型エントリサーバです。CPUのモデルとメモリ容量(拡張性を含めて)をよく検討して選択しました。早く手に入れたいのと、予算の都合(10万円台前半に収めたい……)もあって、カスタマイズモデルではなく、特価モデルから不要なオプションを外して購入しました。
RAIDカードを搭載していますが、旧サーバのディスクを再利用できるはずと考え、標準の1TB SASディスク(3.5インチ)にしました。RAIDカードを少し安いタイプに変更することもできたのですが、そうすると納期が3カ月先に伸びてしまうので(そうでない場合は即出荷)諦めました。数千円の節約にしかなりませんでしたが、今回は光学ドライブなしの構成にしました。Windows OSのインストールメディアはISOイメージで提供され、そのサイズは一般的なDVDメディア(単層4.7GB)1枚に収まらないほど巨大化してますし(「Windows Server 2022」は5.32GB)、書き込むメディアもメディアライターも持っていません。
光学ドライブを使用しないWindows Serverの新規インストールは、本連載第196回で紹介した手順で行いました(画面1)。
標準の1TBのディスクを丸々OSのインストールに使用するのは効率的ではないので、「Windows回復環境」(WinRE)のコマンドプロンプトで以下の「DISKPART」コマンドを実行し、回復ドライブ(Recovery)をC:ドライブ(Windows)よりも前に配置して、Windows用のパーティションを127GB以内に収め、残りをデータ用のドライブの領域として使うことにしました。
DISKPART DISKPART> select disk 0 DISKPART> clean DISKPART> convert gpt DISKPART> create partition efi size=200 DISKPART> format quick fs=fat32 label="System" DISKPART> create partition msr size=16 DISKPART> create partition primary size=840 DISKPART> format quick fs=ntfs label="Recovery" DISKPART> set id="de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac" DISKPART> gpt attributes=0x8000000000000001 DISKPART> create partition primary size=120000 DISKPART> format quick fs=ntfs label="Windows" DISKPART> exit
旧サーバは既に廃棄済みですが、4台の300GB SASディスク(3.5インチ)と、2台の2TB SATAディスク(3.5インチ)は残しており、SATAディスクに旧サーバにあった仮想マシンイメージが含まれています。SASディスクは初期化済みであり、このうち3台(4ベイしかなく、1ベイは標準の1TBディスクが使用)を使用して記憶域スペースを作成し、約900GBの2つ目のデータ領域としました(画面2)。
1台目のディスクの残ったデータ領域と新しい記憶域スペースのデータ領域に、旧サーバの2TBディスクを入れたUSB外付けディスク経由で仮想マシンをコピーし、Hyper-Vを有効化して仮想マシンをインポートしました(前回説明したように、TPMが有効な仮想マシンをインポートした場合は、旧サーバにあったTPM用の証明書のインポートも必要です)。
取りあえず、これでサーバの移行は完了です(画面3)。この作業の数日後に、2021年11月のWindows Updateの日が来たのですが、旧サーバでは2〜3日かかっていたホストと大量の仮想マシンの更新作業が、1日で(それも日が明るい間だけで)完了したのは、うれしいニュースです。逆に言えば、古いサーバの遅さによく耐えてきたものだと思いました。
旧サーバは、ホットスワップ対応の最大8台のSASディスクまたはSATAディスクを搭載可能なものでした。残りのディスクも何とか新しいサーバに収められないかと考え、筐体内部を眺めてみると、ひと昔前(旧サーバは12年前のもの)とインタフェースが随分変わったなぁという印象を受けました(写真1)。
RAIDカードモデルのためか、SATA 15ピン電源ケーブルの端も口もありません。SATAの知っている口は光学ドライブ(ODD)用のものしかなく、その電源はこれまで見たことのない小さなものでした。「Slimline SATA」という光学ドライブ向けの規格です(写真2)。SATAのディスクは、miniSAS SFF-8087というケーブル用の口(SATA 0-3)に接続する必要があるようです。
早速、miniSAS SFF-8087を購入しました。電源についても活用できそうな案を見つけましたが、今購入しても1カ月ほど納品までかかるとのことでした。取りあえず、SATA/IDEと3.5インチ/2.5インチディスク対応のUSB 3.0変換ケーブルに付属していた、SATA 15ピン電源の端を持つACアダプターを活用し、外から取り入れることにしました(写真3、写真4)。
これで、2台のSATAディスクを認識させることができ、SDDであれば後2台は接続できる可能性も見いだしました。
しかし、詰め込んだ後、筐体カバーをして電源を入れると、頭の奥にまで響く、不協和音のような音に悩まされようになりました。耐震ジェルマットなど挟んでみましたが、改善せず、階下の家族からもクレームの嵐。いつか、SSDを安く手に入れたら再検討することにして、結局、旧サーバの2台のSATAディスクは、外付けUSBディスクとして利用することにしました。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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