本連載第189回では、日本語環境が生み出した「Windows Admin Center」のバグの謎について解説しました。今回も日本語環境が関係する謎を見つけたので紹介します。原因は謎のまま、日本語環境では回避できません(というか、MS-DOSや16bitアプリ向けの互換機能なので、実は何の悪影響もありません)。
この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。
WindowsのNTFSファイルシステムは、MS-DOSや16bitアプリケーション向けに、「8.3(8dot3)」形式の短いファイル名を自動生成する互換機能を提供しています。とある、有名なWindowsの専門書籍(英語)には、その生成方法が説明されています。
例えば、スペース(空白)やUnicode文字など、MS-DOSで使えない文字、前後のピリオド、最後のピリオドを除く埋め込まれたピリオドを削除するなどです(この後に3つの手順が続きます)。
書籍に例示されているファイル名で実際にファイルを作成し、「DIR /X」コマンドで8.3形式の短いファイル名を確認してみたところ、3つの例外を除いて、書いてある通りに自動生成されました。
3つの例外とは、Unicode文字を含む場合です(表1)。書籍には短いファイル名が自動生成されると書いてあるのですが、「©」は短いファイル名が自動生成されず、他の2つはUnicode文字が削除されず、一部がそのまま残ってしまいました(画面1)。
ファイル名 | 短いファイル名 |
---|---|
© | 6E2D~1 |
UnicodeName.φΔЛɅ | UNICOD~1 |
25¢.two characters | 255440~1.TWO |
表1 8.3形式の短いファイル名が自動生成されない例外 |
短いファイル名を生成しなかった「©」を含む、書籍で例示されていたUnicode文字は、日本語版WindowsではUnicode文字としては認識されず、通常の文字(MS-DOSで使える文字、実際に使えるかどうかではありません)としてそのまま受け入れているように見えます。ただし、全てのUnicode文字で同様の問題が発生するというわけではなく、「™」や「℗」はUnicode文字として認識され、期待通りの短いファイル名を自動生成しました(画面2)。
これはどういうことでしょうか? この書籍は第7版まで出ている歴史の長い書籍であり、8.3形式の自動生成については、かなり古い版から存在する内容のようです。
Windowsの新しいバージョンで仕様が変わったのか、それとも、そもそも記述に誤りがあったのかとしばらく悩みましたが、Azure仮想マシンの英語環境で同様の実験をしてみたところ、書籍に書いてある通りに短いファイル名が自動生成されました。どうやら、日本語環境、それもいろいろ試してみて分かったことは、システムロケールが「日本語(日本)」であることが原因のようなのです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.