WindowsはWindowsブートマネージャーがブート構成データからOSのブートエントリとその設定を読み取って、Windowsローダーによって起動します。Windows Vistaからのこの仕組みは、多数のカスタマイズオプションを提供しているのですが、誤解されているものや、今では全く使い物にならないものもあります。
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Windowsにおけるブートの仕組みの大きな変更は、「Windows Vista」のときに行われました。「Windows XP」以前は、起動可能な「MBR(マスターブートレコード)」ディスクから「NTローダー(NTLDR)」が「Boot.ini」ファイルを読み取って起動するものでした。
Windows VistaからはEFI(現在のUEFI)への対応、GPT(GUIDパーティションテーブル)ディスクへの対応、以前のWindowsや他のOS(Linuxなど)とのマルチブート環境への対応などのために、OS起動前に「Windowsブートローダー(Bootmgr)」と「ブート構成データ(BCD)」を挟む段階が追加されました。「Windows 8」では、タッチデバイスへの対応のための「モダンブートメニュー」の搭載、Hyper-Vハイパーバイザーへの対応などのために、さらに変更が行われています。
Windows 8になって起動直後の[F8]キーによる「詳細ブートオプション」の開始ができなくなったのは、「『高速スタートアップ』が有効になったため」という記事を見掛けますが、これは関係ありません。理由は、「モダンブートメニューの採用」です。
Windows 8で導入されたモダンブートメニューは、ペンやタッチデバイスでもOSの選択やトラブルシューティングメニュー、ツールを操作できるようにします。ペンやタッチの入力を受け付けることができるようになるブート後半でようやく利用可能になります。
既定では、マルチブート環境でない限り、通常起動時に表示されることはありませんし、[F8]キーを受け付ける起動直後の時点では、まだモダンブートメニューの準備はできていません。
マルチブート環境の場合、既定のエントリを選択するとすぐにログオン画面が表示されます。既定のエントリ以外を選択した場合は、そのOS(または異なるブート設定)で起動するためにBootmgrはWindowsを再起動するため、選択したOSが起動されるまでしばらく待たされることになります(画面1)。
Windows Vista以降では、管理者として開いたコマンドプロンプトで以下のコマンドラインを実行することで、Windows Vistaや「Windows 7」と同等のレガシーブートメニューに変更することができます(既定のモダンブートメニューに戻すには「bootmenupolicy」を「Standard」にするか、値を削除します)。
bcdedit /set {current} bootmenupolicy Legacy (または、bcdedit /set {bootmgr} displaybootmenu true)
レガシーブートメニューに切り替えると、マルチブート環境では起動直後にOS選択画面が表示され、どちらのエントリを選択しても、再起動を挟むことなくOSが起動します。マルチブート環境でない場合は、起動直後の[F8]キーで「詳細ブートオプション」に入ることができます(画面2)。
そして、「コンピューターの修復」を選択すると、モダンブートメニューの「既定の起動設定やその他のオプションの変更」を選択したときと同じ、「オプションの選択」(「デバイスの使用」「トラブルシューティング」「PCの電源を切る」などの青い画面)に入ることができます。
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