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» 2022年08月31日 05時00分 公開

お待たせしました! ITプロ必携の最新技術書『インサイドWindows 第7版 下』、その注目ポイントを紹介山市良のうぃんどうず日記(239)

『Windows Internals, 7th Edition』(日本語訳『インサイドWindows 第7版』)は、歴史あるWindows技術専門書の最新版です。2017年発行の「Part 1」から4年以上のブランクを空け、2021年10月にようやく「Part 2」が発行されました。今回は、その日本語訳となる「下」を担当した筆者が注目ポイントを紹介します。

[山市良テクニカルライター]

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山市良のうぃんどうず日記

 『Windows Internals, 7th Edition』(日本語訳『インサイドWindows 第7版』)は、1992年の『Inside Windows NT』(Helen Custe著)の第1版から始まる、歴史あるWindows技術専門書の最新版です。2017年発行の「Part 1」(日本語訳「上」は2018年発行)から4年以上のブランクを空け、2021年10月、「Windows 11」正式リリースの数日前にようやく「Part 2」が発行されました(つまり、Windows 11の内容は含まれませんが、多くは共通しているはずです)。今回は、「上」に続いて日本語訳を担当した筆者から「下」の注目ポイントを紹介します。

重量約3キロの圧倒的なボリューム感

 20年近く続く本書のシリーズは、アプリケーションやドライバ開発者、システム管理者、ITプロフェッショナル向けの、Windowsの内部構造を知るためのバイブル的な存在です。必携の書とは言いません。「上」「下」の2部構成の第7版は、辞書相当(あるいは超える)の厚さがあり、「上」「下」を合わせると3キロほどの重量になります。

 第7版は、第6版までの内容を引き継ぎつつ、「Windows 10」(主にバージョン1607、一部バージョン1703)および「Windows Server 2016」までの変更内容をアップデートしたものです。第6版は「Windows 7」および「Windows Server 2008 R2」までを対象としているため、「Windows 8/8.1」および「Windows Server 2012/2012 R2」で導入された新技術もカバーされています。

 Microsoftは、Windows 8からOS統合のプロセスを開始しました。それは「OneCore」としてWindows 10で完成し、さまざまなデバイス(PC、Phone、IoT、Xboxゲーム、Microsoft HoloLens)の全てでWindows 10、そしてモダンアプリが動くようになりました。それは、本書のシリーズの新版(つまり第7版「上」)を出すのに最適なタイミングでした。

 しかし、第7版「下」が出るまでの4年以上のブランクに、状況はさらに大きく変化しました。そのため、「上」で予定していた「下」の章立てと内容が大きく変更されており(予定されていた「ネットワーク」と「クラッシュダンプ」の章は削除されました)、Windowsの開発者や管理者、ITプロフェッショナルが本当に必要とする、あるいは知ってもらいたい内容がふんだんに盛り込まれています。

 Windows 10やWindows 11では、一般ユーザーは目で見て分かりやすい新機能やUI(ユーザーインタフェース)の変更にしか目がいかないかもしれませんが、本書を一読すれば、Windowsのコア部分は、“そうすべき理由”があって、変化を続けていることに驚くことでしょう。以下は、第7版「上」と「下」の最上位レベルの目次になります。完全な目次は筆者の個人ブログで確認できます。

第7版上

  • 第1章 概念とツール
  • 第2章 システムアーキテクチャ
  • 第3章 プロセスとジョブ
  • 第4章 スレッド
  • 第5章 メモリ管理
  • 第6章 I/Oシステム
  • 第7章 セキュリティ

第7版下

  • 第8章 システムメカニズム
  • 第9章 仮想化テクノロジ
  • 第10章 管理、診断、トレース
  • 第11章 キャッシュとファイルシステム
  • 第12章 スタートアップとシャットダウン

『インサイドWindows 第7版 下』

価格:8800円(税込み)

ISBN:9784296080205

発行日:2022年9月5日

著者名:Andrea Allievi、Alex Ionescu、Mark E. Russinovich、David A. Solomon(著)、山内和朗 訳

発行元:日経BP

ページ数:960ページ

判型:B5変

https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/22/08/05/00304/


第7版「下」で特に注目のトピックは?

 Microsoftは、Phoneデバイス向けの「Windows 10 Mobile」から撤退し、それと入れ替わりでARM/ARM64ベースの“PC”向けのWindows 10(Windows 10 on ARM)が登場しました。「下」の「第8章 システムメカニズム」と「第9章 仮想化テクノロジ」には、ARM/ARM64版Windows 10に関するトピックが追加されています(例:ARM/ARM64上のWOW64《Windows 32-bit On Windows 64-bit》。ただし、Windows 11は本書の対象ではないため、Windows 11でサポートされたx64エミュレーションについては含まれていません)。

 2017年に発見され、2018年に公表された「プロセッサの投機的実行」(この“投機的”とは悪いことではなく、プロセッサ性能を引き出す技術のことです)機能をターゲットとした「サイドチャネルの脆弱(ぜいじゃく)性」は、多くのデバイスのセキュリティに重大な影響を及ぼしました。

 「下」の「第8章 システムメカニズム」は、投機的実行機能の技術解説と、サイドチャネルの脆弱性のさまざまな亜種、そのハードウェアとソフトウェア両面からの軽減策について詳しく解説されています。この問題が、Windows 11のプロセッサ要件強化につながったことは、想像に難くありません。

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