黒や緑もあった? あの背景があの色である限り、Windowsのブルースクリーンは“青”がいいその知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(222)

“Windows 11のブルースクリーンの色が黒に変更”、そんな話を聞いたことがある人は多いと思います。その話はうそではありませんが、ほんの数カ月間のことでした。やっぱり“ブルー”スクリーンは、昔から今までずっと“青い”画面なのです。

» 2022年11月02日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

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「Windowsにまつわる都市伝説」のインデックス

Windowsにまつわる都市伝説

「黒いブルースクリーン」体験は2カ月ほどで終了しました

 重大な問題が原因で、Windowsが予期せずシャットダウンまたは再起動(通常のシャットダウンや再起動ではなく、突然の停止)した場合には、「ブルースクリーンエラー」が発生することがあります。ブルースクリーンエラーは、「死のブルースクリーン(Blue Screen of Death、BSoD)」「STOPエラー」「バグチェック(BugCheck)」などと呼ばれることもあります。

 ブルースクリーンエラーは、ソフトウェアのバグやハードウェアの問題(デバイスドライバのバグや互換性の問題)で発生することが多いため、Windowsの品質の問題であるというイメージを持たれている人も多いと思いますが、セキュリティ侵害を回避するために、“Windowsが意図的”に発生させることもあります。

 例えば、「Windows 10」や「Windows 11」の「仮想化ベースのセキュリティ(Virtualization-Based Security、VBS)」で実現されるセキュアカーネルでは、CPUの保護されたレジスタやデータ構造体に変更が加えられると、直ちにバグチェックを発生させ、システムがクラッシュし、その結果、ブルースクリーンが表示されます。

 こうしたSTOPエラーの表示画面は、Windowsのかなり古いバージョン(初めて実装されたのは「Windows 95」といわれています)から「青い」背景でした。それがブルースクリーンやBSoDと呼ばれる理由です。「Windows Vista」では「赤い画面(レッドスクリーン)」になるというウワサも飛び交いましたが、実際にはブルースクリーンでした。その後のWindowsもずっとブルースクリーンのままです。

 Windows 11の最初のバージョン(21H2、OSビルド22000)では、確かに「黒いブルースクリーン」が実装され、一般向けにリリースされました(画面1)。“黒いブルースクリーン”という表現はおかしいですね。「STOPエラーの背景が黒い画面」というのが正しい表現でしょう。

画面1 画面1 Windows 11 バージョン21H2の初期ビルド(ビルド22000.318、2021年11月Bリリース)には、実際に“黒い”ブルースクリーンがあった

 しかし、この黒い背景色は、正式リリースの翌月にリリースされたオプションの更新プログラム(2021年11月のCリリース)で、これまでと同じ青に戻されました(画面2)。そのことは、更新プログラムのリリースノートに分かりにくい表現(特に機械翻訳ベースの日本語)ですが、記されています。

以前のバージョンのデバイスと同様に、デバイスの動作が停止した場合や停止エラーが発生した場合は画面の色を青にWindows(Changes the screen color to blue when a device stops working or a stop error occurs as in previous versions of Windows)
筆者訳:デバイスの動作停止やSTOPエラーが発生したときの画面の色を、以前のバージョンのWindowsと同じ青に変更します

画面2 画面2 現在のWindows 11(ビルド22000.348以降)のブルースクリーン

 STOPエラー背景色の黒から青への変更を含む2021年12月のセキュリティ更新によって、ほとんどのWindows 11デバイスは青いブルースクリーンに戻されたのです。青に戻される前までに、黒いブルースクリーンに遭遇した人はほとんどいないのではないでしょうか。ちなみに、Windows 11 2022 Update(バージョン22H2)は、最初から青いブルースクリーンです。

Insiderビルドは「グリーンスクリーン」

 MicrosoftはWindows 10以降、「Windows Insiderプログラム」を通じてフィードバックを集めながら新しいOSビルドや更新プログラムの開発を進めています。Windows Insiderプログラムの「Dev」や「β」チャネルでは、STOPエラーに緑色の背景が採用されていて、リリースビルドと明確に区別できるようになっています。

画面3 画面3 Windows InsiderビルドのSTOPエラーは緑色の背景

 STOPエラーに緑色の背景が存在するなんて、一般ユーザーにはどうでもよいことだと思いますが、3つの画面を比較してみてください。2次元コード(QRコード)の背景が全て青であることに気が付いたでしょうか。2次元コードの背景色が青である限り、リリースビルドのSTOPエラーは青い背景のままである気がします。

 インターネットを画像検索すると、別の色(例えば、黄色)のブルースクリーンが見つかるかもしれませんが、おそらくグラフィックス回りのハードウェアやディスプレイドライバの問題と思われます。なぜなら、青い背景で固定されている2次元コードを含めて表示色がおかしいからです。

 ところで、この2次元コードをスマートフォンなどで読み取ってみたことはありますか。2次元コードを読み取ると、以下のページに誘導されます。STOPエラーの種類によって、異なるページに誘導されることなんてありません。

 以前はあまり役に立ちそうにない情報だと勝手に思っていましたが、スクリーンショットを含むトラブルシューティング手順はPCにあまり慣れていないユーザーにとって役に立つかもしれません(画面4)。

画面4 画面4 ブルースクリーンエラーのトラブルシューティング

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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