「Unified Update Platform(UUP)」は、Windows 10の途中のバージョンで導入され、改善されてきたWindowsの新しい更新テクノロジーです。Windows 11にはその成果が反映されており、ダウンロードサイズの縮小などに役立っています。2023年第1四半期からは、オンプレミスの更新管理環境でも、UUPベースの品質更新、機能更新を提供できるようになる予定です。
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「Unified Update Platform(UUP)」は、まず「Windows Insiderプログラム」で導入され、その後、「Windows 10」のバージョン1709(Fall Creator Update)から採用されているWindowsの新しい更新テクノロジーです。
UUPは、Windows Updateを通じて提供される、Windowsや.NET Frameworkの品質更新プログラムと機能更新プログラムに採用されています。そのアーキテクチャの詳細は、以下の公式ドキュメントを参照してください。
2021年10月にリリースされた「Windows 11」(バージョン21H2、OSビルド22000)は、いってみれば、最初からUUPに対応したOSとして登場しました。2022年9月20日(米国時間)にリリースされた次のバージョン「Windows 11 2022 Update」(バージョン22H2、OSビルド22621)は、Windows 11に対して提供される初めての機能更新プログラムです。
Windows 11 バージョン22H2では、機能更新プログラムと毎月の品質更新プログラムのパフォーマンスを向上させ、ダウンロードサイズやディスク使用を削減するために、UUPを強化するとともに、プリインストールアプリやオンデマンド機能、言語パックの処理方法の再設計などが行われています。
UUPベースの機能更新プログラムを使用すると、以下のような新機能により、OSのアップグレード管理が簡素化されます。
これにより、独自のカスタムイメージや複雑なタスクシーケンスの作成が不要になります(「Microsoft Endpoint Configuration Manager」(*1)を使用している場合)。
(*1)「Microsoft Ignite 2022 」で製品ブランドが「Microsoft Intune」の配下に入り、製品名が「Microsoft Configuration Manager」になることが発表されました。
また、UUPベースの品質更新プログラムには、以下のような新機能が含まれます。
Microsoftが公開した以下のブログ記事によると、ラボ環境での検証や診断データから、Windows 11 バージョン21H2と比較して、ダウンロードサイズで13〜14%(最大でも450MB程度)、インストールされたディスク領域で8〜17%削減されているということです。品質更新プログラムについても、ダウンロード時間、インストール時間、CPU使用率に大幅な改善が確認されています。
現在、UUPはWindows Updateから機能更新プログラムや品質更新プログラムをダウンロードする際に利用されます。Microsoft Endpoint Configuration Manager(以下、ConfigMgr)や「Windows Server Update Services(WSUS)」ベースのオンプレミスの更新管理環境では利用できません。
Microsoftは2022年10月から、オンプレミスの更新管理環境向けにUUPのパブリックプレビューを開始しています。パブリックプレビューの対象は、Windows 11の機能更新プログラムと品質更新プログラムで、.NET Frameworkの更新プログラムは含まれないようです。2023年の早い時期(第1四半期)には、一般提供が開始される予定です。
パブリックプレビューにサインアップすると、UUPベースの更新プログラムがConfigMgr(バージョン2111以降、2203を推奨)やWSUSに同期されるようになり、Windows 11 バージョン22H2へのアップグレード(Windows 10 バージョン21H1以降をサポート)やWindows 11の品質更新プログラムのUUPによる配布をテストできます(画面1〜3)。2023年のサービス一般提供以降は、全ての新しいWindows 11の更新プログラムは、ConfigMgrとWSUSに対してUUPで配信される予定です。
UUPの詳細な仕組みの説明は省きますが、試用してみると、毎月の品質更新プログラムのUUPと毎月リフレッシュされる機能更新プログラムのUUPの、WSUSサーバにダウンロードされるサイズの大きさに違いがあることが分かりました。WSUSサーバとWSUSクライアント間のダウンロードトラフィックは最適化されるようですが、Microsoft UpdateからWSUSサーバへのコンテンツのダウンロードは、特に品質更新プログラムのUUPに関して時間がかかるようになります。
各品質更新プログラムと機能更新プログラムのUUPには、最新のWIMファイルが複数(オンデマンド機能や言語パックなど)含まれます。1つのUUPのサイズは、品質更新プログラムであるか機能更新プログラムであるかに関係なく数GBになります(2022年10月のWindows 10 バージョン22H2用の品質更新プログラムUUPは6GB以上)(画面4)。なお、WSUSサーバにダウンロードされた更新プログラムのファイル群はWSUSクライアントのインストールソースになりますが、その全てがWSUSクライアントにダウンロードされるわけではありません。
これは、WSUSサーバの記憶域の使用に大きく影響する可能性があることに注意した方がよいでしょう。十分な空き領域がない場合は、WSUSサーバに更新プログラムをダウンロードさせずに、WSUSクライアントがMicrosoft Updateから更新プログラムをダウンロードするようにWSUSサーバを構成することを検討した方がよいかもしれません。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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