グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はGAテクノロジーズのAaron Bramson(アーロン・ブラムソン)さんにお話を伺う。サイエンティストとしての仕事の他に、愛する地下足袋の会社まで立ち上げてしまうバイタリティーあふれる同氏の幼少期は意外にも「普通の子」だったという。
国境を越えて活躍するエンジニアにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。今回は、ネット不動産マーケットプレイス「RENOSY(リノシー)」を運営するGA technologies(GAテクノロジーズ)でさまざまな研究やサービス開発に携わるAaron Bramson(アーロン・ブラムソン)さんにお話を伺った。勉強もスポーツも音楽も大好きで、毎日暗くなるまで遊び歩く元気いっぱいな少年はなぜサイエンスの道に進んだのか。聞き手は、アップルやディズニーなどの外資系企業でマーケティングを担当し、グローバルでのビジネス展開に深い知見を持つ阿部川“Go”久広。
Aaron Bramson(アーロン・ブラムソン、以降、アーロンさん) 最初にお伝えしなければなりませんが、私はエンジニアではないのですよ。
阿部川“Go”久広(以降、阿部川) どういうことでしょうか? Go Globalはグローバルな活躍をするエンジニアにお話を伺う連載なので、エンジニアでないとなると……(ごにょごにょ)。
アーロンさん 私はエンジニアではなく、科学者です。コードは書きますが、それはサイエンティストの仕事の一つとしてやっています。
阿部川 なるほど、そういうことですね(ほっ)。面白いお話なので、後ほど詳しく聞かせてください。では、最初は基本的な質問を。お生まれはどちらですか。
アーロンさん 米国の首都、ワシントンD.C.の近くで生まれました。3歳のときにフロリダに引っ越し、大学を卒業する21歳まで住んでいました。
阿部川 どんなお子さんでしたか。
アーロンさん 内向的でも外交的でもなく、普通の男の子だったと思います。自然やサイエンスに関するテレビ番組を見たり雑誌を読んだりすることもあれば、たくさんいる友達と外で遊ぶもの好きでした。自転車で遠くに出掛けたり、ビーチに泳ぎに行ったりもしました。特別なことはない、“米国の子どもの暮らし”でした。
阿部川 小学校や中学校のころはどんな科目に興味がありましたか。
アーロンさん 全部の教科ですね。「勉強すること自体が好きだった」ともいえます。学校で習ったことを吸収するのは楽しいことでしたし、私と同様に考えることが好きだという友人がそばにいましたから、何の苦もなく勉強に取り組めました。あるときなどは、自分のクラスの宿題の他に違うクラスの人の宿題も解いてあげて、気が付くと学校中の宿題を解いていたことがあります。
阿部川 それはすごい。それほど勉強するのが好きだったということですね。
アーロンさん 好き、というかですね。うーんなんといえばいいか……。普通の人は、簡単だと思えることなら気軽にやれますよね。逆に難し過ぎて自分には才能がないと分かると、嫌いになる。
例えば、私は音楽が好きなのですが、楽器を奏でる才能はないと思っています。でも、できるようになりたいので何とかやってみようと頑張る。いろいろな楽器や曲に挑戦して、だんだんうまくなってはいくのですが、素晴らしくうまくはならない。それでフラストレーションがたまってしまうのです。私は決してプロのミュージシャンにはなれない。その理由の多くは才能の欠如で、それはどんなに努力しても解決できない。うまくならないのが分かっているのに1日何時間も練習するなんて楽しいわけがないですよね。
好きだから続けられるとはよく言いますが、確かに「好きかどうか」と「プロとして活躍できるかどうか」は違います。でも小さいときからそんなふうに冷静に分析できるものでしょうか。一番すごいと思うのは、才能がないからプロは目指さないものの好きなことには変わりない、と考えていること。すごいですねぇ。
でもサイエンスや数学、小説や歴史などは、勉強すればすぐに分かるし、公式もある。簡単だから楽しくなるのだと思うのです。学べば学ぶほど理論的な整合性が強くなり、パズルが埋まっていく感覚です。
阿部川 やればやるほど身に付くという経験は素晴らしいですよね。ちなみにスポーツはどうでしたか? フロリダなら何でもできたでしょう。
アーロンさん おっしゃる通りです。高校生になってマーシャルアーツを習い、サイクリングにも没頭しました。車に乗れるようになるまではいつも自転車に乗っていました。毎日学校が終わると、そこから10キロほどそのときの気持ちに任せていろいろな場所にサイクリングに行きました。友達のところや本屋など自転車で夜まで走り回っていました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.