2024年1月のWindowsの定例更新から数日後、テキストファイルを新規作成しようと、いつものようにフォルダやデスクトップ上を右クリックし、「新規作成」コンテキストメニューを開いたところ、そこにあるはずの「テキスト ドキュメント」が存在しないことに気が付きました。調べてみると、Windows 11でちょくちょく報告される不具合のようです。解決策も幾つか見つかりますが、それらはちょっとやり過ぎかもしれません。
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筆者が使用している「Windows 11」で、「新規作成」メニューから「テキスト ドキュメント」が消えたのがいつからなのかはっきりしていません。日常的に使用していたメニューなので、少なくとも気が付いた前日までは使えていたと思いますが、それが消えてしまいました(画面1)。
インターネットで調べてみると、Windows 11を利用していると高確率で遭遇する不具合の一つ(※本稿を最後まで読んでいただけると“不具合”は言い過ぎかもしれませんが……)のようで、民間療法的なものを含む解決策が幾つか見つかります。例えば、以下のような解決策です。
最後の解決策が、最も簡単そうです。試す価値のあるものと思い、「設定」アプリの「アプリ\インストールされているアプリ」の一覧から「メモ帳」を選択して「アンインストール」を実行しました。その後、「Microsoft Store」アプリで「Windows Notepad」を検索し、「入手」をクリックしてメモ帳をインストールしてからPCを再起動してみました(画面2、画面3)。
確かに、この方法で「テキスト ドキュメント」コンテキストメニューを復活させることができました(画面4)。しかし、もっと簡単な方法はないものでしょうか。
他のWindows 11 PC/仮想マシンはどうなのかと数台を調べてみたところ、「新規作成」コンテキストメニューから「テキスト ドキュメント」が消えているものはありませんでした。
起動ついでに、「Microsoft Edge」を最新バージョンに更新し、モダン(ストア)アプリも最新にしておこうと、「Microsoft Store」の「ライブラリ」を開いて更新を確認したところ、ちょうどそのタイミングで「Windows Notepad」の更新バージョンのダウンロードとインストールが始まりました。
そして、インストール完了後、Windows Notepadのダウンロード/インストール中は存在していた「新規作成」コンテキストメニューから「テキスト ドキュメント」が消えてしまったのです。試しに、Windows 11にサインインし直してみると(サインアウト/サインイン)、「新規作成」コンテキストメニューに「テキスト ドキュメント」が再び表示されました(画面5〜7)。
つまり、メモ帳(Windows Notepad)の更新バージョンがインストールされると、一時的に(そのサインインセッションでは)、「新規作成」コンテキストメニューから「テキスト ドキュメント」が消えることがあり、Windowsからサインアウト/サインインするか、PCを再起動すれば元の正常なメニューに戻るようなのです。
複数のWindows 11環境で同様の挙動を確認したので、「新規作成」コンテキストメニューから「テキスト ドキュメント」が一時的に消えるのは“仕様”なのかもしれません。ただし、メモ帳の更新バージョンをインストールするたびに必ずこの状況になるのかどうかというと、そこまでは断定できません。
最初に「新規作成」コンテキストメニューから「テキスト ドキュメント」が消えた筆者のWindows 11 PCは、数日前に「Windows Update」のための再起動後、休止状態/再開で利用し続けています。そのため、その後、メモ帳の更新バージョンがインストールされてから、一度もサインアウトや再起動せずに使用していたことになり、「テキスト ドキュメント」コンテキストメニューが消えた状態が続いたというわけです。筆者と同じように、日常的に休止状態やスリープを使ってPCを使用している人は注意してください。
Windows 11でこのような現象が発生するようになったのは、「Windows 10」まではシステムコンポーネントの一部(デスクトップアプリとしてのNotepad.exe)だったものが、Windows 11でモダンアプリ化された影響と思われます。
Windowsのシェル(Explorer.exe)やモダンアプリで何かおかしいことに遭遇したときは、焦って余計なことをする前に、サインアウト/サインインやPCの再起動を試した方が早く解決するかもしれません。冒頭に紹介した解決策は、たとえ解決できたとしても、どれもやり過ぎです。もちろん、まったく別の不具合でコンテキストメニューがおかしくなることもあるかもしれません。サインアウト/サインインやPCの再起動で解決できなかったら、そのときに別の方法を試してみればいいのです。
聞くところによると、Microsoftはメモ帳にもAI(人工知能)機能を搭載しようとしているようです。しかし、メモ帳のような基本的なツールは“いつでも、どこでも、確実に使える”ように、徹底してシンプルにしてほしいものです。WinREでは今でも使える“旧メモ帳”やUNIX/Linuxの「vi」のように……。それが個人的な願いです。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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