最後に、ユーザー向けの機能もいくつか紹介します。ユーザー向けの機能といっても、開発者も気にするべきところが多くあります。
Android 2.3では、ユーザーインターフェイス(以下、UI)の多くの点がシステム全体に渡り洗礼され、より豊富なエフェクトを備えるようになりました。黒を基調としたテーマで、通知バー、メニューおよびUIの他の部分にコントラストをもたらしています。
ユーザーナビゲートとシステム、デバイスの機能制御のためのメニューや設定の変更が容易になりました。
ダウンロード管理機能によってユーザーは、Webブラウザや電子メール、または別のアプリからダウンロードしたファイルにアクセスできます。
ソフトキーボードが、効率良くテキスト入力と編集できるように再デザインされました。入力中の文字とサジェストをより大きく鮮やかに表示します。
キーボードはサジェストの中の候補を修正できるようになりました。ユーザーは、すでに入力した単語を選択するように、サジェストから候補を選択して置換可能です。また、音声入力でも候補を選択可能です。このサジェスト機能は、ユーザーが候補を修正した後、必要なら候補をオリジナルに戻す手段も提供します。
新しいマルチタッチ入力では、ユーザーは数字とシンボルを、[Shift]+文字キーや[1][2][3]……+記号キーという組み合わせで入力モードを変更することなく入力できます。ユーザーは、特定のキーからキーを選択してスライドさせることでアクセント記号付き文字、数字および記号のポップアップメニューを使用可能です。
タッチとキーボードのイベントを高速かつ効率的に処理することにより、イベント発生時のCPU使用率を最小限に抑えられるようになりました。この変更は、すべてのアプリの応答性を向上し、特に3Dグラフィックスや、その他CPU処理が重い、タッチイベントを使用するゲームアプリなどで有効です。
テキスト入力時またはWeb閲覧時に、ユーザーが単語をタップすると、自由選択モードが開始し、矢印をドラッグすることで選択範囲を調整し、選択範囲の任意の場所をタップすることでクリップボードにコピーできます。
テキスト入力時は、ユーザーはカーソルモードを入力し、カーソルをドラッグすることで正確かつ簡単にカーソルの位置を調整できます。選択とカーソルモードでは、トラックボールを必要としません。
Android 2.3では、バックグラウンドで長い間デバイスを使用し続けたり、またはCPUリソースを消費するようなアプリのバッテリ管理を改善しました。そのようなアプリを必要に応じて終了させることで、システムのパフォーマンス向上とバッテリ寿命確保を改善しています。Android 2.3では、ユーザーにシステムコンポーネントとアプリの電力消費状況を可視化します。
アプリ設定では、システムコンポーネントまたはアプリが消費する相対的な処理能力の詳細と合わせて、バッテリ消費の概要を伝えます。
ホームスクリーンとランチャーのオプションメニューでは、アプリ管理へのショートカットを表示し、アプリのActivityのチェックと管理の利便性を向上します。ユーザーがいったんアプリケーション管理を開くと、新設された実行中タブはアクティブなアプリと、アプリで使用されるストレージとメモリのリストを表示します。
ユーザーは各アプリについての詳細を読んだり、必要に応じてアプリを終了したり、開発者にフィードバックを送ったりすることが可能です。
Android 2.3では、新しい機能に加え、ネイティブアクセスのサポートが非常に充実したのも印象的です。
またネイティブアクセスによるパフォーマンス向上だけではなく、以下のようにコアライブラリでもさまざまなパフォーマンス向上を実現してます。
最後にパフォーマンス関連での新機能を紹介します。Android 2.3のDalvik VMは、アプリの一時停止を最小限に抑え、滑らかなアニメーションの確保、ゲームなどのアプリでの応答性を増加するコンカレントGCを新たに取り入れました。GC時には、3msの一時停止時間のみとなるようです。
また、JIT(コード生成)の最適化機能の追加やコード検証の改善、パフォーマンスとメモリの問題を識別するためのStrictModeデバッグも実現します。
今回の記事は、「Android 2.3 Platform Highlights | Android Developers」を参考にしています。また、より多くの新しいAPI情報についてはAndroid 2.3バージョンノートとAPI相違点レポートを参照してください。
次回は、Android 2.3で追加された機能の中から1つを取り上げて、紹介しようと思います。
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