Compatibility packageを利用してFragmentを利用するActivityは、Compatibility packageで提供されるFragmentActivityを継承しなければなりません。
前回のサンプルアプリでは、Fragmentの実装方法を説明するために、あえてあまり良くない方法を取りましたが、今回その実装が裏目に出てしまいました。前回のソースコードには、より良い実装方法がコメントアウトされている状態になっているのですが、そのコメントアウトを元に戻す修正が必要です。
Compatibility packageに付属しているソースコードを見たところ、内部ではListFragmentで使用されるListViewは、「android.R.id.list」パッケージで定義されていることを期待しています。onCreateView()をオーバーライドして独自にViewを作ることは、3.0のFragmentの実装では問題ありませんでしたが、Compatibility packageの実装では想定されていないようです。
これで、ようやく2.3上でFragmentが動作するようになります。
ここまでは、単にFragmentを2.3で動作するようにしただけですが、Fragmentの本来の目的は画面の大きさの違いを吸収することであり、あと一手間でそれができるため、やってしまいます。
仕様は、「幅が800ピクセル以上ならタブレットのように分割し、そうでなければスマートフォンのように分割しない」ということにします。
詳細はソースコードを見てもらうということにし、ここではポイントをかいつまんで説明します。
Display display = wm.getDefaultDisplay(); int width = display.getWidth(); if (width < 800) { setContentView(R.layout.bookmark); } else { BookmarkFragment.withFragment = true; setContentView(R.layout.main); }
幅が800未満であるかどうかをActivity内で判定し、適用するレイアウトを選択しています。レイアウトは別途用意する必要がありますが、もともと2つ並んでいたFragmentの1つを削除しただけのレイアウトであることは、見てもらえばすぐに分かります。
@Override public void onListItemClick(ListView l, View v, int position, long id) { Log.d(TAG, "onListItemClick"); if (withFragment) { if (position == 0) { getFragmentManager().popBackStack(); } else { String url = BOOKMARKS[position][1]; WebFragment web = new WebFragment(url); FragmentTransaction ft = getFragmentManager().beginTransaction(); ft.replace(R.id.fragment2, web); ft.addToBackStack(null); ft.commit(); } } else { if (position == 0) { getActivity().finish(); } else { Intent intent = new Intent(getActivity(), WebActivity.class); intent.putExtra("url", BOOKMARKS[position][1]); getActivity().startActivity(intent); } } }
リストがクリックされた際に、Fragmentを使用しているかそうでないかによって、Fragmentをリプレイスするか、Intentを発行するか動作を切り分けています。Fragmentを使用しない場合、新たに遷移先のActivityが必要ですが、処理自体はFragment側にあるので、以下のような簡単な実装で済んでしまいます。
package com.example.android.fragment; import android.support.v4.app.FragmentActivity; import android.os.Bundle; import android.view.Window; public class WebActivity extends FragmentActivity { @Override public void onCreate(Bundle savedInstanceState) { super.onCreate(savedInstanceState); requestWindowFeature(Window.FEATURE_NO_TITLE); setContentView(R.layout.web); String url = getIntent().getStringExtra("url"); WebFragment wf = (WebFragment)getSupportFragmentManager().findFragmentById(R.id.fragment2); wf.getWebView().loadUrl(url); } }
こうした対応を行うことで、画面が大きければ画面分割をし、画面が小さければ今までどおりの画面遷移を提供するアプリが、2.3でもできるようになります。
現在はAndroid 2.x系とAndroid 3.x系が同時進行している状態ですが、どちらが古い、どちらが新しいということではなく、それぞれスマートフォン向け、タブレット向けのエディションであると考えてもらえればよいと思います。
また、Androidのデバイスは多様化しており、電子書籍リーダー、メディアプレイヤー、フォトフレームなど、タブレットとスマートフォンの間の画面サイズを持つ製品がすでに登場しています。それらのAndroidのバージョンは、ソースコードが公開されていないなどの問題から、3.xではなく2.xが採用されていることが多く見られます。
そうしたデバイスで快適な操作性を提供したいと考えるなら、Compatibility packageを適用しない手はないでしょう。
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