大阪といえば、お笑い、たこ焼き、ヒョウ柄のおかん――いえいえ、それだけじゃないんです。大阪は、エンジニアが住みやすく働きやすい街なんです。
「@IT式 U&Iターンスタイル」は、全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えていく。ご当地ライターたちのリアルな情報は、U&Iターンに興味のある方々の役に立つだろう。
はじめまして。「U&Iターンの理想と現実:大阪編」の執筆を担当する、楽天の國枝と伊藤です。
私たちは共に関西へUターンした経験があります。その経験を生かして、大阪で住むこと働くことの東京との違い、大阪で働くエンジニアの仕事風景を伝えていきます。
IT業界は東京一極集中といわれています。東京にいれば、仕事はあるし、カンファレンスや勉強会、セミナーもたくさん開催されているので、スキルアップのチャンスが十分にあるからです。
ITエンジニアの多くも、東京に集まっていると考えられます。経済産業省が発行している「平成27年特定サービス産業実態調査」で確認してみましょう。
都道府県 | ソフトウェア業従業者数 | 東京との比率 | 総人口 | 東京との比率 | GDP(名目) | 東京との比率 |
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東京 | 31万8258人 | ― | 1351万5271人 | ― | 93.0兆円 | ― |
大阪 | 6万4728人 | 4.9倍 | 883万9469人 | 1.5倍 | 37.8兆円 | 2.4倍 |
福岡 | 2万1169人 | 15.0倍 | 510万1556人 | 2.6倍 | 18.0兆円 | 5.1倍 |
宮城 | 8536人 | 37.2倍 | 233万3899人 | 5.8倍 | 8.8兆円 | 10.5倍 |
愛知 | 3万4661人 | 9.2倍 | 748万3128人 | 1.8倍 | 35.0兆円 | 2.6倍 |
神奈川 | 7万0505人 | 4.5倍 | 912万6214人 | 1.5倍 | 30.0兆円 | 3.1倍 |
出典:経済産業省「平成27年度 特定サービス産業実態調査報告書」、東京都、大阪府、福岡県、宮城県、愛知県、神奈川県 |
東京のソフトウェア業従業者数は「31万8258人」、対して大阪は「6万4728人」です。東京/大阪の人口差「約1.5倍」GDP差「2.4倍」に対して、ソフトウェア業従業者数は「4.9倍」も開きがあります。
大阪とおおむね同等規模の愛知も似たような傾向で、少し規模の小さい福岡、宮城などはさらに差が広がっています。つまり、いずれの府県も経済規模の割にはITエンジニアが少ないことが分かります。
この数字を見ると「やっぱりITは東京有利だ」と思ってしまいますが、「大阪は経済規模に対してITエンジニアが全然足りていない」とも考えられます。つまり「大阪にUターン/Iターンするなら今がチャンス」ということです。
従業者数が少ないということは、IT系の求人が少ないということでしょうか?
いえ、そんなことはありません。例えば2016年9月度の大阪府内の情報処理・通信技術者の有効求人倍率は「4.41倍」と、他業種に比べて著しく高い状態です(出典:大阪労働局)。私が勤める楽天も、他社の知り合いも、エンジニアの採用にはとても苦労しています。
収入はどうでしょうか?
都道府県 | 情報通信業の平均年収 |
---|---|
東京 | 約719万円 |
大阪 | 約645万円 |
出典:「都道府県、産業別1人平均月間現金給与額(事業所規模30人以上)」厚生労働省 |
厚生労働省の「都道府県、産業別1人平均月間現金給与額(事業所規模30人以上)」によると、情報通信業の平均年収は、東京「約719万円」に対して大阪「約645万円」で、「約74万円」の開きがあります。
全年齢の平均なので一概にはいえませんが、東京の方が年収が高いのは確かです。しかし、この後紹介するように、大阪の方が東京より家賃が安いことなどを考えると、自由にできるお金の差はそれほど大きくないかもしれません。
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