2023年4月から変更されたWindows Updateのリリースサイクル、その内容と今後の対応企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内(12)

Microsoftはこれまで、Windows 10およびWindows 11に対するセキュリティ更新を含む品質更新プログラムを「第2火曜日」(日本ではその翌日の水曜日)に、オプションの更新プログラム(更新プログラムのプレビュー)をその翌週または翌々週にリリースしてきました。このリリースサイクルが「2023年4月」から少し変更されました。

» 2023年05月16日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

「企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内」のインデックス

企業ユーザーに贈るWindows 11への乗り換え案内

オプションの更新プログラムは、一部のバージョンだけに、第4火曜日に

 Microsoftはこれまで、サポートされる「Windows 10」「Windows 11」とWindows Serverの各バージョンに、毎月2回「品質更新プログラム」をリリースしてきました(緊急の定例外の更新プログラムを除く)。1回目は「第2火曜日」(時差の関係で日本ではその翌日の第2または第3水曜日)にリリースされるセキュリティ更新を含む「累積(的な)更新プログラム(Cumulative Update《CU》)」で、「Patch Tuesday」や「Bリリース」(「B」は第1を「A」とした場合の第2の意)と呼ばれることもあります。

 2回目は、セキュリティ以外の更新プログラムを含む「累積(的な)更新プログラムのプレビュー」であり、「CU Preview」「プレビューリリース」「Cリリース」などとも呼ばれます。「プレビュー」とは、翌月のBリリースで行われる修正や新機能をいち早く導入したい、あるいは事前に評価したい管理者やユーザー向けの更新プログラムであることを意味しており、自動更新の配布や「Windows Server Update Services(WSUS)」の同期対象外です。

 Windows 10の初期バージョンでは3回リリースされることもあり、その場合、1回目を「Bリリース」、2回目を「Cリリース」、3回目を「Dリリース」と呼んでいました。その後、CリリースとDリリースが統合される形で「累積更新プログラムのプレビュー」と名称が変更された後も、「Cリリース」という呼び方が使われることもあります。

 2023年1月に「Windows 8.1」のサポートが終了し、同じ日に「Windows 7」や「Windows Server 2008/2008 R2」の3年目の「拡張セキュリティプログラム(Extended Security Update《ESU》)」が終了し、サポートされるクライアントOSはWindows 10とWindows 11だけになりました。

 また、Windows Serverに関しては、2022年末まで順次、累積更新プログラムのプレビューの提供を終了し、既にBリリースのみの提供となっています。そのようなこともあり、Microsoftは毎月のWindows Updateのリリースについて、公式ブログ上であらためて説明しました。

 新たな方針では、Bリリースはこれまでと変わらず、サポートされている全てのWindowsおよびWindows Serverのバージョンに対してリリースされます。しかし、累積更新プログラムのプレビューについては、Windows 10の最新バージョン(22H2)およびWindows 11(21H2および22H2)に対してのみ、「第4火曜日」(日本ではその翌日)にリリースされることになります。この新たな方針は、2023年4月25日(日本では4月26日)に以下のWindowsと.NET Frameworkの累積更新プログラムのプレビューリリースから開始されました(画面1画面2)。


画面1 画面1 2023年4月のWindows 11 バージョン22H2向け更新プログラムのプレビュー。.NET Frameworkの更新プログラムのプレビューを含め、インストールするにはユーザーの選択が必要
画面2 画面2 2023年4月のWindows 10 バージョン22H2向け更新プログラムのプレビュー。.NET Frameworkの更新プログラムのプレビューについては、「更新プログラムのチェック」をクリックするとダウンロードとインストールが始まる

 上記2つの画面では、.NET Frameworkの更新プログラムのプレビューの挙動にも注目してください。Windows 11 バージョン22H2では、.NET Frameworkの更新プログラムのプレビューもまたオプションの更新プログラムとしてユーザーの選択でインストールされるように改善されました。

 この挙動は、2023年1月の更新プログラムのプレビュー(KB5022360)以降のビルドで追加された改善点です。Windows 10 バージョン22H2およびWindows 11 バージョン21H2では、これまでと同様に、Windows Updateの「更新プログラムのチェック」をクリックすると、利用可能であれば.NET Frameworkの更新プログラムのプレビューがダウンロード、インストールされます。

Windows 11 バージョン22H2のWindows Updateに新しいオプション

 Windows 11 バージョン22H2に向けた2023年4月の更新プログラムのプレビューでは、Windows Updateに「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」オプションが追加されます(画面3)。この新機能は、2023年5月10日の更新プログラム(Bリリース)で一般提供されました。

画面3 画面3 Windows 11 バージョン22H2のビルド22621.1635以降では、Windows Updateに「利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する」オプションが追加される

 Windowsでは既定で、セキュリティ修正を含む更新プログラム(Bリリース)および緊急(定例外)の更新プログラムは自動更新でインストールされますが、オプションの更新プログラム(Cリリース)はユーザーが指示してインストールする必要があります。

 新しいオプションは、新たなセキュリティ修正を含まない更新プログラム(Cリリースなど)や機能更新プログラム、新機能を含む更新プログラム(「Moment Update」とも呼ばれます)を、利用可能になったらすぐにダウンロード、インストールするものです。なお、「Windows Update for Business」ポリシーやWSUSで管理されているデバイスでは、このオプションのオン/オフを切り替えることはできません(画面4)。

画面4 画面4 Windows Update for BusinessポリシーやWSUSで管理されているデバイスでは、新しいオプションはグレー表示になる

2023年4月時点の更新プログラムの提供状況とサポート終了日

 以下に、2023年4月からの更新プログラムの提供状況とこれまでのいきさつをまとめました。

Windowsのバージョン 更新プログラム提供状況
Windows 11 バージョン22H2 Bリリースおよびプレビューリリースを提供中
Windows 11 バージョン21H2 Bリリースおよびプレビューリリースを提供中(※HomeとProは2023年10月のBリリースで最後)
Windows 10 バージョン22H2 Bリリースおよびプレビューリリースを提供中(全エディション2025年10月のBリリースで最後)
Windows 10 バージョン21H2 Bリリースのみ(2023年3月のプレビューリリースが最後)
Windows 10 バージョン20H2 Bリリースのみ(2023年3月のプレビューリリースが最後、※HomeとProは2022年5月のBリリースが最後、EnterpriseとEducationは2023年5月のBリリースが最後)
Windows Server 2022 Bリリースのみ(2022年11月のプレビューリリースが最後)
Windows Server 2019 Bリリースのみ(2022年9月のプレビューリリースが最後)
Windows Server 2016 Bリリースのみ(2020年4月のプレビューリリースが最後)
Windows Server 2012 R2 マンスリーアップデート(Bリリース相当)のみ
Windows Server 2012 マンスリーアップデート(Bリリース相当)のみ

各バージョンのサポート終了日を再確認

 品質更新プログラムは、サポートが終了したWindowsに対しては提供されなくなります。そのため、最新バージョンのWindows 10/11、Windows Serverについては、サポート終了日についても再確認しておきましょう。特に、Windows 10のHome/Proエディションと、Windows Serverについては間もなくサポートが終了するバージョンがあります。

Windowsのバージョン サポート終了日
Windows 11 バージョン22H2 Home/Pro:2024年10月8日、Enterprise/Education:2025年10月14日
Windows 11 バージョン21H2 Home/Pro:2023年10月10日、Enterprise/Education:2024年10月8日
Windows 10 バージョン22H2 Home/Pro:2025年10月14日、Enterprise/Education:2025年10月14日
Windows 10 バージョン21H2 Home/Pro:2023年6月13日、Enterprise/Education:2024年6月11日
Windows 10 バージョン20H2 Enterprise/Education:2023年5月9日(Home/Proは既にサポート終了)
Windows Server 2022 メインストリーム:2026年10月13日まで、延長サポート:2031年10月14日まで
Windows Server 2019 メインストリーム:2024年1月9日まで、延長サポート:2029年1月9日まで
Windows Server 2016 メインストリーム:2022年1月11日に終了、延長サポート:2027年1月12日まで
Windows Server 2012 R2 メインストリーム:2018年10月9日に終了、延長サポート:2023年10月10日まで(有料または無料《Microsoft Azure》で最大3年のESUの提供あり)
Windows Server 2012 メインストリーム:2018年10月9日に終了、延長サポート:2023年10月10日まで(有料または無料《Microsoft Azure》で最大3年のESUの提供あり)

 Windows 10については、先日発表された通り、「22H2」が最後のバージョンとなり、2025年10月14日(日本時間10月15日のBリリースが最後)に製品のライフサイクルが完全に終了することにも注意してください。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2008 to 2023(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

スポンサーからのお知らせPR

注目のテーマ

Microsoft & Windows最前線2025
AI for エンジニアリング
ローコード/ノーコード セントラル by @IT - ITエンジニアがビジネスの中心で活躍する組織へ
Cloud Native Central by @IT - スケーラブルな能力を組織に
システム開発ノウハウ 【発注ナビ】PR
あなたにおすすめの記事PR

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。