Windows 10のサポート終了まで残り少なくなってきた。そろそろWindows 11への移行を考える時期だ。しかしWindows 10とWindows 11には、どのような違いがあるのだろうか、主な機能の違いをまとめてみた。Windows 10からWindows 11への移行を検討する材料としてほしい。
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2021年10月5日に「Windows 11」の提供が開始されてから2年が経過しようとしている。機能更新プログラムの提供などで、新機能も追加され、当初のユーザーインタフェースが大幅に変わっただけ、という印象から大きく変わりつつある。
「Windows 10」は既に2025年10月14日にサポート期限を迎えることが発表されており、機能更新プログラムの提供も「Windows 10 2022 Update(バージョン22H2)が最終バージョンとなることが明らかになっている。2022 Updateでも、新機能の追加はほとんどなく、事実上、累積更新プログラムとなっている。2025年10月までは、この2022 Updateに対してセキュリティや不具合に関する更新プログラムが提供されるのみとなるようだ。
では、Windows 10とWindows 11には、どのような違いがあるのか、主な機能の違いをまとめてみた。Windows 10からWindows 11への移行を検討する材料としてほしい。なお、Windows 10からWindows 11へのアップグレードは、原稿執筆時点においては無料となっている(Microsoftは、「有料化する可能性もある」としているが時期は明言していない)。
Windows 10とWindows 11が実行可能なシステム要件が大きく異なっている。下表のように、Windows 11ではTPM 2.0が必須となっており、最小メモリやストレージ容量も、要件が厳しくなっている。
Windows 10 | Windows 11 | |
---|---|---|
プロセッサ | 1GHz以上のプロセッサ/SoC | 1GHz以上のプロセッサ/SoC(2コア) |
メモリ | 1GB(32ビット版)/2GB(64ビット版) | 4GB |
ストレージ | 16GB(32ビット版)/32GB(64ビット版) | 64GB |
グラフィックス | DirectX 9(WDDM 1.0) | DirectX 12(WDDM 2.0) |
ディスプレイ | 800×600ドット | 9インチ以上の720p(1280×720ドット) |
ファームウェア | BIOS/UEFI | UEFI(セキュアブート対応) |
TPM | − | TPM 2.0 |
Windows 10とWindows 11の最低システム要件 |
上表では、プロセッサの要件がそれほど厳しくなっているようには見えないが、実際にはWindows 11に対応したプロセッサが必要で、下のリンク(Microsoftドキュメント)で示されたものである必要がある。Intelのプロセッサでは、2018年に提供が開始された第8世代のCoreプロセッサ以降でないと、Windows 11が実行できない。
そのため、Windows 10が快適に実行できているハードウェアであっても、プロセッサやTPM 2.0に未対応なためWindows 11に移行できないケースもある。
Windows 10からWindows 11への変更点で最も分かりやすく、大きく変わったのがユーザーインタフェース(UI)だ。これまでも、バージョンが上がるたびに、UIは変更されてきた。例えば、Windows 8では、タブレットなどでも使いやすいように全画面にタイル状のアプリケーションアイコンが並ぶUIを採用するなど、そのときのハードウェアのはやりや時代の要請に応じた変更が行われた。
Windows 10では、Windows 8/8.1でのUI変更がユーザーにあまり受け入れられなかったためか、むしろWindows 7以前に近いUIに変更されている。ある意味、ユーザーが思うWindows OSの標準的なUIに戻った、という感じだ。
ところが、Windows 11では、またUIに大きな変更が加わったことや、前述の通りシステム要件が厳しくなったことなどから、当初は批判も多かったように感じる。
しかし、Windows 11のUIでは、Windows 10からブラッシュアップされ、便利になった面もある。主なUIの変更点について見ていこう。
Windows 11になって、[スタート]ボタンの位置が中央に変更になった。Windows 95から[スタート]ボタンは、左下がデフォルトだったため、Windows 11に違和感がある人も多かったようだ。当初、中央の[スタート]ボタンには否定的な意見も多く見られた。
ただ、macOSやChrome OS(Chromebook)でも、アプリケーションを起動するためのボタンは、中央にあり、最近のはやりでもある。
また、Windows 11を大画面の高解像度ディスプレイで使うと分かるが、[スタート]ボタンが中央にあることで、マウスポインターの移動距離が少なくて済むことに気付く。慣れれば、中央にある[スタート]ボタンも悪くないと思う。
[スタート]ボタンの位置が中央に変更されたのに合わせ、[スタート]メニューのデザインも変更になっている。[スタート]メニューの最初の画面上部には、ピン留めしたアプリケーションやファイル/フォルダが並び、下部には「おすすめ」として最近開いたファイルが並ぶ。
アプリケーションの一覧を表示するには、[スタート]メニューの右上にある[すべてのアプリ]をクリックする必要がある。Windows 10では、[スタート]ボタンをクリックすると、アプリケーションの一覧が表示できたのに対し、ワンクッション置かれる仕様となっている。
ただ、よく利用するアプリケーションは、[スタート]メニューの最初の画面やタスクバーにピン留めすれば、[スタート]メニューの[すべてのアプリ]画面を開く必要性は低くなる。
どうしても、[スタート]ボタンが中央にあることに慣れない場合、Windows 10と同様、タスクバーの左端に配置することが可能だ。それには、[設定]アプリの[個人用設定]−[タスクバー]画面の「タスクバーの動作」欄にある「タスクバーの配置」で[中央揃え]から[左揃え]に変更すればよい。なお、Windows 10ではタスクバーがデスクトップの下側だけでなく、左側や右側、上側に変更できたが、Windows 11は下側に固定となっている。
また、[スタート]メニューの[すべてのアプリ]欄に登録されているアプリケーションの一覧にも変更が行われている。Windows 10では、アプリ一覧に「コントロールパネル」や「Windows管理ツール」が登録されており、[スタート]メニューから比較的簡単にこれらを起動できた。一方、Windows 11では、これらの機能が「Windowsツール」にまとめられている。
「コントロールパネル」内の設定機能は、徐々に「設定」アプリに移行していることから、ユーザーが呼び出す必要性が減っているためと思われる。「コントロールパネル」や「管理ツール」内にあるツールは、[スタート]メニューから呼び出すのではなく、タスクバーにある「検索」機能を使うのがWindows 11の流儀(?)のようだ。
「Windowsターミナル」や「メモ帳」アプリ、「エクスプローラー」がタブ対応になっている。Windowsターミナルは、Windows 10でも導入されており、タブに対応しているが、メモ帳とエクスプローラーは、Windows 11(バージョン22H2以降)でのみタブ対応となる。
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