阿部川 現在はどのような仕事をしているのですか。
マシューさん システム開発チームのチームリーダーを務めています。チームのメンバーを管理し、受講生向けのプラットフォームの改善に取り組んでいます。チームはインド人が2人、韓国人が1人、そして私の4人で構成しています。
チーム内では英語を使ってコミュニケーションしています。ただ、他部門とのコミュニケーションは日本語が多いです。京都大学に留学していたので、ある程度日本語も話せるようになりました。
阿部川 国際色豊かなチームならではの特徴はありますか?
マシューさん 良い面は、さまざまな国の視点を取り入れられることです。韓国人、フランス人、インド人それぞれの考え方の違いを生かせるので、オープンマインドな議論ができます。一方で、大変な点もあります。文化の違いから、時には意思疎通が難しいこともあります。価値観が大きく異なるので、お互いに理解し合うのが大切です。
阿部川 意見が分かれたときはどのように解決されているのですか。
マシューさん ブレーンストーミングをして意見を出し合いますが、合意が得られない場合は、私やマネジャーが最終的な決定権を持ちます。そのようなリーダーシップも必要です。
編集部 鈴木 日本では、数学の背景を持つエンジニアが少ないと感じますが、どのようにすればその状況を改善できると思いますか?
マシューさん まず、日本ではエンジニアの地位があまり高くないのが問題だと思います。フランスではエンジニアは高い地位にあり、エンジニアになることは非常に価値のあることとされています。世界的に見れば、エンジニアは非常に高い地位にあるので、日本でもエンジニアの地位を高く評価するようになれば、より多くの人が目指すようになるのではないでしょうか。そのような意識改革が必要だと思います。
編集部 鈴木 エンジニア自身が努力すべきことは何でしょう?
マシューさん 日本のエンジニアは、上司から指示されたことをこなすことに慣れ過ぎているのかもしれません。与えられた課題に対して最善の解決策を見いだすことはできますが、自ら新しいアイデアを提案したり、批判的に考えたりする力が弱いのが課題だと思います。私が考える良いエンジニアとは、常に改善点を提案し、より良い解決策を見いだし、自ら考え、新しいアイデアを提案できる人です。
エンジニアは、自発性や創造性を育むことが必要だと思います。また、常に新しい提案ができる人材を育成していく、エンジニア教育の改革も必要だと思います。
フランス人も知らない田舎で生まれ育ったが、マシューさんにはチェスがあった。好きなことは徹底的に肯定する姿勢で、チェスが基になりボードゲームや数学など、知識や戦略作りのとりこになった。むしろ田舎だったことが、物事に集中できるプラスの作用を与えてくれた。
エンジニアとは問題を解決するだけの人ではなく、問題を見つけ出し、論理的に思考して解決し、その上で新たな可能性までも見つける人のことだという。フランスではエンジニアといえばステータスも伴う仕事で、日本語で言う「エンジニア」とは違う響きを持つものらしい。
以前勤めていたDisneyにはImage + Engineeringで作られた「Imagineering」という造語があり、「ぼやっとしたイメージをテクノロジーで実現させる」ために必要なものがエンジニアだと言われ、直感的に正しいと感じたことを思い出した。
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