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ハイスペックPCを買うべきか、我慢すべきか――今から考えておきたい老後の資産経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」(19)(3/3 ページ)

エンジニアがエンジニアとして生き残るためには、ビジネス的な観点が必要だ。ビジネスのプロである経済評論家の山崎元さんがエンジニアに必要な考え方をアドバイスする本連載。今回は老後の資産について考える。キーワードは「360」だ。

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ハイスペックPCを買うべきか、買わざるべきか。「360」で考える

 老後の経済生活がどのようなものになるのか、具体的に考えてみよう。

 筆者が提案するのは、資産額を「360」で割って考える方法だ。仮に65歳以降を老後と考えて、やや余裕を持って95歳まで生きるとすると、老後は「30年間=360カ月」ある。

 例えば、今「1800万円」持っていて、65歳まで温存するとしよう。この数字を360で割ると「5万円」だ。これは、年金などの定期収入に加えて、毎月5万円ずつ取り崩して生活しても大丈夫だということだ。3600万円あれば「毎月10万円」である。

 支出についても考えてみよう。例えば読者が新しいPCを買う場合。高性能CPU、ビデオカード、メモリ、HDDと奮発し、さらに巨大モニターやプリンターなどの周辺機器もそろえたら「36万円」掛かるとしよう。

 今「36万円使う」ということは、「将来使える生活費が月に1000円減る」ということだ。1000円は大きな影響だと思う人は、もっと低スペックなPCを検討するか、そもそも購入自体を我慢する方がいいし、月1000円なら大丈夫だと思うなら、奮発して購入すればいい。

 貯金する際は、「360万円ためたら、老後に使えるお金が月に1万円増える」と考えたら、具体的な目標ができるだろう。

 将来もらえる年金額は、50歳になると年金定期便で予想数字が通知される。会社員だったら総務などの部署に質問すれば、想定される数字を教えてくれるだろう。これに先の数字を加えると、「老後、働かなくても毎月使える金額」が分かる。

 漠然と心配するよりも、具体的な数字がある方がいいので、ぜひ把握しておいてほしい。

老後を生き抜くために、もっとも大切なこと

 もっとも、老後対策で最も重要なことは、高齢化しても(特に60歳から75歳の間に)働ける、「能力」「場所」「健康」の三つを準備しておくことだ。インフレ対策の点でも、お金が必要になる不測の事態への対応の点でも、一番安心なのは、将来も稼げるように、腕を磨き続けることだ。

 セカンドキャリアは誰にでも訪れる問題だが、準備には長い時間がかかる。一般論をいうなら、45歳ぐらいから考え始めておくべきだ

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筆者プロフィール

山崎 元

山崎 元

経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。

2014年4月より、株式会社VSNのエンジニア採用Webサイトで『経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」』を連載中。


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