システム・イメージのバックアップ機能を使えば、システム・ボリュームを丸ごとバックアップ/復元したり、ほかのディスクへ移行させたりできる。
前回はユーザー・ファイルやフォルダのバックアップと復元について解説した。今回はその続きとして、システム全体のバックアップと復元を取り上げる。Windows OSのシステム・ディスクが壊れたり、ほかのディスクへ移動させたりしたい場合は、このシステム全体のバックアップ/復元機能を使って、Windows 7をOSごと移動させるとよい。
システムの状態をフルバックアップして、後でフルリストアを行うためには、「システム イメージ」と呼ばれるデータをバックアップしておく必要がある。システム・イメージには、Windowsのシステム・ボリューム全体のイメージやブート・コードなどが含まれており、これを使うことで完全に元の状態に戻すことができる。
前回はバックアップ・ツールの基本的な使い方を紹介したが、そこで行ったバックアップ手順の中で、(手動で無効にしない限り)すでにシステム・イメージのバックアップは自動的に行われている。Windows 7のバックアップ機能では、デフォルトでは最低でも1つのシステム・イメージ・バックアップが残るようにバックアップ・ボリュームの残量管理が行われている。そのため、いつでもフルリストアできるはずであり、ユーザーが明示的に作成する必要性は少ない。だが定期バックアップ(デフォルトでは毎日曜日)では不足していたり、システムに重要な変更などを加えた直後だったりした場合は、手動でシステム・イメージを作成しておくとよい。
システム・イメージをすぐに作成させるには、[コントロール パネル]の[バックアップと復元]を起動し、左側のメニューから[システム イメージの作成]をクリックする。新しく作成されたシステム・イメージは、バックアップ先のボリュームに余裕がある限り(最大でもボリューム全体の30%までに制限される)複数保存されるので、後で特定のイメージを選んで復元することもできる。
システム・イメージの作成ウィザードの最初の画面では、バックアップ先を指定する。通常はバックアップ用のボリュームに保存するが、DVD-R/DVD-RWドライブや(必要ならディスクを入れ替えながら複数枚に記録する)、ネットワーク上の共有フォルダにも保存できる。
次の画面では、どのボリュームをシステム・イメージに含めるかを選択する。選択されたボリュームは、その全体がバックアップされる。ボリュームの中の特定のファイルやフォルダだけを選択的にバックアップすることはできない。そのため、バックアップ先には元のボリューム全部を保存できるだけの容量が必要なので(圧縮もされない)、注意していただきたい。デフォルトではシステム・ボリューム(Windows OSがインストールされているボリューム)だけが保存されるが、ほかのユーザー・データ・ボリュームなどがある場合は、それらも対象にしておかないと後でフルリストアできない。ただしシステム・ボリュームと違って、ユーザー・データを同時にバックアップしておく必要性は少ないので、これらについては通常のファイル・バックアップで対応してもよいだろう。特にWindows 7/Windows Server 2008 R2では、ボリューム・サイズの拡大や縮小がかなり柔軟に行えるようになったので(以前は拡大/縮小には制限が多かった)、システム・ボリュームだけをまず復元し、ほかのボリュームは後で(必要ならサイズ変更なども行いながら)復元する、という方法でもよいかもしれない。
以上で設定は終わりである。[次へ]をクリックすると、次のようなサマリ画面が表示されるので、内容を確認してバックアップを開始する。
[バックアップの開始]をクリックすると実際のバックアップ作業が始まる。バックアップはボリュームのスナップショットを使って行われるので、バックアップ中でもPCは使えるが、システムが重くなるので利用は控える方がよいだろう。
システム・イメージの作成が完了すると、最後に「システム修復ディスク」を作成するかどうかを問い合わせるダイアログが表示される。システム修復ディスクは、システムをフルリストアするときに利用する、起動用のCD/DVDディスクである(3ページ目参照)。作成したい場合は[はい]をクリックする。
[はい]をクリックすると、CD/DVDドライブの選択画面が表示される。以前のWindows OSのように、フロッピー・ディスクを利用することはできない。
書き込みが終了すると次のようなダイアログが表示されるので、メディアのラベルに記入しておこう。
ところでこのシステム修復ディスクはいったいどういうものなのか、気になるところだ。作成されたディスクの内容を見てみると、次のようになっている。
これを見ると分かるように、システム修復ディスクの内容は、システム起動用の回復コンソール(Windows PEシステム)のプログラムである。
Windows 7のインストールDVDを使ってシステムを起動すると、起動時のオプションで回復コンソールを選択できるが(起動時に[F8]キーを押して、[コンピュータの修復]を選択してもよい)、その部分だけを含むのがこのシステム修復ディスクである。32bit版と64bit版の2種類があるが、Windows 7のエディションには関係ないし、現在のシステムの状態にかかわるような情報は含まれていない。バックアップ元のディスク構成やボリュームの状態などの情報は、すべてバックアップ先のボリュームに保存されている。そのため、一度作成すれば、ほかのシステムでも利用できる。
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