さて、PhoneGapでアプリケーションが作れるようになったが、デザイン側はどうすればいいだろうか? これまではjQuery Mobileなどを利用して、UIの構築を行うことが多かった。jQuery Mobileがあれば、基本的なUIを統一感あるデザインで構築することができるので、生産性を大幅に向上できた。しかし、最近のレスポンシブWebデザインの流れや、デスクトップアプリとモバイルアプリで同じコードを使い回したいといった要件に合わせるには、それなりの工夫が必要だった。
アドビは、これらの問題を解決できるUIフレームワークを独自に開発している。それがTopcoatだ。Topcoatは、他のUIフレームワークと同じく、JavaScriptで動きがコントロールされ、見た目はCSSで変えることができる。jQuery MobileなどでもテーマをCSSで作ることができたが、Topcoatもまた、テーマファイルをCSSで作ることができる。
Topcoatの特徴は、これまで親しまれてきたフレームワークの使いやすさはそのままに、処理速度の向上が図られるなど、技術面の成熟はもちろんだが、モックアップやワイヤフレーム作成時にTopcoatのデザインを利用できるPSDファイルが提供されていたり、現状考えられ得るさまざまなシチュエーションに対応できる、膨大なアイコンセットが提供されていたり、デザイン面のサポートが充実している点だ。UIフレームワークを開発者だけのものにせず、デザイナー側にも解放していこうという、いかにもアドビらしい取り組みがなされている。
PSDファイルは、Topcoatのダウンロードページではなく、GitHubからダウンロードできるようになっている(https://github.com/topcoat/design)。同様にアイコンのセットもGitHubでダウンロードできる(https://github.com/topcoat/icons)。
Topcoatは現在、バージョン0.6.0が配布中だ。公式Webサイトからダウンロードするだけですぐに利用できる。また、コードは豊富なサンプルからコピー&ペーストするだけで実装可能だ。
また、アドビが開発している一部のアプリケーションのUIに、Topcoatが採用されている点も見逃せない。すでに皆さんはこのUIに触れている可能性も十分に考えられるのだ。筆者もTopcoatのデザインを見たとき「あれ、これはどこかで見たことがあるな」と既視感を覚えたのだが、それは勘違いではなかった。
同社がリリースしているEdgeファミリのうち、Edge Code CC、Edge Reflow CCには、このTopcoatが採用されている。もちろんEdge Code CCのルーツともいえる「Brackets」も、TopcoatのUIを採用しているのだ。
「デスクトップアプリケーションでも利用されているUIが、手軽にWebアプリケーションでも利用できる、かつモバイルにも適用可能である」というのは、なかなか興味深い。Edge CodeやReflowは、HTMLベースで開発されているので、こういった手法が取られたのだろうと考えられるが、アドビがTopcoatに賭ける思いの強さが垣間見えるというものだ。
アドビは、これからリリースする製品にも、TopcoatのUIを採用してくると思われる。そのため、Topcoat自体の開発もかなりハイペースで行われるのではないかと筆者は予想している。
デスクトップアプリケーションでも通用するUIフレームワークのTopcoat、そして完全ともいえるレベルで刷新されたPhoneGap 3、最新のWebアプリ開発のツールがすぐ手に入って利用できる状態になっている。後は、あなた自身がコードを書いたり、アイデアをデザインする番だ。
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