人体感知センサー×Webカメラで「サーバルーム簡易監視&防犯システム」を作るラズパイ3&Toradex、Windows 10 IoT Coreで楽しみながら検証するIoT実践入門(3)(1/4 ページ)

ITエンジニアに向け、「ビジネスに貢献するIoT活用」の第一歩を踏み出す「ひらめき」を得てもらうための本連載。今回は、人体感知センサー×Webカメラで「サーバルーム簡易監視&防犯システム」を作ってみよう。

» 2016年05月13日 05時00分 公開
[薬師寺国安PROJECT KySS]

連載バックナンバー

 本連載は、ITエンジニアが「ビジネスに貢献するIoT活用」の第一歩を踏み出す「今後のひらめき」を得てもらうためのIoT実践講座だ。数千円から1万円ほどで入手できるIoTボードコンピュータとIoTデバイス向けのOS、そして、いつでも/どこでも/どれでも使えることを視野に入れた「ユニバーサルWindowsプラットフォーム(UWP)アプリ」を題材に、Unityプログラミング+業務アプリケーションの作成を目的とする業務でのIoT活用の実践ノウハウをお届けしていく。

 前回は、UnityプロジェクトをWindows 10デバイス向けの共通アプリケーション環境である「Universal Windows Platform(UWP)」に書き出してIoTハードウェアに配置して、どう動くかを検証するテストを行った。

photo 本連載で使う機材の1つ「Raspberry Pi 3 Model B」

 今回は、Webカメラを活用するアプリを「Visual Studio 2015」(以下、VS2015)で作成し、人体感知センサーとWebカメラを組み合わせた「簡易サーバルーム監視&防犯システム」を作ってみよう。プログラミング言語はVisual Basic(VB)を使用する。

UWPアプリのおさらいとお断り

 実践に入る前に、UWPアプリとは何かをおさらいする。

 本稿におけるUWPアプリとは、「ユニバーサルWindowsプラットフォーム用のアプリ」を指す。特徴は、1つのプロジェクトで、普段使うPCだけでなく、Windows PhoneやWindows 10 IoT Coreを搭載したボードコンピュータ、さらにはSurfase HubやHoloLens、Xbox Oneなども含めて、Windowsファミリーのさまざまなデバイスで動作する実行ファイルを作成できることだ。

 UWPアプリはいろいろなデバイス、CPUアーキテクチャ、さまざまなディスプレイ解像度に対応させることが可能なので、本稿で使うRaspberry Pi 3のようなボードコンピュータのWindows 10 IoT Core上にも配置できる。ただしこのデバイス環境においては、解像度に応じてレイアウトが変わるようにアプリを作成したとしても解像度設定が効かず、全てデスクトップ向けのレイアウトで全画面表示されてしまう(2016年4月現在)。

 そこで本稿では、「23”Desktop(1920×1080)100%スケール」でアプリを開発していくことにする。ローカルで動かしても解像度別にレイアウト変化はしないので、その点はご了承願いたい。



実践:Webカメラからの画像を取得するUWPを作成

 VS2015を起動し、「ファイル」→「新規作成」→「プロジェクト」と選択して新プロジェクトを作成する。表示される初期画面の左ペインより「Visual Basic」→「Windows」→「ユニバーサル」と選択し、中央ペインに表示される「空白のアプリ(ユニバーサルWindows)」を、フレームワークは「.Net Framework 4.6.1」を選択しておく。プロジェクト名は何でもいいが、ここでは「WebCamera」としておこう(図1)。

photo 図1 VS2015で新しいプロジェクト「WebCamera」を作成する(作成後、App.xaml.vbが表示されるが、現時点では何もせず、先に進んで構わない。App.xaml.vbは、後ほどプログラムの記述に用いる)

 ソリューションエクスプローラーから「MainPage.xaml」を選択する。MainPage.xamlの左メニューから、「23”Desktop(1920×1080)100%スケール」を選択する(図2)。

photo 図2 MainPageの「スケール」を変更した

コントロールを配置する

 続いて、アプリのデザイン要素を配置していく。「ツールボックス」タブの全てのXAMLコントロール内にある、「ComboBox」と「CaptureElement」を配置する(図3)。配置したComboBoxは、名前を「ComboBox1」と指定し、テキストペインの書式設定は「Meiryo UI」「文字サイズ:20」「文字の太さ:太字」としておく(図4)。同じくCaptureElementは、名前を「CaptureElement1」と指定しておく。

photo 図3 XAMLコントロール「ComboBox」と「CaptureElement」を配置する
photo 図4 コントロールの名前と書式設定を指定する

 書き出されるMainPage.xamlは、以下の内容になる。

<Page
    x:Class="WebCamera.MainPage"
    xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation"
    xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml"
    xmlns:local="using:WebCamera"
    xmlns:d="http://schemas.microsoft.com/expression/blend/2008"
    xmlns:mc="http://schemas.openxmlformats.org/markup-compatibility/2006"
    mc:Ignorable="d">
    <Grid Background="{ThemeResource ApplicationPageBackgroundThemeBrush}">
        <Grid Background="{ThemeResource ApplicationPageBackgroundThemeBrush}" >
            <CaptureElement x:Name="CaptureElement1" HorizontalAlignment="Left" Height="895" Margin="737,84,0,0" VerticalAlignment="Top" Width="1112"/>
            <ComboBox x:Name="ComboBox1" HorizontalAlignment="Left" Height="73" Margin="102,84,0,0" VerticalAlignment="Top" Width="583" FontFamily="Meiryo UI" FontSize="26.667" FontWeight="Bold"/>(2)
        </Grid>
    </Grid>
</Page>
書き出される「MainPage.xaml」の中身

 11行目で「CaptureElement」クラスが配置され、「CaptureElement1」が指定されていることを示している。CaptureElementクラスは、Webカメラのようなイメージングデバイスからストリームを表示するクラスを指す。

 12行目は、「ComboBox」を配置し、それは「ComboBox1」という名前であると指定している。書式に関する各種設定も記述される。

プログラム「MainPage.xmal.vb」を記述する

 ソリューションエクスプローラー内で「MainPage.xaml」を展開すると、先ほど作成された「MainPage.xaml.vb」が表示される。これをダブルクリックしてコードエディタを開き、制御のためのプログラムを記述していく。内容は以下の通りだ。

Imports Windows.Devices.Enumeration
Imports Windows.Media.Capture
Imports Windows.UI.Popups
Public NotInheritable Class MainPage
    Inherits Page
    Private myMediaCapture As MediaCapture
    Private myCamera As DeviceInformationCollection
    Private Async Sub MainPage_Loaded(sender As Object, e As RoutedEventArgs) Handles Me.Loaded
        Await DataShow()
    End Sub
    Private Async Function DataShow() As Task
        Try
            ComboBox1.Items.Clear()
            myCamera = Await DeviceInformation.FindAllAsync(DeviceClass.VideoCapture)
            For i As Integer = 0 To myCamera.Count - 1
                 Dim CameraInfo As DeviceInformation = myCamera(i)
                ComboBox1.Items.Add(CameraInfo.Name)
            Next
            ComboBox1.SelectedIndex = 0
            myMediaCapture = New MediaCapture
            Await myMediaCapture.InitializeAsync()
            CaptureElement1.Source = myMediaCapture
        Catch ex As Exception
            ErrorShow()
        End Try
    End Function
    Private Async Sub ErrorShow()
        Dim message As New MessageDialog("カメラが装備されておりません")
        Await message.ShowAsync
        Exit Sub
    End Sub
End Class
プログラムコード「MainPage.xaml.vb」の中身

 MainPage.xaml.vbは以下のように記述している。

 1〜3行目は、デバイスを列挙するためのクラスを提供する「Windows.Devices.Enumeration」名前空間、写真・オーディオ録音・ビデオなどのメディアを作成したり、連携させたりするためのクラスを提供する「Windows.Media.Capture」名前空間、コンテキストメニューおよびメッセージダイアログのサポートを提供する「Windows.UI.Popups」名前空間をインポートするための記述だ。

 6〜7行目は、変数を定義する記述だ。Webカメラなどのデバイスから静止画、動画、オーディオをキャプチャーする機能を提供するMediaCaptureクラス型のメンバー変数「myMediaCapture」、DeviceInfomationオブジェクトのコレクションを表すDeviceInformationCollectionクラス型のメンバー変数「myCamera」を宣言している。

 8〜10行目は、ページが読み込まれたときに起こるMainPage_Loaded処理のための記述だ。実装されているデバイスの一覧を取得してComboBoxに表示する処理である「DataShowプロシージャ」を実行するようにしている。

 11〜14行目は、DataShowプロシージャの処理のための記述だ。ComboBox1の内容を1度クリアし、FindAllAsyncメソッドで全てのキャプチャーデバイスを列挙。DeviceInfomationオブジェクトのコレクションである「myCamera」コレクション変数で参照する内容である。

 15〜16行目で、コレクション変数myCameraが格納しているデバイスの個数分、繰り返し変数「i」で反復処理を行う。DeviceInfomationの列挙体である、変数「cahttp://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1510/27/news001.htmlmeraInfo」で、コレクション変数myCameraが格納しているデバイスを参照している。

 17行目の「ComboBox1」には、Addメソッドで取得したデバイス名(ここではWebカメラ)を追加する。ちなみに、フロントとリア、2つのカメラを内蔵するタブレットならば、2つのデバイス名が追加される。

 19行目の「ComboBox1.SelectedIndex = 0」は、最初のデバイスを選択する記述だ(複数個のカメラを備えるデバイスならば、フロントカメラが該当する)。

 20〜22行目で、新しいMediaCaptureのインスタンスを作成する。InitializeAsyncメソッドで、MediaCaptureオブジェクトを初期化する。CaptureElement1のSourceプロパティにmyMediaCaptureオブジェクトを指定する。

 24〜30行目は、エラーが発生した場合のためのErrorShowタスクを実行する記述だ。非同期処理で行われるため、メソッドの先頭にAsyncも追加しておく。ErrorShowプロシージャの処理については、デバイスにWebカメラなどのデバイスが実装されていなかった場合にエラーが発生するので、そのときのエラー処理を記述しておく。

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