2017年も、開発者、プログラマー向けの話題がたくさんありました。本稿では、2017年の大きなトピックを振り返りつつ注目を集めた記事上位20本を紹介します。これを読んで2017年を俯瞰してはいかかでしょうか。
早いもので2017年ももう終わりですね。2017年もいろいろなことがありましたが、@IT読者の皆さんにとって、どのような1年だったのでしょうか。年々、ビジネスにおけるITの重要性が増し、ビジネス要請の速度、レベルが高まるばかりなので、今年も日々悩みながら実務に取り組む一年だったのではないかと思います。
本稿では、2017年に公開した開発者、プログラマー向けコーナーの記事の中で、Facebookのいいね!・シェア・コメント数上位20をピックアップ(いいね!・シェア・コメント数の合計値は2017年12月25日時点のもの)。「デジタルトランスフォーメーション(API、ブロックチェーン、IoT)」「開発環境、開発体制」「学習、プログラミング言語、プログラミング教育」という大きく3つのトピックでまとめました。
ビジネスとITが直結している今、開発には経営へのコミットが年々強く求められています。そうした期待に応え、期待を超えるためのポイントを、以下の記事に探ってみてはいかがでしょうか。
ここから大きく3つのトピックでまとめて2017年を振り返ります。
2017年は、IoT、人工知能、ブロックチェーン、APIなど、各種テクノロジーを使ったX-Techに代表されるデジタルトランスフォーメーション(DX)のトレンドが急速に進展した年だったといえるでしょう。あらためてDXとは、企業が、クラウド、ビッグデータ、モバイルなどソフトウェア技術を活用し、ビジネス/サービスをデジタル化して、新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立することです。
グローバルで加速するこのトレンドに、今、多くの日本企業が危機感を抱いており、実際に行動に乗り出すケースもここ数年で急速に増えています。金融、流通・小売り、製造業におけるIoTやX-Techの取り組みが目立っているのは周知の通りです。
特に金融、流通・小売り、製造業におけるIoTやX-Techの取り組みが目立っていますが、中でも、三菱UFJフィナンシャル・グループやみずほフィナンシャルグループなどの銀行が、オープンAPIを介して他社サービスと連携する「API経済圏」の醸成に乗り出していることは大きな注目を集めました(1位、5位)。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2017年3月6日、「MUFG{APIs}」を発表した。オープンAPIについての勉強会、MUFG{APIs}の発表会の模様をお届けする。
みずほフィナンシャルグループは、FinTechビジネスの立ち上げに本腰を入れて取り組んでおり、そこで重要なカギを握っているのが金融APIだという。では、どのようなAPIエコシステムを形成しようとしているのか。「API Meetup Tokyo #17」の講演模様からまとめてお伝えしよう。
今変わりつつある銀行システムについては、連載「FinTech時代、銀行系システムはどうあるべきか」で取り上げています。この連載は、銀行システムの歴史を振り返りつつ、未来を占う内容になっており、API管理やビッグデータ活用、そしてブロックチェーンなどDXの技術が銀行システムに及ぼす影響が分かると思います。中でもブロックチェーンについて取り上げた記事は、14位にランクインしており、注目度の高さがうかがえます。
本連載では、銀行系システムについて、その要件や歴史を整理しつつ、スマートフォンを使う銀行取引やブロックチェーンなど、新しい技術が及ぼす影響を考察していきます。今回は、ブロックチェーンの仕組みを概説し、その特徴を踏まえて、FinTechや銀行業務での活用形態、システム化に向けた留意点について解説します。
5位で述べられている通り、みずほフィナンシャルグループはIoTにも注目しています。銀行とIoTというとあまり結び付きが想像できないかもしれませんが、他にも、これまでIoTなどあまり想像できなかったものが、インターネットにつながることで新たなビジネスやコスト削減につながっています。中でも、海の家(4位)、牛(8位)、昭和の機械(15位)などをインターネットとつなげた事例は大きな注目を集めたようです。
海に行くと、さまざまなIT企業の“のぼり”が増えている。なぜなのか。2013年から海の家を運営しているセカンドファクトリーに、その理由を聞いた。
IoTがさまざまな業界で活用されている。酪農や畜産業も、例外ではない。本稿では、IoTで牛の健康管理を実現したファームノートに、サービス開発秘話を聞いた。
2017年4月26〜28日に「ガートナー ITインフラストラクチャ & データセンター サミット」が開催された。古い機械を多く持つ旭鉄工が、どのようにIoTに取り組んだのかを紹介する。
これらは、「新たなビジネス領域に進出するための実証実験」「受託企業主導による新製品開発」「企業のシステム内製化」の事例でもあります。DXが進む中、ビジネス開発、システム開発の在り方そのものも大きく変わりつつあることがうかがえるのではないでしょうか。
8位にも登場するGoogle Cloud Platformが15のサービスで永久無料枠を提供開始し、(3位)、IBMもWatsonやIoTなど、IBM Cloudで提供される25種類のサービスやAPIが利用できる期間無制限かつ無料で使える「IBM Cloudライト・アカウント」の提供を開始しました(19位)。加えて、プロジェクト管理、アプリケーション開発、アプリケーション保守をIBM Watsonのコグニティブ技術を使って高速化・高品質化するサービスが登場するなど(13位)、ベンダーによる開発者を支援する取り組みが加速しています。
Googleは2017年3月10日、Google Cloud Next 17の3日目の基調講演で、15のサービスにおける永久無料枠を発表した、また、新規ユーザーを対象に、12カ月間有効な300米ドル分の無料試用権を提供開始した。
日本IBMは、「IBM Cloud」を無期限、無償で利用可能な「IBM Cloudライト・アカウント」の提供を2017年11月1日に開始する。IBM WatsonやIoTなど、IBM Cloudで提供される25種類のサービスやAPIが利用できる。
日本IBMは2017年4月24日、「IBM Watsonを活用した次世代超高速開発」を発表した。アプリケーション開発の計画から運用保守の効率化を支援するという。
9位は開発環境、開発体制の変革についての代表的な事例記事といえるでしょう。ANAシステムズはPivotal Labsを利用してリーンプログラミングについて学び、顧客の声を即座に取り入れたアプリ開発を進めているとのことです。
Pivotalジャパンは2017年11月16日、同社イベント「Pivotal.IO 2018」を開催、ANAシステムズ、ヤフー、NTTデータが、Pivotalの製品やサービスを活用した取り組みについて説明した。
リーンの考え方が核となっているアジャイル開発のスタンダードな手法である「スクラム」の教育やトレーニング、コンサルティングを手掛ける米Scrum.Incにインタビューした記事は、16位にランクインしました。DXが迫られる企業の方はぜひ確認しておきたい記事でしょう。
デジタルトランスフォーメーション(DX)のトレンドが進展し、テクノロジーの力を使って新しい価値を打ち出す「企画力」と「スピード」が、ビジネス差別化の一大要件となっている。その手段となるアジャイル開発やDevOpsは企業にとって不可欠なものとなり、実践に乗り出す企業も着実に増えつつある。だが国内での成功例は、いまだ限られているのが現実だ。本連載ではDevOps/アジャイル開発の導入を支援しているDevOps/アジャイルヒーローたちにインタビュー。「ソフトウェアの戦い」に勝てる組織の作り方を探る。
DXの進展に伴い、内製化/アジャイル開発を進める企業は増える傾向にあります。@ITがMONOistと共催したセミナーでは、製造大手のデンソーや前出の三菱UFJフィナンシャル・グループにおける事例講演がありました(参考)。こちらのレポート記事は、近日公開予定ですので、ご期待ください。
内製化が進む一方で、ITベンダー/SIerによるコンサルティングなどのサービス市場は鈍化する傾向にあるようです(17位)。IDC Japanによる「ITサービスベンダーは、R&D部門の位置付けや役割、オープンイノベーションの活用など、企業のDXを左右するテクノロジー戦略を再考すべき時期に来ている」というコメントにうなずくITベンダー/SIerも多いのではないでしょうか。
IDC Japanが2016年の国内ITサービス市場ベンダー売上ランキングを発表。トップ5は変わらず、富士通、NEC、日立製作所、NTTデータ、IBM。一方、上位ベンダーが伸び悩む中でTISやアクセンチュアなどが大きく成長した。
オープンイノベーションの1つにオープンソースソフトウェア(OSS)の活用があります。昨今は自社のビジネスのためにOSSを活用するだけではなく、開発にまで関わる企業が増えてきています。SOMPO、ゴールドマン・サックスなどの企業もJava仕様の標準化団体に参加する時代となっていることは2016年の記事で紹介しました。7位の記事では、NTTグループにおける事例が明かされているので、こちらもぜひご覧ください。
2017年1月27日、NTT Tech Conference #1が開催。DockerのコアメンテナやOpenStackのコアコミッターなどがオープンソースソフトウェアに関するさまざまなトピックを語った。
前出の「企業のDXを左右するテクノロジー」の中でも、開発者・プログラマーが気になるのは、やはり人工知能(AI)のようです。無料でAIプログラミングを学習できるサービスに注目が集まりました(10位)。一方で、流行の技術だけではなく、DXにおいて同じく重要となる「要件定義」について学ぶカードゲームにも大きな反響がありました(2位)。
アイデミーは、オンラインでAIプログラミングが学習できるサービス「Aidemy」を公開した。Python入門の他、深層学習や自然言語処理、数値予測など全11講座を無料で利用できる。
プログラマーにとっては、どのような技術、そしてプログラミング言語を学ぶかは非常に注目される問題です。12位にプログラミング言語別平均年収ランキングについての記事がランクインしたことは、その表れでしょう。言語別平均年収ランキングで上位にランクインした言語は、昨今のスマホアプリ活用やAIの実用化、DXの進展によって需要が高まった言語であるといえます。一方で、古くから銀行の勘定系システムを中心に需要の高いCOBOLは平均年収509万円で第11位だったそうです。COBOLの開発環境の新版に関する記事が18位にランクインするなど、まだまだ注目されています。
ビズリーチは、「プログラミング言語別 平均年収ランキング2017」を発表した。第1位はScalaで平均年収は626万円、第2位はPythonで601万円、第3位はKotlinで577万円だった。SwiftやRuby、Javaなどもランクインした。
マイクロフォーカスがCOBOL開発環境の新バージョン2製品を発売する。対応OSやデータベース管理システムなどを拡充した他、開発機能も強化されている。
「プログラミング」というと、プログラマーにしか関係のない話と思われそうですが、最近では、日本国民全員が注目せざるを得ない状況になってきました。2016年に特集を組んでお伝えしたように、文部科学省から「プログラミングを2020年度から小学生にも必修化する」方針が打ち出されたからです。6位と11位には子ども向けのプログラミング教育に関する記事がランクインしています。あと2年余りで小学校の教科学習でプログラミングがどのように取り入れられることになるのか。2018年も注目です。
政府の新たな成長戦略の中で、小学校の「プログラミング教育」を必修化して2020年度に開始することが発表され、多くの議論を生んでいる。本特集では、さまざまな有識者にその要点について聞いていく。今回は一般社団法人「みんなのコード」が開催した「プログラミング教育明日会議 in 東京」から先行事例報告の内容を中心にレポート。小学校におけるプログラミング教育の授業事例や課題などに迫る。
「3才からプログラミングが学べる」というおもちゃ、「キュベット(Cubetto)」の国内販売が始まった。筆者はクラウドファンディングサイトを通じて、2016年12月に入手している。本記事ではそのインプレッションをお届けする。
2018年は、日本における「システム/サービス開発」「プログラミング」を取り巻く環境がどのように変化していくのでしょうか。@ITでは引き続き、開発者、プログラマーをはじめ、ITに関わる皆さまに役立つ記事を厳選して紹介していきます。2018年も@ITをよろしくお願いします。
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