ストレスへの反応には個人差が。あなたは何に弱い?心の健康を保つために(2)(2/2 ページ)

» 2008年06月25日 00時00分 公開
[カウンセラー 石川賀奈美ピースマインド]
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内分泌系の働き

 内分泌系とは、内分泌腺の集まりです。内分泌腺は内外の刺激に応じ、伝達物質であるホルモンを作って血液中に放出し、特定の器官の働きを調節します。

 内分泌腺には、次のようなものがあります。

  • 脳の松果体(睡眠、覚醒のリズムをコントロールする)
  • 上皮小体(血中カルシウム濃度を調節する)
  • 甲状腺(代謝を高進させるホルモンを分泌する)
  • 副腎(緊張状態下で素早く心拍数を上げるホルモンを分泌する)
  • 膵臓(血糖値を調節する)
  • 卵巣/精巣(性ホルモンを分泌する)

 ほとんどすべての内分泌腺は、下垂体から放出されるホルモンに制御されています。さらにその下垂体は、隣接している視床下部の制御を受けています。

 神経系と内分泌系は協力して体をコントロールしているのですが、神経系は素早く反応し、効果の持続が短いのに対して、内分泌系はゆっくりと持続的な効果を及ぼします。

 このように私たちの体は、バランスを保つための非常によくできた仕組みを持っているといえます。

ストレス反応は人によって異なる

 これだけよく制御されている体を持つ私たちですが、それでもストレスの刺激が強すぎたり、長すぎたりすれば不調を来します。

 しかし、同じストレス刺激を受けても、病気になる人とならない人がいます。それは、ストレス刺激によって起こされるストレス反応に個人差があるからなのです。

 もともとの体質や性格、育った環境、それまでの経験、そしてそこから生まれた価値観などの考え方によって、ストレスの受け取り方は違います。例えば体育会系で肉体的に鍛えられている人にとっては、長時間の立ち作業はさほど苦にならないかもしれません。親にしかられたことのない人にとっては、上司の厳しい指摘はひどくつらく感じられるかもしれません。

自分の特徴をつかみ、変化を見逃さない

 ストレス反応に個人差があるのは自然なことです。まずは自分の特徴をよく把握し、どういう刺激に弱いかをつかんでおきましょう。自分に合った対処法を見つけて、ストレスを軽減するようなスタイルを確立することが重要です。

 そのうえで、体の不調(めまい、だるさ、どうき、吐き気や下痢など)や精神的な不調(いらいら、落ち込み、気分の浮き沈み、集中力の低下、不安感)といった変化を見逃さないようにします。

 不調に気が付いたら、まずは休養を取ることが大切です。2週間から1カ月様子を見ても良くならないようでしたら、医師に相談してみましょう。

 過度のストレス状態にあって、すでに何らかの心身の異常があるにもかかわらず、自分では気付かない場合もあります。そういうときは、周囲の人の目でチェックしてもらうことが大切です。

参考:『専門医がやさしく教える心のストレス病』河野友信著 PHP研究所刊


著者紹介

ピースマインド 石川賀奈美

臨床心理士、産業カウンセラー。米国フォーカシング・インスティチュート認定フォーカシング・トレーナー。現在、ピースマインドで成人を対象に幅広い相談に応じるとともに、定期的に企業に赴き、社員のカウンセリングを行う。高齢者虐待防止に関連し、在宅介護者のカウンセリングにもかかわっている。「出口のないトンネルはない。しばし、一緒に光を目指して歩いていきましょう」



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