jQueryを利用したIndexedDBのラッパーライブラリです。WebブラウザのIndexedDB APIをラッパーするため、先に紹介したLocalStorageのラッパーライブラリとは違い、IndexedDBをサポートするWebブラウザでしか動作しません。記述はjQueryに準拠しているため、jQuery経験者であれば導入は比較的容易だと思います。1つ前に紹介した、IndexedDBshimでも利用可能です。
(function(){ //データベースの作成 $.indexedDB("jquery_DB", { "schema": { "4": function(versionTransaction){ versionTransaction.createObjectStore("user") } } }).transaction(["user"]).then(function(){ //done console.log("データベース処理が完了しました") }, function(){ //fail console.log("データベース作成でエラーが発生しました") }, function(trans){ //progress }) //オブジェクトストア取得 var objectStore = $.indexedDB("jquery_DB").objectStore("user"); //データ追加 for(var c = 0;c < 10;c++){ objectStore.add({ "name": "user" + c, "like": "html5" }, c).then(function(){ //done console.log("データを追加しました") }, function(){ //fail console.log("データの追加でエラーが発生しました") }) } })()
jquery_DBというデータベースを作成、そのデータベースにuserというオブジェクトストアを作成し、10個のデータを追加しています。IndexedDBは、LocalStorageやSessionStorageに比べて複雑です。利用用途に合わせて選択しましょう。
PouchDBは、IndexedDBのラッパーライブラリです。オンライン時にPouchDB-ServerやCloudantとデータ同期できるのが特徴です。オフラインWebについては、ローカルでのデータ保持とサーバとの同期が重要な機能となるため、開発効率の向上が期待できそうです。また、Backbone.jsに組み込むためのBackBone PouchDBというアダプタがあり、Backbone localStorage Adapterと同様に利用可能です。PouchDBのサンプルソースについては、公式Webサイトにデモアプリ開発のチュートリアルが掲載されているので、そちらを参考にしてくだい。
(function(){ //データベースを作成 var db = new PouchDB('sample') var remoteCouch = false addData('テストテスト') function addData(text) { var data = { _id: new Date().toISOString(), title: text, completed: false }; db.put(data, function callback(err, result) { if (!err) { console.log('Successfully posted a data!'); } }); } })()
sampleというデータベースを作成し、その中にドキュメントを作成、データを追加するという公式Webサイトのサンプルそのままです。PouchDBは、CouchDBというドキュメント指向データベースを基に作られているため、オブジェクトストアという概念は出てこないのが特徴です。
IndexedDBのラッパーライブラリです。シンプルなラッパーライブラリで、前に紹介したPouchDBよりも使いやすいです。こちらもWebサイト上で詳しく利用方法が解説されています。
(function(){ //データベース作成 db.open( { server: 'sample_DB.js', version: 1, schema: { people: { key: { keyPath: 'id' , autoIncrement: true }, indexes: { firstName: { } } } } } ).done( function ( s ) { //データを追加 s.people.add( { firstName: 'Yusuke', lastName: 'NAKA', } ).done( function ( item ) { // 完了 } ); } ); })()
データベースを作成し、その中にオブジェクトストレージを作成、データを追加しています。JQuery-IndexedDB pluginと使い方はほとんど同様です。
日本人が開発したIndexedDBのラッパーライブラリです。日本語のAPIリファレンスなどが充実しています。デモプログラムのTODOリストも見やすく、IndexedDBをこれから使い始める方にはお薦めです。
(function(){ if (KageDB.isAvailable()) { // 利用できる場合 //データベース定義 var test = new KageDB({ name:'KageDB', migration: { 1: function (ctx,next) { //userStoreを作成しnameIndexを作成する var db = ctx.db var user = db.createObjectStore('user', { keyPath: 'timestamp', autoIncrement: false}); user.createIndex("name", "name", { unique: false }) next() } } }) addData() getData() //userStoreにデータを追加する function addData(){ test.tx(['user'],'readwrite', function(tx,user) { user.add({ name:'Yusuke NAKA',like: 'html5',timestamp: new Date().getTime()}, function (key) { console.log("done, key=" + key) }) }, function (event) { console.error(event.kage_message) }) } //データの取り出す function getData(){ test.tx(['user'], function(tx,user) { user.fetch(function(value) { console.log('取り出したデータ:' + JSON.stringify(value)) this.key = value }) }, function (event) { console.error(event.kage_message) }) } } else { // 利用できない場合 console.log('IndexedDBが利用できません。') } })()
データベースを作成し、オブジェクトストアを作成、データを追加・取り出ししています。先ほどと同様、JQuery-IndexedDB pluginと使い方はほとんど同じです。
オフラインストレージを利用したWebアプリケーションは、一度公開してしまうとクライアント側に何らかのデータが保持され、バージョンアップの際はデータのマイグレーションなども考慮しなくてはなりません(ネイティブアプリっぽくなります)。そのため、設計段階からどのようなライブラリを使うかは、きちんと吟味する必要があります。本稿がその助けになると幸いです。
著者プロフィール
仲 裕介(なか ゆうすけ)
NTTコミュニケーションズ 先端IPアーキテクチャセンタにて、
最新Web技術の調査研究やスマホ向けサービスの開発などを行っています。
Twitter:@Tukimikage
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