パブリッククラウドでDaaSを可能にするWindows Server 2016の新機能:vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(41)(3/3 ページ)
Windows Server 2016の「リモートデスクトップサービス」には、いくつか新機能が搭載されます。今回は、Windows Server 2016 Technical Preview(TP)3およびTP4から利用可能になった「セッションベースのデスクトップ展開」の新機能を説明します。
VDI環境をWindows Server 2016の標準機能だけでクラウド上に展開、管理可能に
新しいコレクションにおけるライセンスの考え方は、まだ明らかになっていません。しかし、物理ホストで実行されるRDセッションホストを個人用セッションデスクトップとして利用するには、ライセンスコストが膨大になる可能性があります。
恐らく、個人用セッションコレクションは、Windows Server 2016 Datacenterエディションの物理ホスト上では無制限に実行でき、Windows Server 2016 Datacenterエディションの仮想インスタンスを個人用セッションデスクトップのRDセッションホストとして利用することが想定されているのだと思います。
WindowsデスクトップOSは、パブリッククラウドなどマルチテナント環境で実行することがライセンス上、許可されていません。現在でも、パブリッククラウド上で個人用のWindowsデスクトップ環境を「Desktop as a Service(DaaS)」として提供しているベンダーもありますが、それらのサービスはWindowsデスクトップOSではなく、Windows ServerのRDSで実現されています。
Windows Server 2016の個人用セッションデスクトップは、オンプレミスやパブリッククラウド上でDaaS環境の構築を、Windows Server 2016のRDSの標準機能だけで実現するものと考えるとよいでしょう。Windows Server 2016 TP4の時点では、コレクションの作成と構成をWindows PowerShellで操作する必要があり、サーバーマネージャーにも個人用セッションコレクションは表示されませんが、正式リリースまでには、GUIで操作できるようになると予想しています。
- “デスクトップOSもクラウドから”にはまだ早い?(その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説 第11回)
- 正式サービス開始のAzure RemoteApp、フル日本語環境のための“勘所”(Microsoft Azure最新機能フォローアップ 第4回)
オンプレミスではRemoteFX仮想GPUの機能もサポート予定
Windows Server 2016 TP4では、Hyper-Vの第二世代仮想マシンで実行されるWindows Server 2016 TP4のゲストでも「RemoteFX仮想GPU(RemoteFX 3Dビデオアダプター)」がサポートされます。
これまでRemoteFX仮想GPUは、Windows 7/8.1以降のEnterpriseエディションを実行する第一世代仮想マシンでのみ利用可能であり、VDI環境のリモートデスクトップ接続で高度なグラフィックス機能をサポートしていました。
Windows Server 2016 TP4を実行するHyper-V仮想マシンにRemoteFX仮想GPUを割り当てると、「RemoteFX仮想GPU」として認識されるようになります。これにより、ローカル表示およびリモートデスクトップ接続において、4K解像度やビデオメモリの調整のサポート、DirectX 3Dなどの表示機能、OpenGL 4.4/OpenCL 1.1 APIのサポートなどの機能を利用できるようになります(画面6)。
なお、RemoteFX仮想GPUはマルチユーザー利用が想定されていないようです。そのため、RDセッションホストにおいては、個人用セッションデスクトップでサポートされることになるでしょう。
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その6)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その5)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その4)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その3)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その2)
- 「パスワードのない世界」を実現する「Windows Hello for Business」のオンプレ展開をリアルレポート(その1)
- ついに完成、Windows Server 2016 評価版をインストールしてみた
- Windows Server 2016の「サーバー管理ツール」に追加された4つの新機能
- 小規模ビジネス専用エディション、Windows Server 2016 Essentialsの機能と役割
- 管理者権限をコントロールする2つのアプローチ――必要最低限の管理(JEA)と特権アクセス管理(PAM)
- Hyper-Vホストクラスタの新機能(2)──仮想マシンの開始順序
- 速報! Windows Server 2016の正式リリースは2016年9月末に
- Hyper-Vホストクラスタの新機能──仮想マシンのノードフェアネス
- Dockerとの相互運用性が向上したWindowsコンテナ[後編]
- Dockerとの相互運用性が向上したWindowsコンテナ[前編]
- いつでも、どこからでも使える、Windows Server 2016向けリモート管理ツール「サーバー管理ツール」
- Windows Server 2016 TP5の「サーバーの役割と機能」、TP4からの変更点まとめ
- Windows Server 2016 Technical Preview 5の評価方法と注意点
- Hyper-V上のLinux仮想マシンで新たにサポートされる機能
- 実録:Windows ServerコンテナでSQL Serverを動かしてみた
- Windows Server 2016で大きく変わるライセンスモデル
- Windows 10の「ワークプレース参加」はどうなる?[後編]
- Windows 10の「ワークプレース参加」はどうなる?[前編]
- 意外と賢くなったWindows Server 2016のWindows Defender
- パブリッククラウドでDaaSを可能にするWindows Server 2016の新機能
- 実運用への道に近づいた、新しい「Nano Server」[後編]
- 実運用への道に近づいた、新しい「Nano Server」[前編]
- 明らかになった「Hyper-Vコンテナー」の正体(2)――コンテナーホストのセットアップ方法
- 明らかになった「Hyper-Vコンテナー」の正体(1)――その仕組みと管理方法
- ついに日本語版が登場、Windows Server 2016テクニカルプレビューこれまでのまとめ
- 仮想マシンのための「仮想TPM」――仮想化ベースのセキュリティ(その2)
- 物理マシンとユーザーのための「デバイスガード」と「資格情報ガード」――仮想化ベースのセキュリティ(その1)
- “Hyper-Vの中のHyper-V”で仮想マシンを動かす
- ADドメインはもう不要? ワークグループでクラスター作成が可能に――フェイルオーバークラスターの新機能(その3)
- 可用性をさらに高めるクォーラム監視オプション「クラウド監視」――フェイルオーバークラスターの新機能(その2)
- 短時間のノード障害に耐える仮想マシン――フェイルオーバークラスターの新機能(その1)
- WindowsコンテナーをDockerから操作するには?――あなたの知らないコンテナーの世界(その4)
- IISコンテナーの作成で理解するコンテナーのネットワーク機能――あなたの知らないコンテナーの世界(その3)
- 所要時間は1分未満! 今すぐできるWindows Serverコンテナーの作り方――あなたの知らないコンテナーの世界(その2)
- Windows ServerのDockerサポートとは?――あなたの知らないコンテナーの世界(その1)
- 注目のDockerサポートは? Nano Serverは?――Windows Server 2016 Technical Preview 3登場! 新機能ピックアップ
- 「Webアプリケーションプロキシ」はマルチデバイス環境におけるリモートアクセスの“要”
- クラウド時代のセキュリティ担保にはActive Directoryフェデレーションサービスが必須となる?
- 4ステップで理解する「ストレージレプリカ」のセットアップと構成方法
- 低コストでデータの災害復旧対策を実現する新たなSDS「ストレージレプリカ」とは
- 記憶域スペースの新機能「記憶域スペースダイレクト」を理解する(後編)
- 記憶域スペースの新機能「記憶域スペースダイレクト」を理解する(前編)
- Hyper-Vホストから仮想マシンゲストの操作を可能にするPowerShell Directとは
- Windows Server 2016世代のクラウド基盤の守護者、Host Guardian Serviceとは
- 注目のNano Server、その謎に迫る――コンテナー技術との関係はいかに?
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- DaaSはワークスタイル変革とセキュリティ確保の“切り札”となるか
今、クライアントPCにデータを置かない「デスクトップ仮想化」が、ワークスタイル変革とセキュリティ確保の“切り札”として注目を集めている。クラウドベースのデスクトップ仮想化システムであれば、短期間かつ安価に構築できるからだ。さらに、DaaS(Desktop as a Service)なら、運用管理工数も大きく削減できる。 - Microsoft RemoteAppで何ができるの?
2014年5月12日(米国時間)から米国で開催中のマイクロソフトのイベント「TechEd North America 2014」では、Microsoft Azureに関するさまざまな発表が行われました。今回はその中から1つ、誤解されそうな「Microsoft RemoteApp」について取り上げます。 - クラウドでもWindowsドメイン認証とグループポリシー管理が可能になる――Azure ADドメインサービス
マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」では、日々、新たな機能やサービスが提供されています。今回は、2015年10月にプレビュー提供が開始されたAzure Active Directory(Azure AD)の新機能「ドメインサービス」を紹介します。 - Microsoft Azureの多数のサービスを大まかに把握する
Microsoft Azureには多くのサービスがあり、使い慣れていないユーザーだと、どれが何のサービスなのか把握しきれないこともある。そこでAzureの主要なサービスの概要を、システム管理・運用者の視点で簡単にまとめておく。 - 5分で絶対に分かるデスクトップ仮想化/VDI入門
デスクトップ仮想化の概要と、デスクトップ仮想化が登場する以前のシンクライアントとの違い、構成要素、3つの特徴、ユーザー/システム管理者/経営者の視点で見るメリット/デメリット、今後について解説する。