緯度経度を基に、地図上にマーカーを設置してみます。
中央付近に表示されている東京タワーに気球のマーカーを設置しました。影が付いたりしてなかなか気が利いています。
地図上に何かを描画したい場合は、Android Mapsで提供されている「Overlay」というクラスを使用します。
地図上に直接描画できないので、透明のレイヤを用意して、その上に描画します。Overlayを使用する場合、描画はすべて自前で行い、描画制御する必要がありますが、何でも描画できます。
今回使用したのは、OverlayのサブクラスであるItemizedOverlayというクラスです。このクラスはOverlayItemに基付きレイヤ上に描画を行うクラスで、OverlayItemを適切に作成することで、描画は自動で行われます。OverlayItemには、マーカー画像、緯度、経度、そのほかの情報が保持されます。
OverlayItemを作成する際に必要なGeoPointクラスには、緯度と経度を渡しますが、このGeoPointクラスのコンストラクタに渡すlatitudeE6とlongitudeE6というのは、通常の緯度・経度の精度を1000000倍してintに直したものです。
例えば、東京駅の座標は以下のように作成します。
private static final GeoPoint TOKYO = new GeoPoint( new Double(35.68198003744061 * 1E6).intValue(), new Double(139.76609230041504 * 1E6).intValue());
コンストラクタには、デフォルトのマーカー画像を設定する必要があります。マーカー画像を差し替えたい場合はOverlayItem#setMarker(Drawable)で個別に行います。マーカーとして渡すDrawableは、あらかじめsetBounds()を呼び出しておく必要があります。これを行わないと、レイヤ上に表示されません。
ItemizedOverlayは、polulate()メソッドを呼び出す必要があります。これが呼び出されると、size()メソッドが返すサイズ分だけcreateItem()が呼び出されOverlayItemがキャッシュされます。マーカーのどの位置にアンカーを置くかは、boundCenter()またはboundCenterBottom()で指定します。
メソッド | アンカーの位置 |
---|---|
指定なし | 左上 |
boundCenter(Drawable) | 画像の中央 |
boundCenterBottom(Drawable) | 画像の下部中央 |
表4 マーカーのアンカー指定 |
マーカーを作成する際には制限があることに注意する必要があります。
Android Mapsは、GPSなどのロケーションサービスと連動させると、とても便利です。Android Mapsには、「MyLocationOverlay」というOverlayのサブクラスが用意されており、これを使用することで現在位置を簡単に表示できます。
package com.example.android.maps; import android.location.LocationManager; import android.os.Bundle; import com.google.android.maps.MapActivity; import com.google.android.maps.MapView; import com.google.android.maps.MyLocationOverlay; public class Tracking extends MapActivity { @Override public void onCreate(Bundle savedInstanceState) { super.onCreate(savedInstanceState); final MapView mapView = new MapView(this, getResources().getString(R.string.map_key)); mapView.setEnabled(true); mapView.setClickable(true); mapView.setBuiltInZoomControls(true); final MyLocationOverlay overlay = new MyLocationOverlay(getApplicationContext(), mapView); overlay.onProviderEnabled(LocationManager.GPS_PROVIDER); // GPS を使用する overlay.enableMyLocation(); overlay.runOnFirstFix(new Runnable() { @Override public void run() { mapView.getController().animateTo( overlay.getMyLocation()); // 現在位置を自動追尾する } }); mapView.getOverlays().add(overlay); mapView.invalidate(); setContentView(mapView); } @Override protected boolean isRouteDisplayed() { return false; } }
たったこれだけのソースコードで、最初に紹介した動画のように動作します。
エミュレータで位置情報を発信するには、ADTから位置情報を設定する必要があります。
ここでは緯度と経度を入力する必要があります。手軽な方法として、FirefoxまたはGoogle ChromeのブックマークレットとGoogleマップの組み合わせを紹介します。
位置情報を知りたい場所をGoogle Mapsで中央に表示します。その後、アドレスバーに以下のように入力すると、緯度と経度がプロンプトで表示されます。
javascript:void(prompt('',gApplication.getMap().getCenter()));
上記方法は、Googleマップで簡単に位置情報を知る方法とブックマークレットで紹介されていた記事を参考にさせてもらいました。
また、連続して位置情報を送信したい場合は、GPXかKML形式のファイルを読み込ませると可能です。
今回使用したデータは、実際にGPSで計測したデータからKMLを作成しました。KMLはADTが読み込めるように加工しなければなりませんが、それを行ってくれるのが「Google Earth to Android ADT」です。
しかし、Google EarthからエクスポートしたKMLは「Google Earth to Android ADT」でADTが読み込める形式に変換できますが、例えばルートラボからダウンロードしたKMLは変換に失敗します。
ADTで必要になるKMLのフォーマットは非常に簡単なので、自分で加工した方が早いかもしれません。
AndroidMapsSample.kmlを公開するので、これを参考にしてみてください。
Android Mapsの強力さと簡単さを知ると、使用してみたくなりませんか。サンプルアプリの中には、今回紹介していない機能も含まれていますので、ダウンロードして動作させてみてください。
また、Android Mapsは機能が豊富なので、クラスやメソッドの詳細は、APIを参照してください。
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