一連の説明を聞いた後、参加者たちは黙々とテストを作成していきました。
筆者はFilter Effectsのグループに参加しましたが、最初は仕様書の読み方もまったく分からず、英語が苦手なことも相まって不安だらけでした。しかし、エキスパートやほかの参加者の助けを借りながら、2つのテストケースを作成できました。
今回のイベントでは全体で609個のテストケースが作成されました。これは過去に開催されたTest the Web Forwardの中でも最高記録で、60人弱の参加者でこの記録を達成できたのは奇跡的とのことです。この発表に会場では拍手が沸き起こりました。
筆者は当初、「テストはとても優秀なごく一部のエンジニアたちが書くもの」と考えていました。しかし、イベントに参加して印象が変わり、「誰でもちょっと頑張れば書けるもの」と思うようになりました。
「リファレンステストの書き方」で紹介したテストは、筆者が実際にW3Cへ提出したテストケースの一部です。テストの記述にそれほど高度な技術は必要なく、皆さんも「自分でも書けるかも」といった印象を受けたのではないでしょうか。
Test the Web Forwardはこれまでにサンフランシスコ、シアトル、北京、パリ、シドニーといった都市で開催されています。今回は東京で開催され、多くのテストが書かれましたが、これで終わりではありません。標準化のテストはいまも足りておらず、各仕様はテストを必要としています。
「私たちはTest the Web Forwardで種を蒔いた。この地でこのムーブメントが育つように」
Test the Web Forwardの発起人の1人であるアドビ システムズのハウク氏は、イベント終了後にこう語っていたそうです。より良いWebを実現するためにもこのムーブメントを絶やさないようにしたい、1人の技術者としてそう思えたイベントでした。
中島直博 (なかじまなおひろ)
フロントエンドエンジニアとして主にスマートフォン向けサービスの開発に従事。好きなAPIはConsole API。html5jでは「HTML5とか勉強会」のスタッフとしてレポートの執筆を担当(ときどき)。Twitter:@nakajmg
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