ホワイトボードテストで一番重視するのは「コミュニケーション」です。
といっても、お客さんと上手に折衝するとか会議を円滑に進めるとか、エンジニアの皆さんが苦手意識を持っていそうな意味での「コミュニケーション」ではありません。
問題に取り組むこと、その中で面接官と意見をぶつけ合いディスカッションすること、考えていることや挑戦していることを伝えること――ホワイトボードテストで本当に重要視されるのは、そういう「問題に対処するときの姿勢」です。
開発や運用の仕事は、難しいバグに遭遇したり、障害が発生して緊急事態になったりします。そんなとき、その人が「どう行動」し「どう問題を解決するか」。ホワイトボードテストには、イザというときのその人を知るという目的があるのです。
例えば「fizzbuzz」というごく初歩的なお題でも、実装するとなるといろいろな前提条件が必要です。「入力値は正の整数だけなのか?」「下限値と上限値はあるのか?」「結果は返り値なのか標準出力すればよいのか?」……。
前提条件をすっ飛ばして書いてツッコミを受けて「あれっ?」となる人、書き始める前に丁寧に仕様を確認する人、黙って先回りで丹念に入力値チェックを書く人など、単純なお題でも人となりが出るものです。
たとえまったくお手上げな難易度のお題でも、面接官に全力で挑んでいることを伝え、どんな情報があれば答えに近づけるのかを伝え、ディスカッションする。これだって、問題解決に重要なスキルではないでしょうか?
あなたが普段「問題解決するときの姿勢」を率直に晒した上で、企業が求める「問題解決能力をアピール」する。これが、ホワイトボードテストを攻略する一番大事なポイントです。
面接でいきなりコードを書かされるホワイトボードテストは、実はコミュニケーションの問題だった、という少し意外なお話でした。
きちんと腕を磨き、問題解決の能力を身に付けているのが絶対条件ですが、その能力を実際の問題に発揮できるかどうかを知るのがホワイトボードテストの役割です。無用に怖がらず、でも準備は怠らず。「かろやかな転職」を成功させるために、心構えをしておきましょう。
久しぶりの菌類の転職トーク、本日はこの辺でお開きです。次回はもうちょっと早くお届けできるよう頑張りますので、ご意見ご感想や知りたいお題などがありましたら編集部までお知らせください。編集さんが、きのこ(の原稿を)狩りにやってきてくれるはずです。
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