本連載でも繰り返しお伝えしていますが、今回はリマインダーとして、この先1年でサポート終了を迎えるWindowsのバージョンを再確認します。
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もし、企業のオンプレミス環境で以下のOSで稼働しているクライアントやサーバがある場合、これらのOSのサポート終了期限は「2023年1月」と、後1年を切っています。
何か特例措置があって、有償または無償でこれ以上の延長がMicrosoftから提供されるとは考えられません。早急に新システムへの移行やクラウド化など、何らかの対応策を実施してください。なお、Microsoft Azureで無償提供される「Windows Server 2008/2008 R2」向けのESUは、さらに1年の4年目が提供されることが既に決定されています。
以下の表1は、現在サポートされているWindowsのバージョンとサポート終了日をまとめたものです。この表にないOSは、既にサポートが終了していると考えてください(注:OEM向け、IoT、MultiPoint Server、および既に開発が終了されており、2022年8月で全てのサポートが終了する「Windows Server半期チャネル」《SAC》は含めていません)。なお、ESUは正確にはサポートを提供するものではなく、重要なセキュリティ修正プログラムをサポート終了後も最大3年間提供するサービスです。
製品の種類 | OS(バージョン) | サポート終了日 |
---|---|---|
クライアントOS | Windows 11 EnterpriseおよびEducation(21H2) | 2024年10月7日 |
Windows 11 HomeおよびPro(21H2) | 2023年10月9日 | |
Windows 10 EnterpriseおよびEducation(21H2) | 2024年6月11日 | |
Windows 10 HomeおよびPro(21H2) | 2023年6月13日 | |
Windows 10全エディション(21H1) | 2022年12月13日 | |
Windows 10 EnterpriseおよびEducation(20H2) | 2023年5月9日 | |
Windows 10 HomeおよびPro(20H2) | 2022年5月10日 | |
Windows 10 EnterpriseおよびEducation(1909) | 2022年5月10日 | |
クライアントOS (LTSC) |
Windows 10 Enterprise LTSC 2021(21H2) | 2027年1月12日 (延長サポートなし) |
Windows 10 Enterprise LTSC 2019(1809) | 2029年1月9日 | |
Windows 10 Enterprise LTSC 2016(1607) | 2026年10月13日 | |
Windows 8.1 | 2023年1月10日 | |
Windows 7 ESU付き | 2023年1月9日 | |
サーバOS (LTSC) |
Windows Server 2022(21H2) | 2031年10月14日 |
Windows Server 2019(1809) | 2029年1月9日 | |
Windows Server 2016(1607) | 2026年10月13日 | |
Windows Server 2012/2012 R2 | 2023年10月10日 | |
Windows Server 2012/2012 R2 ESU付き | 2026年10月9日 | |
Windows Server 2008/2008 R2 ESU付き | 2023年1月9日 (Azureのみ2024年1月8日まで) |
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表1 現在、サポートされているWindowsのバージョンとサポート終了日(赤字は1年以内にサービスが終了するOS) |
「Windows 8.1」が「2023年1月」にサービスを終了すると、WindowsクライアントOSは「Windows 10」または「Windows 11」だけの世界を迎えることになります。「Windows 7」のときとは異なり、Windows 8.1向けのESUが提供される予定はないようです。
「2023年10月」には、「Windows Server 2012/2012 R2」の延長サポート終了という大きなタイミングが控えています。こちらについては、最大3年のESUがオンプレミス向けには有償(1年ごとに購入)で、Azure(Azure Stackを含む)では無料で提供されることが発表されていますが、オンプレミスでESUを購入する場合は台数によっては非常にコストがかかります。
一方、Azureの無料のESU特典を利用するためには、オンプレミスのサーバをクラウドにリフト&シフトするという作業のために追加的なコストがかかる場合があります。既にオンプレミス側で仮想マシンとして動作している場合は、比較的簡単かもしれません(クラウドへのアップロードとクライアントのアクセス先の変更など)。しかし、物理−仮想(P2V)変換が必要な物理サーバの場合は簡単にはいかないでしょう。また、オンプレミスのハードウェアに依存するシステム(例えば、帳票大量出力用のサーバ接続のプリンタなど)は、さらに困難になります。
サポート終了が近いWindowsのバージョンよりも、先に来るイベントとして、デスクトップアプリとしての「Internet Explorer(IE)」のサポート終了があります。
これは、サポート対象のWindows 10およびWindows 8.1に対して、「2022年6月15日」(米国時間)以降(米国時間6月14日リリースの累積更新プログラムには含まれないと思われます)の累的更新プログラムによって実施される予定です(Windows ServerおよびLTSC《長期サービスチャネル》版のWindowsは対象外)。
それ以降、IEのバイナリを実行しても、デストップアプリとしては起動できなくなり、代わりに「Microsoft Edge」が起動するようになります。既にWindows 11では最初からその状態になっています。
IEのサポート終了は、あくまでもデスクトップアプリとしての利用であり、IEのコンポーネントは引き続き搭載され(Windows 11にも)、Microsoft Edgeの「IEモード」で利用されます。
IEでなければ利用できないレガシーなWebサイトやアプリがある場合は、期限が来る前にMicrosoft EdgeのIEモードで利用できることを確認してください。
Microsoft Edgeの「設定」→「既定のブラウザー」(edge://settings/defaultBrowser)を開き、「Internet Explorerモードでサイトの再読み込みを許可」を「許可」に設定することで、「…」メニューの「Internet Explorerモードで再読み込みする」が利用可能になります。
IEモードでの利用に問題がなければ、「設定」→「既定のブラウザー」の「Internet Explorerモードページ」のリストに追加したり、本連載で以前に説明した「サイトリスト」を企業内で集中管理したりするとよいでしょう(画面1〜3)。
Windows 11でIEを起動する簡単な方法が既に発見されていますが(おそらく2022年6月以降のWindows 10やWindows 8.1でも利用可能な)、正規のIEモードを利用する場合と違いはないはずです(画面4)。
既にサポートが終了したテクノロジー(「Adobe Flash」や「Microsoft Silverlight」など)や、古いJavaランタイムへの依存など、サイトやアプリによっては新しいOSではIEやIEモードでは利用できなくなっている場合もあります。抜け道を探すのではなく、適切な方法で対処しましょう。
どうにもならない場合は、ローカルの仮想環境(Hyper-Vなど)やサーバのVDI(仮想デスクトップインフラストラクチャ)環境に塩漬けしたレガシーOS環境を準備し、IE専用サイトのローカルサイトの利用に限定した利用環境を準備するといった方法もあります。その場合、レガシーなOS環境のセキュリティ確保には十分配慮する必要があります。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2022(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。
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