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オンプレ向けのESU購入にも対応、マルチクラウドで使える新たなパッチ管理サービス「Azure Update Manager」とはMicrosoft Azure最新機能フォローアップ(204)

Microsoftは「Azure Update Management」に変わる、新しいパッチ管理サービス「Azure Update Manager」の一般提供を開始しました。Azure Update Managerは、2023年10月10日に製品サポートが終了するWindows Server 2012/2012 R2向けの拡張セキュリティ更新プログラムの月額購入にも対応します。

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Microsoft Azure最新機能フォローアップ

新しい「Azure Update Manager」はレガシーサービスに非依存

 Microsoftは2023年9月18日(米国時間)、オンプレミス、Microsoft Azure、他社クラウド上のWindows/Linuxのパッチ管理に対応した「Azure Update Manager」について、全てのAzure仮想マシン(VM)および「Azure Arc」リージョンでの一般提供開始を発表しました。

 Microsoft Azureでは、オンプレミス、Azure、他社クラウド上のWindows/Linuxの物理/仮想インスタンスのパッチ管理に対応した「Azure Update Management」が提供されていました。

 これまでのAzure Update Managementは、AzureのAutomationアカウントに依存する「Azure Automation」と、2024年8月31日以降サポートされなくなる「Log Analyticsエージェント」(またはMicrosoft Monitoringエージェント)に依存していました。新しいAzure Update Managerは、Azure Update Managementの「v2バージョン」といえるもので、Azure Automation、Log Analytics、Azure Monitorのサービスに依存しません。

 Azure Update Managerは、Azure上のWindows/Linuxインスタンスについては、「Azure仮想マシンWindows/Linuxエージェント」(Azure VM拡張機能)とともに機能し、オンプレミスや他社クラウドのインスタンスは、「Azure Arc対応サーバーエージェント」(Azure Arc対応VM拡張機能)とともに機能します。その他に特別なコンポーネントを必要としません。OSのパッチ管理に加え、近日中に「Microsoft SQL Server」のパッチ管理にも対応する予定です(2023年8月からプレビュー)。

Azure Update Managerの新しいエクスペリエンス

 Azure Update Managerは、AzureポータルのAzure VMやAzure Arc対応サーバの「更新プログラム」または「更新」ツールで、従来のAzure AutomationとLog Analyticsサービス依存のAzure Update Managementから切り替えることで利用できます(画面1)。

画面1
画面1 Azure VMやAzure Arc対応サーバの「更新」ツールでAzure Update Managerに切り替える

 Azure Update Managerを使用すると、Azure、オンプレミス、他社クラウド上のWindows/Linuxインスタンスの更新状態を評価して一元的に確認したり、スケジュールに従って自動更新したり、1回限りの更新を実行したりできます(画面2画面3)。「Windows Server Datacenter:Azure Edition」のオフラインパッチにも対応しています。

画面2
画面2 オンプレミスとクラウド上のインスタンスの更新状況を一元的に把握できる
画面3
画面3 不足している更新プログラムはスケジュールに従って更新するか、1回限りの更新を指示する

Windows Server/SQL Server 2012向けESUの月額購入に対応

 本連載第200回で紹介したように、Microsoftは2023年10月10日に製品サポートが終了する「Windows Server 2012/2012 R2」と「SQL Server 2012」の2年目に対する、オンプレミス向けの「拡張セキュリティ更新プログラム」(Extended Security Updates、ESU)に月額購入オプションを用意しました。

 新しいAzure Update Managerは、Azure Arc対応サーバに対するオンプレミス向けのESU購入にも対応しており(Azure上のインスタンスは無料)、Azure Update Managerの一般提供に合わせて、Azureポータルからライセンスを購入し、ゲストOS側に追加設定することなく、Azure Update Managerを使用してESUの更新プログラムを受け取ることができるようになっています(画面4)。

画面4
画面4 2023年10月からのWindows Server 2012/2012 R2向けの1年目のESUを、Azureポータルから購入する

 ライセンスの購入要件や価格についても、詳細が明らかになりました。例えば、Windows Server 2012/2012 R2の場合、ソフトウェアアシュアランス(SA)を持っていることを条件に、最小16コアパック(Standard:1万1075円/月、Datacenter:6万3798円/月)から、物理または仮想コア数に応じて購入でき、Azureの従量課金請求に含めて支払うこともできます。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP 2009 to 2024(Cloud and Datacenter Management)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows版Docker&Windowsコンテナーテクノロジ入門』(日経BP社)、『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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