@IT|@IT自分戦略研究所|QA@IT|イベントカレンダー+ログ | ||
Loading
|
@IT > 収益増大のためのCRM戦略 > テーマ4:顧客ニーズに合うサービスを提供したい |
|
|
|
@IT広告特集企画 収益増大のためのCRM戦略(4) 小山健治 2002/1/17
Webサイトを訪れた顧客のアクセス履歴や購買履歴などから、好みや興味を把握し、その人にあった商品やサービスを薦めることで満足度を高め、リピーターを増やす。また、クロスセルやアップセルに結び付けて売り上げの増加をめざす。こうした目的から注目されているのが、「レコメンデーション・システム」だ。企業側が設定したルールに基づいて展開するもの、薦める商品やサービスをシステムが自動的に選択するものなど、アプローチの方法も多様化している。
これまでの市場では企業側の論理が通用していたが、インターネットなどの普及によって、顧客が市場で主導権を握るというパワーシフトが起きている。こうしたカスタマーの視点に立ったeCRMのソリューションが今後は必要となる。 例えば、キャンペーンを行うとき、従来は企業側が用意したプランにヒットするであろうと思われる顧客をあらかじめセグメントした上で、いっせいに同じ内容のオファーを出すという戦略を基本としていた。 ところが、最近では、まず1人1人の顧客に注目し、その人がいま何を望んでいるかを分析し、その人にもっともふさわしいと思われるオファーを出すという戦略への転換が迫られている。これはいうまでもなくCRMという概念に基づいた戦略である。 こうした戦略において、“望ましいオファー”を出すための役割を担うシステムとして注目を集めているのが「レコメンデーション・システム」だ。ただし、一口に「レコメンデーション・システム」といっても、考え方やアプローチの方法はさまざまだ。まずは代表的なレコメンデーション・システムの仕組みについて紹介しておきたい。
「ルールベース・レコメンデーション」 以前から提供されてきたのが、「ルールベース・レコメンデーション」と呼ばれる手法を基本としたシステムだ。Webサイトを訪れた顧客の基本的なプロファイルのほか、購買履歴やアクセス履歴を分析した結果をもとに、どの顧客に対して、どんな商品やサービス、コンテンツを薦めるのかというルールを、企画担当者やマーケティング担当者などが人手で設定するのである。 ルールの多くは「30歳代の女性で、パソコンを購入し、なおかつ写真が趣味なら、スキャナを薦める」というように、IF-THEN形式で記述される。その企業のビジネスモデルやマーケティング戦略、ベテラン営業マンが培ってきた経験やノウハウなどを、ダイレクトに反映しやすいのがメリットだ。 「リアルタイム・レコメンデーション」 最近になって台頭してきたのが「リアルタイム・レコメンデーション」と呼ばれる手法である。Webサイトを訪れた顧客の基本的なプロファイル、購買履歴やアクセス履歴を利用するのはルールベースと同じだが、リアルタイム・レコメンデーションはそれらを統計的に分析し、人間による手作業ではなく、システム側で顧客に適した商品やサービス、コンテンツを文字どおりリアルタイムに選択し、提案するのである。運用の自動化を指向したシステムといえる。 さらに、リアルタイム・レコメンデーションは、アルゴリズムの違いによって、次の2つのタイプがある。
扱う商品やサービス、マーケティング方針、Webサイトの運用体制などから、適切なレコメンデーション手法を採用することが、その導入を成功に導く鍵となる。 ルールベース・レコメンデーションは、金融商品のように、顧客の属性や好みを具体的に聞いたうえで提案したほうがよい商品、あるいはパソコンと周辺機器のように、ある程度商品の組み合わせが限定されるような商品を薦めるケースで適している。また、明確なマーケティング戦略を持ち、そこで決定した個別のプランやキャンペーンを、Webサイトでダイレクトに展開したいという企業においても効果的だろう。 ただし、ルールベース・レコメンデーションは、先にも述べたように基本的に人手に頼るところが多く、新たなルールの作成や評価、メンテナンスなどを円滑に行うための運用体制を整えることが前提となる。 一方、リアルタイム・レコメンデーションに適しているのは、書籍や音楽CDのように、扱う商品のアイテム数が非常に多いケースである。アイテム数が多くなればなるほど、商品間の相関関係を把握しづらくなり、人手でルールを作成したり、メンテナンスしたりすることが困難になってくるからだ。 最近では、ルールベース・レコメンデーションとリアルタイム・レコメンデーションそれぞれの利点を融合した、ハイブリッド型のレコメンデーション・システムも登場しており、製品選択の幅は確実に広がっている。
ところで、レコメンデーション・システムというのは、大量のアクセス履歴を蓄積することで、初めて自動化と統計処理による効果が生まれ、これまで思いつかなかったような顧客の嗜好や購買傾向を発見するといった成果を得ることができるのである。 だとすれば、そもそも商品のアイテム数や顧客数が多くなければ、リアルタイム・レコメンデーションを適用する意味はあまりない、ということになってしまう。したがって、まずは自社を見回してみて、レコメンデーション・システムを導入する段階にあるかないかを見極めることも必要であろう。 <主要なレコメンデーション・システム>
|
|