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@IT > 収益増大のためのCRM戦略 > テーマ5:顧客ニーズを分析して、販売戦略を立て直したい |
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@IT広告特集企画 収益増大のためのCRM戦略(5) 小山健治 2002/1/31
CRMにおいて顧客データは重要な位置を占めているが、どれだけ大量のデータを集めてもそれだけでは意味がない。最終的にどんなアクションを起こすために、どんなデータを用意するのか、マーケティング戦略にそった形での分析と実践がなくてはならない。 そこで注目すべきがデータマイニングである。データマイニングという言葉は、鉱山から鉱脈を採掘(マイニング)する作業に由来している。「大量データの中から、明確には見えない法則性や、データ間の因果関係を発見すること」がデータマイニングの最大の狙いだ。これを利用すれば、大量の売り上げ情報の中から、例えば「5万円以上の商品の中で、同時に購入される可能性が大きいのは、どの商品か」といったビジネスルールを自動的に抽出することができる。 こうした分析結果をもとに、見込み客の層を絞り込んでダイレクイトメールのヒット率を高めたり、購入のキャンセル率などを算出し、より確度の高い販売予測をたてたりするなど、さまざまな応用が考えられる。
大規模な顧客データから、具体的にどうやって有益な情報を発掘するのか、さまざまなアルゴリズムや手法が存在するのだが、よく使われるのは以下の3つである。
まず、ディシジョンツリーであるが、訳語では「決定木」とされており、データベースの項目の中からもっとも効果的な分岐を自動的に選択し、その項目にしたがってデータを次々に分類して、ツリー状に表示していくのが特徴だ。これが最も効果を上げるのが、顧客のセグメンテーションである。例えば「ビールは30歳代の既婚男性に最もよく売れている」といった項目同士の関係が見えてくる。 次のニューラルネットワークは、人間のニューロン(神経細胞)のメカニズムを模倣したもので、既存のデータ群が持つパターンに基づいて将来を予測したり、新しいデータが過去のどこに位置づけられるのかを判断したりする。例えば、過去のダイレクトメールの結果から、次回のヒット率がどう変化するかを予測することができる。ただし、あくまでも「過去の結果」に基づいて行われているわけで、常に新しいデータを取り入れながら、データを見直していく必要がある。もし予測が外れたら、なぜ外れたのか、その原因を調べてフィードバックして「学習」を繰り返すことが、活用のポイントだ。 併売分析(併売パターンを見つけるための分析)において、通常よく行われるのが相関関係分析である。データベースの中から、1つの組になるような項目の存在、つまりほかの項目の存在を示唆するような存在すべての相関関係を探し出す。非常に有名なエピソードとして、スーパーのレジで蓄積されたデータをこの手法で分析した結果、男性客が缶ビールと紙おむつを同時に買って帰るケースが予想以上に多いことが判明し、缶ビールと紙おむつとの間に相関関係が認められた、という例が挙げられる。
現在、急速に実用化が進んでいるのが、大量の文書データから隠された知識や傾向を抽出しようという“テキストマイニング”である。電子メールやWebを使えば、アンケートなどを低コストで手軽に行えるようになったが、自由回答などの自然文(通常の文章)の評価は人間が読んで主観的に判断するしかない。これでは何千、何万と回答があった場合にはすぐに適切な判断を行うことは難しい。これをデータマインニングの技術を使って処理しようというわけだ。自然文から文節ごとに単語を切り出し、単語の使用頻度や語と語の関連性などを統計的に分析するというのが、テキストマイニングの基本的なメカニズムだ。 これをCRMに組み込むとどうなるか……コールセンターで受けた顧客からの問い合わせ履歴などを分析すると、顧客が得たい情報に対してどのような言葉や表現でアクセスしてきているか、といったようなことを体系的に分析することが可能となる。 例えば、顧客が「返品」に関する情報を得たいときには、「(サイズや色、形など)思っていたものとは違う」「気に入らない」「注文したものと違う」などのような言葉が多く使われるとしよう。すると、返品率が高い商品に関して、この分析結果から、どのような理由で返品されることが多いのかを把握することができるし、返品率を引き下げるためには、これらの言葉や表現に代表されるような「原因」を取り除くような対策を講じればよい。 さらに、日時のデータを分類の軸に加えて時間的な顧客ニーズの変化を読み取ったり、顧客のプロファイル情報と連動したりすることによって、「どんな属性を持つ顧客が、いつ、何を知りたがっていたのか」を迅速に分析することも可能だ。 新聞や雑誌、インターネットなどを通じて世の中に広く流通している情報、いわゆる「クチコミ」や「評判」として伝わっている情報に焦点を当てることにより、顧客が何となく抱いているブランドイメージを分析することも可能だろう。例えば、A社は「清潔感」、B社は「親近感」、C社は「高級感」といったような具合だ。このような指標は、数値データを分析しただけでは決して得られないものである。 もちろん、こうしたテキストマイニングも、数値データによる分析手法と切り離したソリューションとして展開されているわけではない。両方のマイニングで得られた分析結果の因果関係全体を見渡すことによって、具体的なビジネスのアクションに結び付けていくことができる。多角的な視点から、顧客の「生の声」に踏み込んでこそ、そこに潜んでいた意図やニーズが顕在化するのだ。
もっとも、データマイニングやテキストマイニングといえども決して万能ではなく、何でも解き明かしてくれる魔法の杖ではない。闇雲に山を掘っても、金や銀などの有用な鉱物が出てくるはずがないのと同じで、どのようなデータ群をマイニング対象とするのかによって、得られる結果は変化するし、その精度も常に問われるのである。もしも運良く鉱脈を掘り当てたところで、それを利用したり、商品化したりするためのノウハウを持ちあわせていなければ、それこそ宝のもち腐れになってしまう。 データマイニングをシステムとして導入する場合には、単にデータ分析作業を自動化するということにとどまらず、「PLAN-DO-SEE(計画、実行、検証)」というビジネスのサイクルの中においては、常に「マイニングによる分析」「結果の予測」「実施結果の検証」を繰り返し、そして、そのサイクル全体における精度を高めていくということが重要な要件となる。 つまり、大量のデータの中に埋もれていた、顧客の行動パターンなどの情報を発見することに始まり、そこから得た結果を生かしてビジネスを実践する、そしてまた、その結果をフィードバックし、再び分析するという循環のしくみを備えてこそ、はじめて意義のあるシステムとなるのだ。 <主要なマイニング製品>
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