いろいろな職種があるが、「やっぱり理系の世界!」と感じる就活生も多いだろう。ITエンジニアになるのは、理系出身者だけなのだろうか?
ところがどっこい。IT企業で働くビジネスパースンの約半数は文系出身だといわれている。企業によって職種によって違いがあるが、少なくとも文系はIT系で採用されない、ということはないのだ。
ここで7章を振り返ろう。IT人材に求める能力の上位は、「顧客(業務)分析力、企画力」「PM(=プロジェクトマネジメント)手法」「問題解決力」「積極性・自発性」などだった。
これらは「ヒューマンスキル」や「コミュニケーションスキル」と称される非テクニカル能力だ。「語学力」を重視する企業も多かった。これで「理系でないとITエンジニアになれない」なんてことはない、と分かるはずだ。
ITエンジニアの職場というと、「1日中PCに向かってコードを書く」姿を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、SIerなどの顧客接点が多い業態や職種の場合は、システムを作る力だけでなく、「顧客ニーズを掌握する力」や「顧客の課題にコミットする提案力」など、相手とのコミュニケーションを図る力が求められる。そういう場合は、「顧客と打ち合わせをする」「ミーティングを開き、プロジェクトのチームをまとめる」などのシーンも登場する。
「技術は後から身に付けられる。だが、コミュニケーション能力や論理的思考力は、基礎力を持っている人を採用しないと、後からが大変だ」――これは、大手電気系ソリューション企業の執行役員から聞いた言葉だ。
「『人と話すのが苦手だから』『PCと向き合っているのが好きだから』という理由でITエンジニアを目指す人が多くいますが、それは当社では通用しません」「スマホ向けのゲーム開発をしているので、どれだけユーザー感覚を持てるかを重視して採用します。場合によっては、最新の技術を使うことよりも、分かりやすいインタフェースを提供することの方が大事だったりするのです」――これはあるゲームアプリ開発企業の人事担当者から聞いた話だ。
では「文系でも、どんなIT企業にでも入社できるのか」といえば、それは否である。
エンジニア採用ではコーディングテストが科せられる企業も多くあるし、IT系資格の保有者が有利になる企業も多くある。こうした企業では、テクニカルスキルがない文系でも大丈夫、とはいえないだろう。
要はIT業界は幅広く、仕事の内容も多岐にわたるから、求められる要件をちゃんと見て探そうね、ということだ。
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