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ケータイ版AIRでFlash Liteの成功パターンを踏襲D89クリップ(5)

アドビによるイベント「Adobe MAX Japan 2009」が開催。着実に地歩を固めるFlashプラットフォームと新たにケータイ市場を切り開くAIRが話題の中心となった

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2度目の日本開催となるWebクリエータの祭典

 1月28〜29日、アドビシステムズによるカンファレンスイベント「Adobe MAX Japan 2009」が東京台場で開催された。日本での開催は2007年以来2度目となり、天候が悪いなか数多くのクリエータ、開発者、業界関係者が集まった。もともとは、Flashの開発元でありアドビに買収されたマクロメディアのイベントで、FlashをはじめWeb関連のトピックが中心となっている。本稿では、基調講演の模様を中心にお伝えする。

コンピューティング環境としてのFlashプラットフォーム

 米アドビシステムズCTOでエクスペリエンス&テクノロジ部門担当上級副社長のケビン・リンチ氏による基調講演では、Flashプラットフォームの拡大とAIRの可能性が語られた。

米アドビシステムズCTOでエクスペリエンス&テクノロジ部門担当上級副社長のケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏
米アドビシステムズCTOでエクスペリエンス&テクノロジ部門担当上級副社長のケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏

 リンチ氏は、「クライアント+クラウド」「ソーシャルコンピューティング」「デバイス+デスクトップ」というソフトウェア業界における3つのトレンドと、それらにアドビの製品がどうかかわっていくかについて語った。これらの基本的な内容は、2008年11月に米国で開催されたAdobe Max 2008 North Americaでの基調講演に沿ったもの。アップデートされた情報として、Flash Player 10の普及率がわずか2カ月間ですべてのバージョン中で55%に達したことが示された。


Web開発やネットビジネスの話題が中心となるAdobe MAX。その中核をなすのがFlashプラットフォーム

2008年10月にリリースされたFlash Player 10は急速に普及。わずか2カ月間で55%に達した

参考記事:
ケビン・リンチ氏インタビュー アドビが考えるFlash/AIRの未来とiPhone対応

Adobe Max 2008 North Americaレポート
米アドビ、Flash PlayerのAndroid搭載やFlash Catalyst、Wave、Cocomoを発表
アドビはデザイナ/プログラマ協業で生産性を上げるエージェント
.NETやPHP、エンタープライズに広がるFlashプラットフォーム
「Flash Lite」の名はなくなり、「AIR Lite」が出現?
画像とコードの触媒Flash Catalystについて語りますと

 全体的には、同社が現在最も力を入れるAdobe AIRに関する紹介やデモに多くの時間が割かれていた。Webページ上のプログラム実行環境や動画フォーマットとして大きなシェアを持つFlashだが、Webブラウザという枠の中から外れて新たなデスクトップアプリケーションのプラットフォームとして打ち出したのがAIR。累計1億インストールに達しているとのことだが、より本命ともいえるのは今後ますます拡大するケータイや家電といったパソコン以外の情報端末である。

 同社が主導する「Open Screen Project(OSP)」の狙いもそこにある。今回の講演では、OSPにも参加するNTTドコモが、ケータイ版AIRの採用表明と実機でのデモを行った。NTTドコモは世界で初めてケータイにFlash Liteを搭載したが、それによって利用できるコンテンツの種類やアプリケーションとしての表現力が向上した。そして何よりも多くのクリエータ達にとって、ケータイというプラットフォームが表現の場になった。同様に、AIRを搭載することでコンテンツの新しい表現や機能、オフラインでも利用できるという利便性を提供できる。

情報端末としてのケータイや家電に目を向けると、アドビが進出すべき巨大な市場がまだまだある
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Open Screen Projectに参加する企業。アドビ、NTTドコモ、ノキア、インテルなどが並ぶ。ここにリンゴマークが並ぶ日はやって来るのだろうか
Open Screen Projectに参加する企業。アドビ、NTTドコモ、ノキア、インテルなどが並ぶ。ここにリンゴマークが並ぶ日はやって来るのだろうか

 現状のFlash Liteでも、ゲームなどそれなりの機能は実現できる。しかし、PCに例えればWebブラウザ上で動作するWebアプリケーションと同じで、ハードウェアの持つポテンシャルを引き出すような高度なアプリケーションの開発は難しい。ケータイ版AIRによってこの壁が取り払われることで、ケータイでできることはさらに広がる。また、既存のFlash開発者が参入しやすいため、従来のiアプリに加えてAIRアプリの市場が誕生する。もちろん競合もあるだろうが、市場が広がり活性化することで、よりよいアプリケーションが生まれるのであればユーザーとしてはうれしい限りだ。

Flash Videoの事例として「ニコニコ動画」も紹介された。画面上に流れるコメントに「私は読めませんが、きっと何か面白いことが書かれているのでしょうね」とリンチ氏
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ソニーのVAIOに搭載されたFeliCaリーダーで、カードに内蔵されたICタグを読み込ませるAIRアプリケーション「AIRメンコ」。ハードウェアを介した機能が実現しやすくなるのもAIRの特徴
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アカマイの「Akamai Media Framework」映像技術向けに開発リソース・キットの提供を開始

 MAX Japanを開催中の1月21日、オンライン上のコンテンツやビジネスプロセスの配信を加速するサービス「コンテンツデリバリーネットワーク」を提供するアカマイは、Flash対応のビデオプレイヤを開発するための「Akamai Media Framework」の国内提供を始めた。

 「Akamai Media Framework」は開発者向けの開発ツールキットで、オープンソースとして提供。ストリーミング配信やコンテンツダウンロードができる高機能なビデオプレイヤだとしている。ただし、アカマイのコンテンツデリバリーネットワークで「Akamai Media Framework」で開発したビデオプレイヤの性能を最大限にするには、アドビシステムズのFlash Media Serverが必要だ。

盛り上がる動画配信の動画プレイヤ開発にぜひ活用してほしい。米アカマイ ソフトウェアエンジニア ウィル・ロウ(Will Law)氏
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