新しいHyper-Vは「チェックポイント」が変わる!vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(5)(3/3 ページ)

» 2015年01月29日 18時00分 公開
[山市良,テクニカルライター]
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従来のチェックポイント作成やチェックポイント禁止の設定も可能

 チェックポイントの作成方法やチェックポイントファイルの保存場所は、仮想マシンごとのプロパティで変更することができます(画面8)。既定は可能であれば運用チェックポイントを作成する設定です。これを、標準チェックポイントだけを作成するように、つまり、以前のバージョンのHyper-Vと同じ動作に変更することが可能です。

画面8 画面8 チェックポイントの作成方法や作成場所は、仮想マシンごとのプロパティで変更できる

 前回(第4回「新しい「Hyper-V」への移行に備える――仮想化基盤も次世代に」)説明したように、Windows Server Technical Preview Hyper-Vの仮想マシンの構成バージョンは「6.0」で、旧バージョンの「5.0」とは区別されます。バージョン6.0の仮想マシンの構成ファイルは、.vmcxと.vmrsの拡張子を持つバイナリ形式になりました(画面9)。

画面9 画面9 バージョン6.0の仮想マシンの構成と状態は、新しいファイル形式である.vmcxおよび.vmrsファイルに保存される

 仮想ハードディスク以外のチェックポイントファイルは、これらのファイル形式で保存されます。チェックポイントの場所に作成される.vmcxファイルには、仮想マシンの構成が保存されます。.vmrsファイルには、標準チェックポイントで作成されるメモリやデバイスの状態が保存されます。

 仮想マシンのプロパティで「Enable checkpoints(チェックポイントを有効にする)」のチェックをオフにすると、その仮想マシンに対するチェックポイントの作成をブロックすることも可能です(画面10)。この設定は、Windows PowerShellの「Checkpoint-VM」コマンドレットによるチェックポイントの作成にも適用されます。

画面10 画面10 仮想マシンのプロパティで「Enable checkpoints(チェックポイントを有効にする)」のチェックをオフにすると、チェックポイントの作成をブロックできる

 前述のWindows Server 2008 R2以前のドメインコントローラーの例のように、運用チェックポイントであってもチェックポイントを利用するべきでないシステムやアプリケーションはあります。チェックポイントの作成を禁止してしまえば、誤ってチェックポイントを使用してしまうことを防止できるでしょう。

チェックポイントの新機能は構成バージョン「6.0」の仮想マシンが対象

 前回説明したように、Windows Server 2012 R2 Hyper-VからWindows Server Technical Preview Hyper-Vに移行した仮想マシンは、構成バージョンを手動でアップグレードしない限り、構成バージョン5.0のまま維持されます。

 構成バージョン5.0の仮想マシンは、標準チェックポイントのみに対応しています。仮想マシンの移行やインポートの際に存在する作成済みのチェックポイントは、また、構成バージョン5.0の仮想マシンに対して作成したチェックポイントは、Windows Server Technical Preview Hyper-V上でも有効であり、新たにチェックポイントを作成すれば、従来と同じ.binおよび.vsvファイルに仮想マシンの状態が保存されます(画面11)。

画面11 画面11 構成バージョン5.0の仮想マシンは、標準チェックポイントにのみ対応し、チェックポイントファイルの形式も従来と同じ

 構成バージョン5.0の仮想マシンのプロパティで、運用チェックポイントを作成するように指定したり、チェックポイントの作成を無効化したりすることはできません。これらのチェックポイントの新機能は、Windows Server Technical Preview Hyper-Vに新規作成した仮想マシン、または構成バージョンを手動で6.0にアップグレードした仮想マシンで利用可能です。

 チェックポイントが存在する構成バージョン5.0の仮想マシンを「Update-VMConfigurationVersion」コマンドレットを使用して構成バージョン6.0にアップグレードする場合、.binおよび.vsvファイルに保存された状態は、互換性がないために失われます(画面12)。ただし、仮想マシンの実行状態は失われますが、仮想ハードディスクのチェックポイントは保持されます。

画面12 画面12 構成バージョン5.0の仮想マシンを「Update-VMConfigurationVersion」コマンドレットでアップグレードすると、スナップショットファイルの互換性がないため仮想ハードディスク以外の保存された状態は失われる

Hyper-V vNextの最新情報

 2015年1月24日(日本時間)、Windows 10 Technical Previewの最新ビルド「9926」が一般公開されました([参考記事]最新ビルドを詳細レビュー! Windows 10 Technical Preview Build 9926がやってきた)。64ビット版Windows 10 Technical Previewには、Windows Server Hyper-Vのサブセットである「クライアントHyper-V」が搭載されています。

 Windows 10 Technical Previewのビルド9926は日本語版が提供されているため、Hyper-Vの次期バージョンの機能を日本語の管理ツールで評価することが可能です(画面13)。ビルド9926のクライアントHyper-Vには、ビルド9841の不具合の修正や、いくつかの機能の追加が行われています。例えば、「Update-VMConfigurationVersion」コマンドレットの代わりに、GUIを使用して構成バージョンをアップグレードできるようになっています。

画面13 画面13 64ビット版Windows 10 Technical Previewの最新ビルド「9926」のクライアントHyper-V。日本語で管理できる

 Windows Server Technical Preview(ビルド9841)Hyper-Vの仮想マシンの構成バージョンは6.0ですが、より新しいビルドが出ているWindows 10 Technical PreviewのクライアントHyper-Vでは、ビルド9879で「6.1」、ビルド9926で「6.2」にバージョンが上がっています。今回の記事では構成バージョン6.0で説明していますが、Windows Server Technical Previewの次期ビルドや正式リリースでは、バージョン6.2またはそれ以降なると予想できます。

 なお、Windows Server Technical Previewの新しいビルドはいつ出るのか、筆者を含め気になっている人は多いと思います。現在のWindows Server Technical Previewは「2015年2月15日」まで評価できるものとして提供されているので、それまでに出るのではと個人的には期待しているのですが、今のところ(2015年1月29日現在)公式なアナウンスはありません。ちなみに、Windows Server Technical Previewの試用期限は「2015年2月15日」までとされていますが、インストール済みのインスタンスのライセンス認証がシステム的に有効期限切れになるのは2015年4月15日(日本時間の4月16日午前8時59分59秒)です。

2015年1月31日追記

Windows Server Technical Previewの次のプレビューは2015年春で、正式リリースは当初の2015年後半から遅れて2016年になるという情報が公開されました。


「vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目」バックナンバー

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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