SI求人数、前月比3.5倍。業界知識に強い人を求める:IT業界 転職市場最前線(34)
不況で冷え込んでいたIT業界の転職市場に、回復の兆しが見え始めている。だが、業種や職種によって採用数や条件に大きな差異が生まれている。転職市場の動向を追い、自身のキャリア戦略立案に生かしてほしい。
1月のIT業界求人市場まとめ
年末から鈍くなっていた求職者の動きが、1月中旬から復調。転職市場は活発な動きを見せている。企業の採用意欲も引き続き高く、事業拡大のための増員が目立つ。
Web業界
Webサービスは、年末も変わらず募集数が多かった。この好景気に乗ろうとする求職者がいる一方、「転職の活況がいつまで続くのか分からない」という不安から、転職を急ぐ人も多かった。
エンジニア/クリエイター:新規だけでなく、既存サービスの担当にもニーズ
「今期中に○名採用したい」と具体的な採用人数を挙げる企業や、複数名の採用枠を設ける企業が多い。一方、「新たなサービスを作れる人材」のみならず「既存サービスの運用・拡大ができる人材」のニーズも高まりつつある。アフィリエイト・リスティングなどの運用、SEO・SEMの知識や経験を持つエンジニアにはチャンスがあるといえるだろう。
バックオフィス系:求人数は増加しつつも、ハードルは高い
経理や人事、法務、秘書といったバックオフィス系の求人は増加しているが、応募条件が細かい上、エンジニアやクリエイターといった技術職よりも学歴や転職回数を厳しくチェックされる傾向にある。そのため、ハードルはやや高い状態だと言えるだろう。
モバイル・スマホ業界
ソーシャルゲーム関連の採用が相変わらず活発だ。版権物などのコンテンツを活用したゲームにトレンドが移行するとともに、採用ニーズもさらに高まっていくと予想できる。
エンジニア・クリエイター:UIに強い人材にニーズ
エンジニアはこれまでと変わらず、JavaやObjective-Cなどスマホアプリのエンジニア、およびPHPやPerl、RubyなどWeb系のエンジニアが多く求められている。スマホ開発エンジニアについては即戦力を求める企業が多いものの、市場に経験者が少ないことから、採用に苦戦している企業が多い。
クリエイター関連では、ユーザーインターフェイス(UI)を意識したデザインを行えるUIデザイナーの需要拡大が顕著だ。
システム業界
システム・インテグレータ(SI)業界では、エンドユーザーからの発注増によって、求人数が前月比3.5倍と急増した。
ネットワーク・インテグレータ(NI)業界でも、求人数の増加が見られた。特に、3月に退職を検討する人材をターゲットに、即戦力を求める採用活動が活発化している。
SIer:求人数は前月比3.5倍、業界に強い人材へニーズ
金融や医療、製造業、物流に通信、公共など幅広い分野で求人が増加した。同業界出身者、および即戦力となり得る人材をターゲットとした求人が目立った。
2次請け以降の企業による求人は、数は少ないものの新規求人もあった。コーディング力や実装力だけではなく、システム設計経験や顧客折衝経験、業務知識が求められる傾向にある。
NIer:求人数は前月比2倍、いまだ買い手市場
SIer業界ほどではないものの、求人数は前月比約2倍と増加傾向にある。昨年12月は、インフラの構築経験を求める求人が全体の80%を占めていたが、1月はさまざまな業界での経験や知識を持った人材を手広く募集している印象だ。求職者のチャンスは拡大しているものの、いまだ買い手市場であることに変わりはない。
ゲーム業界
引き続き、スマホ関連の求人が増加している。人材獲得競争を勝ち抜くべく、人事部門から切り離した特別採用チームを発足させる、採用フローの見直しを図って選考過程を短縮する、説明会を多く開催するなど、通常とは異なる採用方法を用いて成果を挙げる企業が出てきたのが印象的だった。
ソーシャル・オンラインゲーム:勢いはいまだ衰えず
Web企業だけではなく、昔ながらのゲーム企業もソーシャルゲームによって業績が回復するなど、ソーシャルゲーム関連による好業績が次々と発表されている。2012年に入って高止まりがささやかれるものの、求人マーケットではまだ熾烈(しれつ)な採用競争が続いている状態だ。
営業・その他
Web広告企業では、スマホ関連の求人増加を要因として、採用枠を拡大する動きが出始めた。システム系業界からの求人も増加しており、業績の回復がうかがえる。
営業:増員する企業が目立つ
事業拡大や業績アップに伴う増員が目立ち、好調な企業が多いことがうかがえる。これまで求人を牽引してきたWeb業界に加えて、SI業界からの求人も増え始めている。
バックオフィス:採用・労務関係の求人が増加
業績拡大に伴う求人が目立つようになった。特に人事(採用、労務)部門強化を目的とした求人が増加している。また、ソーシャルゲーム企業では、管理部門全般(経営企画、事業企画、経理財務、人事、総務、法務、一般事務、営業事務)の求人が活発だ。幅広い年齢層をターゲットとしている印象だ。
- 求人企業が今、採用スピードを上げる理由とは
- 骨を埋める覚悟で――最終地を求める30代後半
- 求人数196%UP! ゲーム業界希望者にチャンス到来
- レッツゴー九州 福岡の求人増加中
- Webエンジニア、急募! 選考期間の短縮進む
- 「新規事業立ち上げ」の波に乗れるか
- 積極採用が続くWeb業界。若手から30代後半も
- Web業界、今から行くならRubyエンジニアが狙い目?
- 社内SEの求人が増加するも、内定は「狭き門」
- モバイル業界で売り手市場続く。ポテンシャル採用も
- 福利厚生が充実の大手企業を狙ってみる?
- Web系からスマホアプリ開発者へ。実務未経験も可
- プロジェクト活発化で求人増。好条件で転職のチャンス?
- 勉強会に研修。スキルアップ支援が充実のモバイル業界
- ソーシャルゲーム業界、求人ニーズは上限に近づいている?
- コードにブログ――自己PRプロダクトの提示を求める企業が増加
- BtoC人気に埋もれがちな、BtoBスマホ開発職が求人増
- モバイル業界、UI/UX設計経験、HTML5の知識を高く評価・採用へ
- スマホ、未経験者採用が激減。独学・自作アプリは必須か
- Web系SIerの採用数は業務系の3倍、採用伸びに差
- SI業界でPHP/Python/Perlエンジニアの市場価値が高まる
- SI求人数、前月比3.5倍。業界知識に強い人を求める
- スマホ求人、ガラケーの6倍に。Web技術者へのニーズ
- SIer→SIerの転職が激減、自社サービスや社内SEに流れる
- C++、C#、.NET技術者にニーズ。NIerも採用増加か
- SI求人の6割、.NET/Java/PHPなどWebに特化したスキルが条件
- 「採用を急ぎたい」――幅広い企業でスマホ開発エンジニア需要
- スマホ業界、ポテンシャル採用から経験重視へシフト
- SIer/NIerが採用を再開。インフラエンジニアの求人増
- Javaエンジニアの新規求人が増加、PHPを抜く/Facebook関連の求人も
- スマートフォンアプリ開発者の需要、ついにガラケーを上回る
- 転職市場、震災の影響は軽微。IT企業の採用意欲に衰えなし
- 社内SEの求人数、倍増。開発・インフラ経験者にチャンス広がる
- スマートフォン向けアプリ開発者の評価が急騰! 大量採用する企業も
- Webエンジニア需要続く。Rails経験者募集も増加
- 新たな市場拡大――2010年 IT業界 転職市場を振り返る
- 10月のWebエンジニアの新規求人件数、前月比2倍
- フラッシュマーケティング関連求人が登場
- Javaや.NETなど、LAMP以外にも採用ニーズ広がる
- 【転職市場】LAMP人気続く。SIerにも回復の兆し
- 【転職市場】iPad関連で採用ターゲットが拡大
- LAMP経験者のニーズ高し。ポテンシャル採用も
- SIerも採用再開。Javaや.NET、金融系にニーズ
- ソーシャルアプリ求人活況、SI系はピンポイント採用
- 【転職市場】来期を見据え、採用は回復傾向
- 【転職市場】IT系全業界/全職種で求人数が増加
- 【転職市場】回復は遅れるも、募集職種に広がり
- 業種によって求められる人財像に顕著な違いあり
- 起爆剤となるか? ソーシャルアプリ開発で採用ニーズ
- SI/NIに復調の兆し? 転職市場は底を脱したか
- エンジニア求人明暗。Web/金融は回復、SI系は低迷
- 外注から内製へ。Perl/PHPエンジニアの需要高まる
- 企業は案件を取れる優秀なリーダーがほしい
- 求人数減少に歯止め。でも「リーダー経験」必須!
- IT業界、いま転職するならゲーム業界かクレジット系
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.