Webエンジニア、急募! 選考期間の短縮進むIT業界 転職市場最前線(51)

不況で冷え込んでいたIT業界の転職市場に、回復の兆しが見え始めている。だが、業種や職種によって採用数や条件に大きな差異が生まれている。転職市場の動向を追い、自身のキャリア戦略立案に生かしてほしい。

» 2013年08月02日 00時00分 公開

2013年6月のIT業界転職市場まとめ

 政府が、IT教育推進などの改革案を含む成長戦略の素案を発表、「世界最高水準のIT社会」に向かう明るい兆しが見られた。ハイレベルなIT人材の育成・確保のため、双方向型の教育やグローバルな遠隔教育などの授業革新を行い、産学官連携でIT人材育成の仕組みを構築するとしており、IT業界全体に追い風が吹いているといえるだろう。中長期的な採用ニーズの高まりに期待したい。

Webエンジニア

 選考期間がさらに短縮され、最近では1次・2次面接の翌日に最終面接という企業も珍しくない。採用活動の長期化でコストを増やしたくないという企業の思いと、転職活動を長引かせたくない求職者の思いが相まって面接の短縮化を促進しているといえるだろう。

スマートフォンアプリの案件が増加

  スマホアプリの開発案件増加に伴い、エンジニアのニーズが高まっている。最近では、自社製品開発企業だけでなく受託開発企業でも案件を保有しているケースが増えてきた。


インフラエンジニア

 システムインテグレータ、ネットワークインテグレータの求人はもちろん、自社内インフラエンジニアの求人でも仮想化技術の案件増加が目立つ。現在公開しているインフラ求人の21.8%が仮想化案件だった。主流は「VMware」「Hyper-V」の2つで、中でも「VMware」の案件が全体の60%超を占めている。


社内SE

 社内SEの求人は依然として増加傾向にあるが、1つの求人に応募者が殺到するほど人気があり、企業が課すハードルは高い。開発経験や英語力を必須とする求人がほとんどで、経験が浅い方やポテンシャル層の方はエントリーできないまま募集終了になる可能性があるだろう。


ITコンサルタント

 ITコンサルタントは、事業戦略や経営コンサルティング、社内システム企画などにも携わるケースが増えてきた。大規模なマネジメントの経験や経営企画・事業企画の業務経験を有する人のニーズが高い。


Webデザイナー

 各業界で、スマホサイトに対応できる方のニーズが高まっている。HTML5・CSS3の経験がある方は特に重宝されており、書類通過率も高い。これからスマホサイトへ進出する企業も少なくないため、実務経験ではない使用経験もアピール効果がある。

グラフィックデザイナーの求人が増加

 グラフィックデザイナーの求人は、前月に比べると増加傾向にある。しかしながら20代限定の求人や募集枠1名の求人が目立ち、競争率の高い状態が続くだろう。紙媒体の広告を取り扱う企業であっても、Web広告とのタイアップで出していくケースが増え、Webスキルは必須になりつつある。今後、HTML、CSS、Dreamweaverなどのスキルはどの企業からも求められるようになるだろう。


ディレクター・プロデューサー

 求人数に目立った増減はなく高水準を維持しているが、各社の採用ハードルは上がってきている。「ルーティンでサイト更新をしてきた」「進行管理をしてきた」というだけでは書類選考の通過が難しい。

採用ハードルが上がり、「強み」が求められる

 採用ハードルは上がっている状況で、例えば「コーディングができる」「デザイン・アートディレクションができる」「SEO・リスティングなどのWebマーケティングが得意」「企画立案が得意」「顧客折衝経験が豊富」など、経験に加えて評価できる「強み」を求める企業が多い。


ゲーム関連職種

 20代若手のポテンシャル層〜30代後半の経験豊富な人材の層まで、幅広い人材がターゲットになっていた。ディレクターやプランナー職であれば、多少転職回数が多くても面接に進んでいる。エンジニア職の方は40代前半の転職成功事例もあった。

Unity開発経験者の求人が増加

 Unityを使用した開発経験者の需要が高まっている。エンジニアはもちろん、3Dデザイナーなどの職種でも募集がある。少数ながら実務未経験で応募可の求人も見られた。


営業

 求人数は前月比40%増と好調で、SI企業のソリューション営業に加え、SES分野、いわゆる技術者の労働力提供を行う分野の求人も増加している。前月に比べ、ソーシャル業界の営業職や英語を必須とする海外向け営業職の求人が目立つ。

クラウドサービスを提供する企業に注目

 自社でクラウドサービスを行っている企業の求人が増加傾向にある。サービスのソリューション提案や、販売を担うパートナー開拓などが主な仕事内容だ。ターゲットは若手層で、市場に経験者が少ないために若手を採用して自社で教育しようという企業の意図が感じられた。

総合的に若手が求められている印象

 幅広い年齢層をターゲットにしている企業がないわけではないが、全体的に若手が求められている印象だ。特に企業が求めているのは「IT業界に興味があり、営業経験も有する人材」である。政府のIT投資計画もあり、今後は若手であれば業界経験を問わず採用する企業が増えていくだろう。


バックオフィス

 決算期や組織変動などの影響により人材の流動と新規求人が目立った人事、経理、法務、広報IRなどは、いったん落ち着きを取り戻している。業績好調企業の採用部門サポートや新組織発足に伴う事務スタッフなど、スタッフ・アシスタントレベルのポジションは若干の増加となった。

ネットショップ運営ポジションの採用が活発化

 ネットショップ運営、Web・モバイルコンテンツの運営や進行管理といったポジションの採用活動が活発化している。自社ECサイトに力を入れる企業が増えていることが理由だろう。また、制作会社での進行管理スタッフの求人も多く、Webサイト受託制作案件が順調に増えていることが感じられた。

カスタマーサポートのニーズは堅調

 カスタマーサポートのポジションは、新たに募集を開始した求人は多くないものの、複数名募集が続いておりニーズは高い状態にある。以前はアルバイトのスタッフなどに任せることが多かったポジションだが、顧客満足度を追求する中で社員募集に切り替えている企業が多いと見られる。業界経験不問の求人も多いため、経験を生かして業界外に転職したい人もターゲットになっている。


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