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福利厚生が充実の大手企業を狙ってみる?IT業界 転職市場最前線(45)

不況で冷え込んでいたIT業界の転職市場に、回復の兆しが見え始めている。だが、業種や職種によって採用数や条件に大きな差異が生まれている。転職市場の動向を追い、自身のキャリア戦略立案に生かしてほしい。

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2012年12月のIT業界転職市場まとめ

 年度末に向けて全体的に採用スピードが増し、面接回数を削減する企業も多く見られた。これからは多くの企業が一気に採用を活発化させる時期だ。チャンスを逃さないよう、下準備をしっかりしておくことが大切だ。

インターネット/Web業界

 依然として積極的な採用姿勢を崩さず、自社サービス、受託ともに求人は順調に増加している。しかし、広告関連のサービスを展開している企業では、積極採用を打ち出しながらも人材確保に苦戦している様子が見られた。モバイル、ゲーム業界とターゲット層が重複し、争奪戦に巻き込まれていることが要因だろう。

エンジニア・デザイナー:増加傾向を維持

 エンジニア、デザイナーの求人は、前月までの増加傾向を維持しており好調だ。一方プロデューサーやディレクターは一段落した感があり、求人数にいまひとつ伸びが見られなかった。サービスの数値分析、設計ができる人材のニーズが非常に高い。


モバイル業界

 業界全体では順調な伸びを示しているが、求人のほとんどがスマートフォンサイト・スマートフォンアプリ関連で、フィーチャーフォン関連の求人はごくわずかだ。なお、前月も増加傾向にあった地方求人は堅調に推移しており、大阪や福岡、愛知、北海道などで、現地企業からの求人に加えて東京に本社を置く企業が地方に拠点を設けるケースが目立った。

スマホサイト・アプリ関連:求人のほぼ全てを占める

 求人のほぼ全てをスマホ関連が占めた。スマホ向けサイト・アプリは、モバイルサイトよりもPCサイトとの親和性が高いと判断される傾向にあるため、ディレクター職などではモバイルサイトのみの経験では評価されにくいのが現実だ。スマホ関連の経験を有する場合は、例え経験が浅くてもしっかりと職務経歴書に記載し、アピールすることが肝心だ。

データマイニングアナリスト職:専門職としてニーズが高まる

 ソーシャルアプリ(主にゲーム)の大量のアクセスログを分析・解析して、ゲームの品質向上やサービス改善、環境構築などにつなげるポジションである「データマイニングアナリスト」の求人が散見された。大手SAP(ソーシャルアプリケーションプロバイダ)を中心に専門職として採用を行う企業が増えつつあり、今後の動向に注目したいところだ。


システム業界

 当然ながら、設計・構築・運用・保守の全工程、もしくは3工程以上の経験が長い人の書類選考通過率が高い。こうした経験のある人は、応募の段階で企業を吟味するのではなく、書類通過後の面接で判断することが転職成功の近道となるだろう。まずは書類を提出し、自身の市場価値を分析したい。

システムインテグレータ(SIer):福利厚生や就業環境の充実に注目

 2次請けのSIerでも大手企業や上場企業が多いため、福利厚生や就業環境などが整っているケースが多い。業務系・Web系エンジニアはまだ採用が充足していない企業が多く、安定した企業で長期的に活躍したいという人にはお勧めだ。業界知識がなくても開発経験があれば応募可能な求人も多い。


ゲーム業界

 ソーシャルゲーム業界は依然として活発な採用活動を展開しており、戦略的ポジションからポテンシャル層まで幅広いニーズがある。決算報告などを見ると明暗が分かれた感はあるものの、総体的に見ればいわゆる勝ち組企業が多く、採用意欲に衰えは見られない。

ディレクター・プランナー:経験者からポテンシャル層までターゲットは幅広い

 前月に続き、幅広い層をターゲットとした求人が多く展開された。2013年以降の新規タイトル投入に向けた下準備にあたる今、戦力強化を図る企業が多い。これからさらに多くの企業が採用目標を掲げて一気に採用を活発化させるだろう。面接を受ける企業のゲームを事前にプレイしておくなど、小さな努力が他者との大きな差につながる。


営業・その他

 営業職の求人は増加傾向を維持している。一方で求職者も増加しており、競争は激化していると言えるだろう。まずは面接にたどりつくための努力が欠かせない。書類では「営業実績を数値と共に記載する」ことで他者に差を付けることが大切だ。

営業関連職/求人数は微増

 営業職全体の求人数は微増に留まったが、SIerやネット広告代理店・自社メディア運営企業では求人数が増加した。複数名の採用枠を設定する企業も増えてきている。前月と同じく、全体の8割がメンバークラスの求人で、第二新卒層のポテンシャル採用を行う企業も少なくない。マネジメントクラスの求人も引き続き増加している。

バックオフィス/SAPからのニーズが増加

 勢いのあるSAPからは多岐にわたる求人があり、バックオフィス職の採用も活発に行われている。会社の急成長に伴って人事・経理などを求める企業が多く見られた。


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