モバイル業界で売り手市場続く。ポテンシャル採用も:IT業界 転職市場最前線(46)
不況で冷え込んでいたIT業界の転職市場に、回復の兆しが見え始めている。だが、業種や職種によって採用数や条件に大きな差異が生まれている。転職市場の動向を追い、自身のキャリア戦略立案に生かしてほしい。
2013年1月のIT業界転職市場まとめ
企業の動きは、年明け入社を見込んだ年末の積極採用から新年度の営業計画策定に向けた採用活動へとシフトし、活発な状態を維持している。優秀な人材を確実に採用するため、面接回数を短縮する企業も増加した。総じて、一次面接から最終面接までの期間は短縮化の傾向にある。
インターネット/Web業界
伸び率は鈍化しているが、他業界に比べると高水準を維持している。職種別に見ても、クリエイターからWebアプリケーションエンジニア、インフラエンジニア、Webサイト運営、カスタマーサポート、バックオフィスまで幅広い求人が見られ、そのいずれも前月の求人数を上回っている。
ソーシャル関連:活発な採用活動が展開され、求人数も豊富
一時期に比べると落ち着きつつあるものの、企業の採用意欲は高く、求人数も他業界に比べて多い。求められるスキルのレベルは上がっているが、業界未経験で応募できる求人もあり、若手でも意欲がある人には十分チャンスがあるだろう。半面、Eコマースや検索サイト等の求人数は増加せず、現状維持となった。
モバイル・スマホ業界
モバイル・スマホ業界の求人のうち、約52%がエンジニアの求人だった。うち14%がポテンシャル枠であり、業界未経験者や若手で経験が浅い人をターゲットにする企業の増加がうかがえる。一方、メインターゲットである28〜36歳の経験者層については、特にスマートフォンコンテンツの開発経験がある人、Web開発経験がある人などのニーズが高い。しばらくは売り手市場が続くだろう。
クリエイティブ職:全体の25%を占める
全体の25%を占めたクリエイティブ職の求人は、そのうち約17%がポテンシャル枠となった。しかし、デザイナー職は、経験の深浅を問わず最低限「Illustrator」「Photoshop」のスキルが不可欠だ。書類選考時に提出する作品集が鍵となるだろう。
営業・バックオフィス:全体の23%、うち10%が営業職
全体の約23%は、営業およびバックオフィス系の求人となった。うち約10%が営業職で、スマートフォンおよびモバイルサービスを売り込むソリューション営業が目立って増加している。開発アシスタント、サポート職も微増傾向にあった。
システム業界
求人数は年末年始を経て微増傾向にある。元請け、2次請け以下に分類される従来の業界構造の中で上流層に近い企業では、プロジェクトマネージャをはじめ上流開発者、構築経験者、サービス営業職の求人数が増加した。2次請け以下の企業での設計、開発、構築、運用といった職種もニーズが高く、半年前に比べると24時間365日対応のインフラ運用求人も増加している。
ネットワークインテグレータ(NIer):
データセンター周りの運用では、独学のアピールが鍵
NIer系のデータセンター周辺運用では、若年層やポテンシャル層の募集が多く、人物重視の採用方針が見られる。経験が少ない場合は、「資格取得のために自分で学んだ」経験を持ち、それを的確にアピールできるかどうかがポイントとなるだろう。経歴で判断するケースが多いシステムインテグレータでも、若手プログラマなどでは個人で仕上げたプログラムを基に判断する企業が増えており、独学の経験とアピールは分野を問わず非常に重要だ。
ゲーム業界
ゲーム業界における求職者の1月の就業決定企業は、ソーシャルゲーム企業が全体の約80%、コンシューマゲーム企業が約12%、オンラインゲーム企業が8%と、大多数をソーシャルゲーム企業が占める結果となった。職種別では、デザイナー職、プログラマ職、プロデューサー、ディレクター職が全体の半数以上を占めているものの、プランナー職、マーケティング・プロモーション職、サポート職といった職種もそれぞれ約10%を占めており、特定の職種に偏ることなく採用が行われている。
ソーシャルゲーム業界:戦略的な採用活動を展開し、業界をけん引
新規タイトル投入に向けた戦略的な採用活動を展開するソーシャルゲーム業界は、上場する企業も複数あるなど好調が際立った。職種としてはディレクター職やプランナー職がやや多いが、プログラマ職も同程度の水準で増加している。
営業・その他
年明け入社のための年末の採用ラッシュに続き、賞与後の退職者の欠員補充や新年度の営業計画策定に向けて、依然として活発な採用活動が展開されている。面接回数の短縮によって確実な人材確保を図る企業も増加した。
営業関連職:志望動機が成功の鍵
営業職には、一般的にコミュニケーション能力(協調性)や体力・忍耐力が求められる。加えて、同業種間の転職であれば業界の人脈や製品知識などを持ち即戦力として活躍できるか否かを、ポテンシャル層であれば熱意や活発さ、礼儀正しさといったヒューマンスキルがあるかを重視する企業が多い。共通して必要なのは、すぐに会社になじめる適応能力と商材が変わっても結果を残せるバイタリティだ。採用担当者の前では奇をてらわず、率直に志望動機を伝えることが成功への近道だろう。
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