ワークグループ構成のクラスターの管理もまた、Windows PowerShellによる操作になります。ワークグループ構成のクラスターのノードで「フェイルオーバークラスターマネージャー」を起動しても、ローカルアカウントでサインインしているため、ワークグループ構成のクラスターに接続して管理することはできません(画面6)。
ワークグループ構成のクラスターとは別に、Active Directoryドメイン環境が存在する場合は、ドメインアカウントでサインインして「フェイルオーバークラスターマネージャー」を開始し、ワークグループ構成のクラスターに接続して管理できる可能性があります。
筆者の環境では、ドメインのビルトインAdministratorアカウントがノードのローカルのビルトインAdministratorアカウントと同じパスワードの場合に、ワークグループ構成のクラスターにリモート接続することができました(画面7)。また、この方法でクラスターやノードの構成や、ストレージの構成をリモートから設定することもできました。
ただし、役割の構成や高可用性仮想マシンの構成では、エラーが発生して続行できない場面がありました。現時点のWindows Server 2016 TP3では、「フェイルオーバークラスターマネージャー」のGUI(Graphical User Interface)管理にはあまり期待しない方がよいでしょう。
ワークグループ構成(およびマルチドメイン構成)のクラスターには、機能的にさまざまな制約があるようです。例えば、サポートされる役割は次の三つに限られます。
Hyper-Vとファイルサーバーの役割はサポートされますが、推奨はされません。Hyper-Vの役割は、ワークグループ構成では「ライブマイグレーション」の機能が利用できないそうです。また、ファイルサーバーの役割は、ワークグループ構成では利用できないKerberos認証がSMB(Server Message Block)トラフィックで優先的に使用されることが影響するようです。制約事項について詳しくは、以下のマイクロソフトの公式ブログを参照してください。
以下の画面8は、ワークグループ構成のクラスターの各ノードにHyper-Vの役割をインストールしてHyper-Vホストクラスターにし、仮想マシンの高可用性を構成したところです。「Hyper-Vマネージャー」を使用して、クラスターの共有ボリューム(CSV)上のパス(C:¥ClusterStorage¥Volume1など)に配置するように仮想マシンを作成し、「Add-ClusterVirtualMachineRole」コマンドレットで高可用性を構成することで、Hyper-Vホストクラスターとして構成することができました。
また、画面9は、スケールアウトファイルサーバーの役割を構成しようとしたところです。しかし、ワークグループ環境であることが影響しているようで、構成は失敗しました。汎用ファイルサーバーの役割についても、同じように失敗しました。これらの役割はワークグループ構成でサポートされていることになっていますが、構成のために特別な手順が必要なのかもしれませんし、Windows Server 2016 TP3の問題でできないのかもしれません。
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。
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