ハイスペックPCを買うべきか、我慢すべきか――今から考えておきたい老後の資産経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」(19)(3/3 ページ)

» 2015年11月10日 05時00分 公開
[山崎元@IT]
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ハイスペックPCを買うべきか、買わざるべきか。「360」で考える

 老後の経済生活がどのようなものになるのか、具体的に考えてみよう。

 筆者が提案するのは、資産額を「360」で割って考える方法だ。仮に65歳以降を老後と考えて、やや余裕を持って95歳まで生きるとすると、老後は「30年間=360カ月」ある。

 例えば、今「1800万円」持っていて、65歳まで温存するとしよう。この数字を360で割ると「5万円」だ。これは、年金などの定期収入に加えて、毎月5万円ずつ取り崩して生活しても大丈夫だということだ。3600万円あれば「毎月10万円」である。

 支出についても考えてみよう。例えば読者が新しいPCを買う場合。高性能CPU、ビデオカード、メモリ、HDDと奮発し、さらに巨大モニターやプリンターなどの周辺機器もそろえたら「36万円」掛かるとしよう。

 今「36万円使う」ということは、「将来使える生活費が月に1000円減る」ということだ。1000円は大きな影響だと思う人は、もっと低スペックなPCを検討するか、そもそも購入自体を我慢する方がいいし、月1000円なら大丈夫だと思うなら、奮発して購入すればいい。

 貯金する際は、「360万円ためたら、老後に使えるお金が月に1万円増える」と考えたら、具体的な目標ができるだろう。

 将来もらえる年金額は、50歳になると年金定期便で予想数字が通知される。会社員だったら総務などの部署に質問すれば、想定される数字を教えてくれるだろう。これに先の数字を加えると、「老後、働かなくても毎月使える金額」が分かる。

 漠然と心配するよりも、具体的な数字がある方がいいので、ぜひ把握しておいてほしい。

老後を生き抜くために、もっとも大切なこと

 もっとも、老後対策で最も重要なことは、高齢化しても(特に60歳から75歳の間に)働ける、「能力」「場所」「健康」の三つを準備しておくことだ。インフレ対策の点でも、お金が必要になる不測の事態への対応の点でも、一番安心なのは、将来も稼げるように、腕を磨き続けることだ。

 セカンドキャリアは誰にでも訪れる問題だが、準備には長い時間がかかる。一般論をいうなら、45歳ぐらいから考え始めておくべきだ

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筆者プロフィール

山崎 元

山崎 元

経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役、獨協大学経済学部特任教授。

2014年4月より、株式会社VSNのエンジニア採用Webサイトで『経済評論家・山崎元の「エンジニアの生きる道」』を連載中。


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