お父さんは笑顔で答えてくれた。
「お前は、いつも楽しそうに話しているじゃないか。『今こんな仕事をしている』『こんなプロジェクトやっている』って」
彼は非常に驚いた。「え? オレ、そんなに楽しそうに話してる?」
お母さんも続ける。「イキイキとしたいい表情で話しているわよ、仕事のこと」
両親の言葉に「おや?」と思った彼は、帰宅してから自分の担当業務や役割をあらためて整理してみたそうだ。すると、今の仕事は学生時代からやりたかったことと少なからず「つながり」があることに思い至り、今の自分はとても充実しているのだと気付いたという。
両親の目に映る自分の姿が、その事実を教えてくれたのだ。
人は自分のことを一番よく知っているようで、実はそうでもない。
誰かに指摘されて、「え? 私ってそんなことある?」「俺、そう見える?」と教えられることもある。「それは誤解です」「そんなふうに思われるのは困ります」という場合もあるだろうけれど、他者の評価が「自分では気付いていない自分」について教えてくれることは多いに違いない。
他者の目に映る自分は、鏡のように反射する真の姿だ。耳の痛いことを言われる場合もあるかもしれないが、自分では気付けなかった「ポジティブな面」を教えてもらえることもある。
私は、あなたの目にどのように映っていますか?
もし今の自分に自信が持てなくなったり、これから進む道に迷ったりしていたら、身近な誰かに「私はあなたの目にどう映っているのか」を尋ねてみてはいかがだろうか。目の前の状況に風穴を開けるきっかけとなるかもしれない。
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー
1986年 上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで、延べ3万人以上の人材育成に携わり28年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。
日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。著書:「ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック」(日経BP社)「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)など多数。誠 Biz.ID「上司はツラいよ」
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