複数の接続先がある場合、「リモートデスクトップ接続」アプリでいちいち接続先を修正してから接続するのは面倒で時間もかかる。そこで接続先などをあらかじめファイルやショートカットに保存しておき、そこから素早くリモートデスクトップ接続を開始する方法を紹介する。
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対象:Windows 10/Windows 11
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Windows OSに標準装備の「リモートデスクトップ接続」アプリ(リモートデスクトップ接続クライアント)は、起動すると上記のように接続先の「コンピューター」すなわちリモートPCを指定する欄が表示される。この接続先の名称は、1回接続すると保存され、次回は同じ接続先が記入された状態で起動するため、同じリモートPCに毎回接続するのであれば特に修正する必要はない。
だが、リモートPCが複数の場合、上記ダイアログでいちいち接続先を修正してから接続する必要がある。これだと手間が掛かって面倒だし、急いでいるときに素早く接続できない。
そこで本Tech TIPSでは、1〜2クリックで特定のリモートPCへの接続を素早く始められる方法を紹介する。対象はWindows OS標準の「リモートデスクトップ接続」アプリ(mstsc.exe)とする(Microsoft Store版やWebクライアント版、Azure Virtual Desktop用は対象外とさせていただく)。
なお、Windows 11 2022 Update(バージョン22H2)では、セキュリティが強化された影響で、保存された資格情報での認証がブロックされることがある。この問題についても解説する。
リモートデスクトップでは、接続先リモートPCの名称やユーザーアカウント名、画面設定などをあらかじめ設定し、これらの情報を「.RDP」という拡張子のファイル(内部はテキスト形式ファイル。メモ帳などで編集可能)として保存できる。
接続先が複数存在するときには、この.RDPファイルをリモートPCごとに作成して、デスクトップなどに配置しておけば、当該.RDPファイルをダブルクリックするだけで目的のリモートPCに接続できるようになる。また.RDPファイルは、「リモートデスクトップ接続」アプリで簡単に作成できる。
その他にも、「リモートデスクトップ接続」アプリのショートカットを作成し、そのコマンドラインパラメータで接続先を指定することで、同様にショートカットをダブルクリックするだけで目的のリモートPCへの接続を開始できる。
以下では、この2種類の方法の作業手順をそれぞれ説明する。
.RDPファイルを作成するには、以下のように「リモートデスクトップ接続」アプリを操作する。Windows 11の場合、「Windowsツール」内にあるため、起動するのに手間がかかるので、タスクバーの[検索]機能で、「リモート」で検索して、「最も一致する検索結果」欄に表示された「リモートデスクトップ接続」をクリックするのが手っ取り早い。
もし接続時のパスワード入力も省きたければ、以下の手順でパスワードも保存できる。
これでリモートデスクトップ接続に成功すれば、ユーザーアカウント名とパスワードの組み合わせ(資格情報)がローカルPCに保存されたはずだ。
ただし、パスワードを保存しておくと、ローカルPCを操作して.RDPファイルを実行できる人なら誰でもリモートPCに接続できてしまう。万が一、ローカルPCが何者かに乗っ取られた場合は、その攻撃者がリモートPCにまでアクセスできる可能性が生じる点には十分に注意してほしい。
保存した資格情報は、コントロールパネルの「資格情報マネージャー」の「Windows資格情報」で確認できる。コントロールパネルの起動方法は以下のTech TIPSを参照してほしい。
ここまでの作業を接続先のリモートPCごとに実施し、それぞれの.RDPファイルを作成しておく。
作成した.RDPファイルからリモートデスクトップ接続を始めるには、エクスプローラーで保存先フォルダを開き、.RDPファイルを選んでダブルクリックする。
このとき、上記のように.RDPファイルの「発行元」(作成した人あるいは出所)が識別できない、という警告ダイアログが表示される。確実に自分で作成した.RDPファイルであり、かつ接続先として指定したリモートPCの名称も既知のもので正しいことが確実であれば、[このコンピューターへの接続について今後確認しない]にチェックを入れてオンにしてから接続すると、以後は同じ.RDPファイルを実行しても、この警告は表示されなくなる。
.RDPファイルの出所が不明(例えばインターネット上のサイトから適当に拾ってきた場合)だったり、接続先の名称が知らないリモートPCのものだったりする場合は、[このコンピューターへの接続について今後確認しない]をオフにする以前に、接続自体を止めるべきだろう。
.RDPファイルをデスクトップに配置しておけば、1回のダブルクリックで指定のリモートPCへの接続を始められる。ただ、デスクトップに他のアイコンがあると探しにくいし、アプリのウィンドウに隠れてクリックしにくい場合もよくある。
そこで、作成した.RDPファイルをタスクバーにピン留めすると、2クリックで接続できるようになる。
Windows 10の場合、「リモートデスクトップ接続」アプリをタスクバーにピン留めしてから、そこへ.RDPファイルをドラッグ&ドロップすると、.RDPファイルをピン留めできる。
接続するには、ピン留めした「リモートデスクトップ接続」アプリのアイコンを右クリックし、表示されたジャンプリストから.RDPファイルを選んでクリックする。
Windows 11の場合、ドラッグ&ドロップによるジャンプリストへのピン留めができない。そのため、.RDPファイルをエクスプローラーでダブルクリックしてリモートPCとの接続を成功させることで、まず「リモートデスクトップ接続」アプリのジャンプリストの「最近」欄に履歴を残す。あとは以下のように右クリックしてピン留めすればよい。
接続するには、ピン留めした「リモートデスクトップ接続」アプリのアイコンを右クリックし、表示されたジャンプリストから.RDPファイルを選んでクリックする。
リモートデスクトップ接続の細かい設定を変更する必要がなく、むしろ.RDPファイルを管理するのが面倒、という場合は、ショートカットを利用するという手がある。接続先のリモートPC名を変えたショートカットをそれぞれ用意すれば、複数の接続先があっても簡単に切り替えて接続できる。
「リモートデスクトップ接続」アプリは、「mstsc.exe」というコマンドから起動できる。このmstscコマンドにコマンドラインパラメータ(オプション)を指定することで、特定のリモートPCに接続できる。
mstscコマンドのコマンドラインパラメータには、接続先の他にも、「/f」オプションでフルスクリーンモードによる起動、「/w:<横幅>」でウィンドウの横幅、「/h:<高さ>」で高さがそれぞれ指定できる。その他のオプションは、「/?」オプションで表示されるヘルプを参照してほしい。
Windows 11 2022 Update(バージョン22H2)にアップグレードすると、.RDPファイルやショートカットで一発接続できるように資格情報を保存してあるにもかかわらず、接続時に以下のダイアログが表示されて認証に失敗することがある。
この直接の原因は、Windows OSのセキュリティ機能「Windows Defender Credential Guard」により、保存された資格情報での認証がブロックされてしまうことだ。一定の要件を満たしたWindows PCをバージョン22H2にアップグレードすると、自動的にWindows Defender Credential Guardが有効化され、このような症状が発生することがある。それ以外のバージョンのWindows OSでも、Windows Defender Credential Guardが有効なら同様の症状が発生する可能性がある。
ブロックされるのは保存済みの資格情報なので、上記のダイアログでパスワードを入力し直せば接続は可能だ。とはいえ、いちいちパスワード入力が求められ、面倒になったことは否めない。
回避策としては、Windows Defender Credential Guardを無効化するという手がある。その手順は下記ページを参照していただきたい。
ただ、そもそもブロックされるのはセキュリティ的に弱いためである。にもかかわらず、無効化してしまったらシステムの脆弱(ぜいじゃく)度は上がってしまうことになる。Windows Defender Credential Guardを、特に検討することなく無闇に無効化することは、お勧めしない。
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■更新履歴
【2022/11/11】Windows 11に対応しました。Windows Defender Credential Guardに関して追記しました。
【2020/04/22】初版公開。
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