教育現場やPCのトレーニングで役立つRDS/MultiPoint Servicesの新機能vNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(12)

前回は、「MultiPoint Services」のステーションとそのデスクトップ環境を説明しました。今回は、講師がユーザーのデスクトップに対してできる、さまざまなリモート機能を詳しく紹介します。

» 2015年04月15日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]
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連載目次

MultiPoint Serverの「MultiPoint Dashboard」では何ができる?

 「MultiPoint Services」は教育機関向け製品の「Windows MultiPoint Server」をWindows Serverの“新しい役割”として統合したもので、社員のトレーニングだけでなく、さまざまな用途への応用が期待される機能です。今回は、MultiPoint Serviceのリモート機能の一つである「MultiPoint Dashboard」を解説します。

 一つの直結ステーションからサインインした講師、またはリモートデスクトップ接続でサーバーに接続した講師はMultiPoint Dashboardの機能を用いて、生徒であるユーザーと対話したり、デスクトップをリモートから操作したりすることができます。以下、MultiPoint Dashboardの主な機能を紹介していきましょう。

チャット

 「チャット(IM)」機能を利用すると、講師と生徒の間でテキストによるチャットを使用して一対一で対話することができます(画面1)。メッセージの送信は講師側と生徒側のどちらからでも開始することができ、生徒が送信した最後のメッセージがその生徒のデスクトップの下に表示されます。

画面1 画面1 講師と生徒間の「チャット(IM)」による会話

制御の取得(リモート制御)

 講師は直結のステーションやリモートデスクトップ接続でサーバーにサインイン中の生徒、および「MultiPoint Connector」で接続されたWindows 10 PCのコンソールにサインイン中の生徒のデスクトップを、MultiPoint Dashboardの一つのコンソールで一度に参照できます。また、特定のデスクトップを拡大表示することが可能です。

 特定のデスクトップを選択して「制御の取得(Take Control)」をクリックすることで、生徒のデスクトップに同時に接続し、マウスとキーボードで操作することが可能です(画面2)。生徒側にはリモート制御されている旨の通知が表示されますが、リモート制御を許可または拒否するといった、一般的なリモート制御ソフトが求めるようなユーザー側の許可を必要としません(画面3)。

画面2 画面2 MultiPoint Dashboardで一つのデスクトップを選択して、「制御の取得(Take Control)」をクリックする
画面3 画面3 講師は生徒の許諾なしで、生徒のデスクトップに接続し、キーボードとマウスの制御を取得できる

アプリケーションの開始と終了

 PCのトレーニングでは、生徒が同じシナリオに従って、同じアプリケーションを操作する場面があるでしょう。講師はMultiPoint Dashboardの「アプリケーションの起動(Launch Applications)」機能を使用して、選択中の特定のデスクトップ、または全てのデスクトップを対象に、指定したアプリケーションやコマンドラインをリモートから開始できます(画面4画面5)。また、この方法で開始したアプリケーションを、デスクトップを選択して終了させることもできます。

画面4 画面4 アプリケーションをリストから選択するか、コマンドラインを入力して生徒のデスクトップでアプリケーションを開始する
画面5 画面5 全てのデスクトップで「コマンドプロンプト(cmd.exe)」を起動したところ。起動したアプリケーションを終了することもできる

 なお、講師が直結のステーションを利用している場合は、講師のデスクトップで現在実行中のアプリケーションがリストで表示されるので、マウスのクリックでアプリケーションの開始を指示することができます。

デスクトップの投影

 講師は「投影(Project)」機能を利用して、選択したデスクトップまたは全てのデスクトップに、自分のデスクトップの現在の画面表示を「参照専用」で表示することができます(画面6)。また、特定の生徒のデスクトップの画面表示を、選択したデスクトップまたは全てのデスクトップに表示することも可能です(画面7)。

画面6 画面6 選択中の生徒(student01)のデスクトップを、他の全ての生徒のデスクトップに「投影(Project)」する
画面7 画面7 生徒(student01)のデスクトップの表示が、他の全て生徒のデスクトップに表示された

Webアクセスの制限

 PCのトレーニング環境では、生徒が関係のないWebサイトにアクセスして、トレーニングをさぼることも想定されます。もしかしたら、業務中に不適切なWebサイトを参照するかもしれません。

 講師は「Web制限(Web Limiting)」機能を使用することで、あらかじめ構成しておいた許可/禁止リストに基づいて、生徒のWebアクセスを制限することが可能です(画面8画面9)。ホワイトリストで特定のWebサイトに対してのみアクセスを許可することもできますし、ブラックリストで特定のWebサイトへのアクセスだけをブロックすることもできます。

画面8 画面8 「Web制限(Web Limiting)」機能の構成。ホワイトリストまたはブラックリストでWebアクセスの制限を定義する
画面9 画面9 生徒は許可されたWebサイトだけをブラウジングできる。または禁止されたWebサイトへのアクセスがブロックされる

デスクトップのブロック

 講師は生徒にPC操作の手を止めて注目してもらいたいとき、あるいは休憩を取らせるために「ブロック(Blocking)」機能を使用して、特定のデスクトップまたは全てのデスクトップをロックすることができます。ロック中のデスクトップに表示するメッセージは、80字以内で事前に設定しておくことができ、ドロップダウンリストから選択するだけで簡単に変更できます(画面10)。

画面10 画面10 特定のデスクトップまたは全てのデスクトップをロックして、メッセージを表示することができる

 今回は、MultiPoint ServicesのMultiPoint Dashboardの機能を紹介しました。実は、あと一つ、説明していない大きな機能があります。次回はその「仮想デスクトップ(Virtual Desktops)」機能を紹介します。

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筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Hyper-V(Oct 2008 - Sep 2015)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。マイクロソフト製品、テクノロジを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手がける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。


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