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» 2009年10月29日 00時00分 公開

転職の鉄則は「最初は勢いよく、最後は慎重に」転職活動、本当にあったこんなこと(28)(2/2 ページ)

[山口孝之,アデコ]
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最初は迷い過ぎることなかれ

 小倉さんは、応募先を決める段階で非常に慎重に考えていました。

 確かに、求人票にはいろいろな条件が書かれています。応募基準が緩く思える求人票もあれば、厳しく感じる求人票もあります。しかし、ここで覚えておかなくてはならないことがあります。それは、「どの求人票も作成者が異なる」という点です。求人票自体は人材紹介会社で作成するものですが、その内容は求人企業から情報を提供してもらって作成するのです。細かい点まで採用基準を網羅して作成する企業もあれば、大まかな作りにしている企業もあるのです。

 また、書類選考でパスするか否かは、書かれている内容もさることながら、ほかの応募者との比較によって左右される面が強い、という点も見逃せません。応募基準が緩やかに書かれている求人であっても、優秀な人の応募が多いと、相対的に採用基準が高くなるものです。もちろん、その逆もあります。


 企業Webサイトについても同様です。書いてあることをそのまま受け取ってしまうと、機会損失が生じる可能性があります。先の例でいうと、Javaに力を入れているように見えた会社は、実は.NETの経験者も募集しており、小倉さんにも応募資格があったのです。.NETのノウハウが豊富な会社に就職したい、というのであれば話は別ですが、小倉さんはその会社自体には興味があったわけですから、もったいない話です。

 筆者は小倉さんに再度、前向きに各社を検討してもらいました。その後、いくつかの求人に応募した小倉さんは、書類選考ではねられたり、面接試験で不合格になったりを繰り返しながら、最終的には500人規模の中堅SI企業に転職しました。その会社は当初、リーダー経験がないからと応募を見合わせていた会社でした。

最後は慎重に慎重を重ねるべし

 一方、木村さんのその後は残念なことになりました。最後の電話から2カ月後に、また電話をいただきました。内容は再度の転職支援のご用命でした。

 「実は、入社してみたら思ったような仕事には配属されず、派遣されて運用やヘルプデスク業務に就いているのです。同じ運用系の仕事でも、運用設計から入る仕事だと思っていたのですが……」

 転職先の仕事は、木村さんの想定していたような仕事ではありませんでした。その会社はシステム運用に関して上流工程の実績が少なく、これから伸ばしたいと考えているとのことでした。

 早期転職になってしまうと書類選考が厳しくなり、かなりハードルが上がります。それをご理解いただいたうえで再度、転職支援をさせていただくことになりました。

転職の鉄則「最初は勢いよく、最後は慎重に」

 優柔不断で好機を逸してしまったり、軽率に動いて失敗してしまったり……。転職はタイミングが肝要とはいえ、難しいものです。

 小倉さんは、転職活動の初期の段階で考え過ぎてしまい、意思決定をするのに時間がかかってしまいました。木村さんは転職活動の最後の段階で勢いよく意思決定し、失敗してしまいました。とても極端な例ですが、この2人を取り上げたのには理由があります。転職活動の鉄則です。

 「最初は勢いよく、最後は慎重に!」

 転職活動をすると、その期間に幾多の意思決定をしなければなりません。その際、最初から考え過ぎて逡巡(しゅんじゅん)してしまっては、チャンスを生かすことができません。そして、終盤に近づくほど慎重になる必要があるのです。

 小倉さんはどうでしょうか。転職活動をしている人ならば誰でも多少の不安を感じるものです。最初からためらっていると、未来は開けませんし、自分のキャリアに何の進展も得られません。単に時間をかけたところで、何も解決しないことが多いものです。面接活動を通じて得るものだってあるのです。

 木村さんの場合は、いうまでもありませんね。最後の意思決定があまりに軽率でした。最初は勢いが大事ですが、最後も勢いではいけません。

 転職希望者を見ていると、上記の鉄則が守られていないように思えます。転職活動では、それぞれの意思決定の重さが違います。重さの違いを認識したうえで活動を進めていく必要があるのです。

 これは、転職で失敗しないために必要なことです。皆さんが転職活動をする際には、この「意思決定の重さ」を気にしてみてください。きっとスムーズに進むと思います。転職のリスクを軽減できることでしょう。

著者紹介

アデコ 人材紹介サービス部 コンサルタント

山口孝之

千葉県出身。大学卒業後、建設会社にて人事、経理などの管理業務を経験。その後ITエンジニアに特化したスカウト型の人材紹介会社に転職し、キャリアアドバイザー業に従事する。その後アデコに参画し現在に至る。キャリアアドバイザーとしては一貫してIT業界、インターネット業界を担当。ギャップのない転職を支援するための情報収集能力、転職者側と採用企業側の両方の目線で行うカウンセリングには定評があるという。



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